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三國のダマスカス  作者: 羽有ル蛇
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反董卓連合

 曹は家族のいる徐州琅邪郡を目指し、ひたすら歩く、途中商人の目を盗み馬を得たが、中牟県の関所で官軍に捕らえられてしまう。

 曹操は意を決して、関所の県令であった陳宮に事の次第を話、陳宮の協力を得て関所を脱する事に成功する。


 途中、父曹嵩の義兄弟である呂伯奢の居に身を寄せるが、自身の勘違いにより呂伯奢を含め家人全てを斬殺、再び逃亡する。


 その際、中牟県から同行していた陳宮とも袂を別ってしまう…慶橋は報告に目を通し、身を寄せるに来た陳宮を見る。


「くっくっくっ…何ともお粗末で身勝手な男だな…曹操と言う男は…」


「はい…中牟県の関所で会った時は、立派な男かと思いもしましたが…呂伯奢の件で、自らの非は認めず…剰え開き直るとは…我が耳を疑いました。」


「然もあろう…あの男は、枠に填まってる内は良いが…一度枠から外れれば、身勝手で我儘な子供よ…


して陳宮…どうする?

曹操は偽りの密詔で各地の諸公に檄を飛ばしておるぞ。」


「慶橋様の御見立てを伺ってもよろしいでしょうか?」


「ふむ…諸公も所詮は人…其々の思惑は有るものの、諸公は集まるだろう。

だが…この一戦では終るまい、そうさな汜水は落とせよう、洛陽まで戦線は延びるやも知れんな…がそれで董卓は終るまい。」


「慶橋…出兵は如何なさいますか?」


「陳宮よ…私は後々の為に曹操の勢力は削りたい…今暫く曹操を探り、期を待つとしよう。


それと兗州陳留郡で、野に降っている者を登用する様に手筈を整えてくれ。


それとこれを…誰か劉備殿に人をやって届けてくれ。」


「了解致しました。

劉備殿への届け物は、知古の者に致しましょう。」



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 その頃、曹操の偽りの密詔に引寄せられた諸公が洛陽の東、要塞汜水関を臨む荒野に布陣を始めていた。


 反董卓連合は袁紹を盟主にし、南陽太守 袁術、冀州刺史 韓馥、予州刺史 孔伷、兗州刺史 劉岱、河内太守 王匡、陳留太守 張邈、東郡太守 喬瑁、山陽太守 袁遺、済北相 鮑信、北海太守 孔融、広陵太守 張超、徐州刺史 陶謙、西涼太守 馬騰、北平太守 公孫瓚、上党太守 張楊、長沙太守 孫堅、荊州刺史 丁原、義勇軍 曹操…総兵士数は40万を越え、陣立は荒野を埋め尽くした。



 しかし、各々が野心を持つ中での連合は、いつ何どきバラバラになるかも知れない危険と隣り合わせだった。



 汜水関攻めの先陣は、武人で名高い長沙太守孫堅が、自ら買って出る。

 その頃、洛陽の董卓の元に急を告げる早馬が到着し、報告を受けた華雄が汜水関を死守すべく5万の兵を率いて汜水に向かう。


 汜水関に入った華雄は、直ぐ様城門を固く閉じ、城壁に弓兵を配置し、孫堅を待ち構える。

 通説では功城戦は、守備側の三倍の兵で当たるを常道とされているが…華雄の兵は5万…連合に加わっているとは言え、孫堅に其処までの兵はない…故に孫堅は戦の引き際を理解し、如何に被害を減らし、勝ちを見出だせるかに懸かっていた。

 だがしかし、ここに来て懸念していた事が現実となる。

戦果を上げる孫堅を快く思わぬ者が、食料の補給を意図的に止める、これにより孫堅は、大敗し陣を下げる事になる。

 勢いに乗った華雄は、開門して連合軍の本営を強襲した。華雄の武は優れており、乱戦で数多の兵を葬り、一騎討ちを挑んできた。


 袁紹旗下の鮑忠を数合打ち合うと斬り伏せ、

勢いに乗った華雄は、韓旗配下の潘鳳、袁術旗下の兪渉を立て続けに斬り伏せ、悠々と汜水関に引き上げて行く。


 血気に逸り一騎討ちに向かわんとする、関羽と張飛を劉備は引き止め…落ち着かせる為にも、二人を天幕に入れ真意を話す。


「なんと!我らに一騎討ちをさせぬは、慶橋殿の策略と申すのですか?」


「その通りだ義弟よ。

慶橋殿の読みでは、関羽、張飛両名の何れが、一騎討ちに応じても華雄を討ち取り…それでは、連合軍諸公の力を殺ぐことなく、洛陽を戦果に巻き込んでしまう。


後々の事を思うなら…軽々しく一騎討ちに応じては、ならないと釘を刺された。」


「なるほど…慶橋殿は、戦いはこの一戦だけではないと言うのですな。」


「慶橋殿の使者が申すには、此度の戦いで朝廷は力をなくし、各地で領地の奪い合いが始まると言っていた。故に蛮勇に走らず、兵の温存と力を秘匿せよとの事だ。」


「あのいけ好かない董卓は討てないのが、腹立たしいが…兄ぃが納得ずくなら仕方ねぇ…」


「張飛…今は、思うところもあろうが、いずれはその力を必要とする時が必ず来る!

今は堪えよ。」


 そして、華雄により落とされた士気を上げるべく、連合軍は総力を以て汜水関を攻略せんとする。


 城壁から降り注ぐ矢に、功城槌を以て城門を抉じ開けんとする数多の兵が、汜水関を前に屍を晒す。正に死屍累々の装いだ。


 昼夜問わずの攻勢は、両軍に多大な犠牲を強いる。当初は要塞と言う優位を持っていた官軍も、40万の兵に代る代る攻め立てれば、兵の疲労は溜まり、鉄壁に見えた汜水関に僅かな綻びが生じ様とする。


 「董卓将軍…このままでは賊軍は、勢いをつけてしまいます。かくなる上は洛陽にいる袁家を皆殺しにし、士気を挫き…後々の災いを除くべきです!」


「李儒…説明せよ。」


「ご承知の様に逆賊袁紹の叔父の袁隗は、この洛陽にて太傅を務めております。万が一、賊軍に内応する様な事になれば由々しき事になるでしょう。


故に一族を連座として裁き、後々の憂いを除き、袁家の首を曝し、賊の士気を挫くがよろしいかと…」


「わかった!

即刻、兵を出し袁家を一族全て根絶やしにせよ!」



 董卓は洛陽の安定を図ると、自らが20万の軍勢を率いて汜水関に向かう。

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