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三國のダマスカス  作者: 羽有ル蛇
22/32

太平道の乱 終幕

 まだ日も出ない時間、張任と大史慈が各々の部隊を引き連れ陣を発って行く。



 関羽は昨晩のうちに兵達に指示すると、何やら作らせている。

関羽の準備が整うと劉備は手勢のみを率いて、朝靄の中陣を発っていく。




 すでに士気の落ち弱腰になった官軍を相手に睨みを利かす、黄巾の陣に緊張感はない。


 寝ずの番をしていた男が大きな欠伸をした。

眠気なのか欠伸の為か、目がショボショボしている。

 その時、朝靄の中…何かが動いた気がした。

男は靄に向かい目を凝らす。


 瞬間、男の喉もとに矢が深々と突き刺さる。

そして、沸き上がる歓声。朝靄のお陰で状況は掴めないはず…


 朝靄の中、1m先も満足に見えてない状態で両軍は激突する。


 輪郭だけを頼りに突き出された黄巾の剣が、矛が…義勇軍の兵士とおぼしき影を貫く…手応えはあった。

が…視界が晴れる中、黄巾の目に入ったのは貫かれた蕨で出来た人型を組んだ柵だった。


「遅い!」


 関羽の偃月刀が唸るを皮切りに、義勇軍は陣に雪崩れ込み、虚をつかれた黄巾は次々に切り伏せられていく。



張宝の元にも前線の苦戦が伝えられる。


「何っ!

罠だと…小酌な!

怯むな!数では圧倒的なんだぞ!」


 激を飛ばす張宝の陣幕の外から斬り合う音がする。

張粱は剣を抜き、外に飛び出す。

 丁度、護衛の最後の一人が斬り伏せられたところだった…


「…官軍か!一体どうやって」


「張宝だな…我が軍は劉備様の義勇軍。

道がなければ…崖をよじ登れば済む事よ。」


「なっ?!

崖をよじ登っただぁ!なめるなっ!!!」


 張宝は剣で幾度となく切りつけるが、その悉くが空を切り、剣に弾かれている。


男は冷ややかに言う。


「もう気が済んだか?…済んだのなら…」


男の持つ剣が張粱の剣を断ち、返す剣で張粱の体を袈裟に切り裂く。


男は振り向きもせず


「名を名乗ってなかったな…私は姓は大史、名は慈だ。」


 張粱は切り裂かれた胸を押さえながらにじり寄る。


「農民の大将が…敵を…間違えるんじゃ…!?」


 言い終わるより先に大史慈の剣が首を断った。大将である地公将軍張宝が討たれた事で、戦闘は急速に収まりを見せていく。



こうして河南の戦闘はあっけなく終結した。


 どこからともなく朱儁の軍が現れ、忙しなく残党を駆逐している。



 同時期、曹操と対峙していた人公将軍張梁も敢えない最後を迎え、報せを受けた張角は病の床で慟哭して果てる。



 こうして八州に股がり、のべ人数36万人を動員したと言われた《太平道の乱》は、首領である天公将軍張角の病死により、実にあっけない幕引きとなる。



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