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三國のダマスカス  作者: 羽有ル蛇
12/32

張角との邂逅

 読者の方からのご指摘に、橋本が張角に何年かを訊ねる部分に、西暦表記を行っていましたが、西暦提唱とのズレがあった為、訂正致しました。

橋本は爆死した…


異な…爆死したはずだった…


あの…撃たれた時の焼けつく様な痛みも…


肌を焼く業火も…すべてが夢だと言うのか…





今、橋本が感じるのは程良い潮風と…足元で砂と戯れる波だけだった…


見慣れぬ風景…


「ここは一体…」


 橋本はハッとする…撃たれたはずの腹部に痛みがない…それどころか傷もない…ただ服に焼け焦げた様な弾痕があるだげ…


 腕時計もあの任務のまま時を刻んでいる…そう時計通りなら今は、明け方の三時…だか日の上り具合は正午過ぎと言った感じだ…


何が何やら理解が出来ない…


 辺りを見渡すと近くの漁師の舟だろうか、浜辺に佇んでいる…随分と古い作りの様だ…以前見た博物館に有りそうな箱型の構造が妙に気になる…


 近くに村でもあるのだろうか…橋本は小銃を拾い上げると、行く宛てもなく歩きだした。


 被りぱなしだった鉄っぱちを外し、蒸れた頭をボリボリと掻きむしる…


あまりの気持ち良さに橋本の顔が緩む…


 最近では珍しく、未舗装な道…見慣れない草花が目につく。轍はあるが、あまり頻繁に物が通る事はなさそうだ。




 程無く行くと畑の中に家屋がいくつか見えてきた…遠くからでも田舎の土くれと蕨か何かで組まれた家屋だとわかる。


 壁際で家の様子を確かめ様としていると、奥から物音がし、人が出てきた…


 成人男性だろうか…かなり小柄だ…150後半と言った感じ、額には深いシワが刻まれ、手の甲から指先まで節だっている…


 衣服は麻か何かで出来た着物に似た物を身に付けている。


 男は橋本を格好をジロジロ見ると、奇妙な物でも見るかの様な顔をして引っ込んでしまった。



 橋本は諦めて次の家に向かう…途中、符水を配る奇妙な男がいた…男は符水を老人に与えては何やら唱えている…不思議な形に曲がった杖を振りかざしては、なにやら皆お辞儀をしていく…


 男は橋本を呼び止めると余程、橋本に興味があるのか話しかけてきた。


「もし…そこの御方…こちらへ…見慣れぬ格好だが何処からいらした?」


 橋本はやっと話しが出来そうな人を見付け、安堵したところで気付いた…この奇妙な男と言い…日本じゃないのはわかるが、いったい何処なんだ?


「はじめまして…自分は橋本と言います。日本から来た様なのですが…ここは何と言う所ですかね?」



男は橋本の受け答えを聞くと続けた。

「これはご丁寧に…申し遅れました…私、姓は張、名を角と申す。ここは冀州鉅鹿郡ですぞ。 

ところでハシモト?…字はどう書くのかな?ニホンとは一体…」


橋本は男の話しを聞いて愕然とした…


「張角?!冀州鉅鹿郡…」


橋本はカッと目を見開き、男に詰め寄る。


「今は何年だ!」


男はうろたえながらも答えた。


「ふむ…高祖 劉邦が国を起こしされてから、かれこれ380年…この国では光和3年でしたかな…」


橋本は膝を付き、男に持たれる様に崩れ落ちた…


橋本はうめく様に呟いた


「…俺は…1800年以上も昔の…中国に来てしまったのか…」


男は橋本を気遣う様に声を掛ける。


「あんた…大丈夫か?何ならウチに来るか?なぁ~に心配はいらんよ。

私の他は弟達しか居らんからな!後は希に弟子が足を運んで来る程度だからな。」




 橋本は男の好意に甘える事にした…今はただ…ゆっくりと頭と体を休める事しか考えられなかった…

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