第十五話 ビッグデータの死角
ノロイダーの2人がゲポゲポ団の犯行現場から帰る途中にて、今日の戦闘について話していた
なんかへんなロボットがあったな。
でも、今日は警官が急に現れたんで、リーダーのやつ慌ててこれを落としていったぜ。
USBメモリか。個人用のかな。重要な情報が入ってるかもしれない。
いや待て、罠でわざと落としたのかも。ウイルスかもしれないぞ。
とりあえず戻って博士に見てもらおう。
新大久保研究所にて 博士はノロイダーが拾ってきたメモリの分析を始めている
「特に爆発物だったりウイルスが組み込まれていることはないようじゃ。
かなりの量のデータだが、主に図面が入っているようじゃな。
メインの図面を見てみるぞ。」
博士がプロジェクターのスイッチを入れると
外国語で注釈の入った図面が表示される
「これは一見、何かロボットのようなものだな。
相当に精巧なものだ。ゲポゲポ団が単独で作ったとは考えにくい。」
今日現場に変なロボットがありました。多分それだと思います。
「うーん、分析が必要だな。いずれにしても相当重要な情報のようじゃ。」
2日後、博士は再びノロイダーを呼び、拾ったデータの分析結果を説明した
「これは、海外と共同で開発したロボットの図面だ。
移動機能があり、動力は電気式だ。かなり強力な蓄電装置を備えている。
手足の末端までコントロールされているが、制御は特殊な産業用コンピュータのチップで行っている。
それら全体を統括する脳にあたる部分はUNIXで制御されている。一種の人工知能だが性能は低い。
このロボットは無線により外部とデータを共有し、主な判断も外部で行って、結果を受信して動作しているようじゃ。」
何だか思ったよりやばそうなものですね。早めに破壊した方が良いでしょうか。
「うん、たとえ図面があっても簡単に同じものは作れないだろう。
現状の悪用されているロボットは止めた方がよさそうじゃ。」
しかし、どうやって止めればいいでしょうか。けっこう逃げ足は速いようです。
「腹部にある蓄電装置を破壊できれば、一発で停止できるが、難しそうだ。
あと考えられるのは、無線の遮断だ。無線を遮断すれば、極端に性能が落ちるはずじゃ。」
地下とかで無線の届かないところへ誘き出せばよさそうですね。
「いや、向こうも分かっているので、おたおたそんな誘いにはのらないだろう。
電波を遮断するカバーを使って、被せることができればいいんだが。」
やってみましょう。
しかしリーダーは随分重要な落し物をしましたね。
「うん、私が思うにリーダーはこのロボットに何か不満があって、わざと情報を漏らしたのではないだろうか。」
数日後 暗闇にゲポゲポ団が現れる
「キャー助けて―。エッチー。」 ゲポゲポ~ゲポゲポ~
ゲポゲポ団だな。今日はロボット対策も出来てるんだ。逃がさないぞ。ノロイダー発進!
現場では既にロボット'キングH'が動き出している
:[ターゲット確保、画像データ音声データ送信...]
:[分析結果着信、女性、20代、健康状態良好、痴漢行為可能]
:[痴漢行為開始]
:[反応データ送信...]
:[分析結果着信、推奨痴漢時間16.4秒]
ロボットを使うのもだいぶ慣れてきたな。
でも、あんまり有難味は無い感じだな。 ゲポゲポ~
とりゃー^、ノロイダー参上。お嬢さん大丈夫ですか。
よし今だ、ロボットに無線遮断ネットをかけろ!
ロボットの分析
:[ターゲット確保、画像データ音声データ送信...]
:[分析結果着信、ノロイダ― No.1 、業務妨害率94%]
:[分析結果着信、ノロイダ― No.2 、業務妨害率96%]
:[反応データ送信...]
:[分析結果着信、妨害器具使用、緊急撤退開始]
ロボットはいざとなると、すばしっこく、無線遮断ネットはうまくかけられない
こいつ低性能と思ってたのに、逃げ足だけはすごい速さだな。
だめだ、予定のようにはいかない。
そこにワルイダーが割り込んできた
「ワルイダー参上、ゲポゲポ団、破壊する!」
ロボットの分析
:[ターゲット確保、画像データ音声データ送信...]
:[分析結果着信、ワルイダー、業務妨害率85%]
:[反応データ送信...]
:[分析結果着信、妨害器具使用無し、緊急撤退開始]
「なんだこいつ。うるさいやつだ。やーっ!」 ワルイダーは、かまわずロボットを攻撃
ワルイダーの一発の攻撃をロボットは避け損なった
ドカン!GEPOGEPOWWWWwwwwww--- - -(停止)
「ふん、オンボロめ。おととい来やがれ。御免」
あれっ、壊れちゃったよ。やっぱりボロだな。撤退だ。 ゲポゲポ~ゲポゲポ~
何も出来ずお客になってしまったノロイダー
ゲポゲポ団のやつら、壊れたロボットを置いていったな。
研究所に持って行こう。何か分かるかもしれない。
ノロイダーはロボットの残骸を持って、今日の戦闘結果を博士に報告した
先生、予定と違いましたが、ロボットを停止することができました。
ロボットを止めたのは我々ではなく、ワルイダーの一発の攻撃です。
しかし、あれだけすばしっこいロボットが何故ワルイダーにはやられたんでしょうか。
「それはおそらくロボットが参照していた外部の共通データの値より、現状のワルイダーのスピードが速かったんじゃ。
古いデータをもとに退避を行ったので、トレーニングして速くなったワルイダーの攻撃を避け損なったのだ。
ビッグデータも日時更新されているんだが、人間の変化はそれより速いということじゃ。」
ビッグデータも善し悪しですね。
でも俺達もトレーニングしないと。