第十一話 未完成の完成
数か月前 近海の離島にて
袋小路博士は五日市博士との共同研究をあきらめ1人で暮らしていた
地元の人ともうちとけ、穏やかな生活を送り始めたところだった
「先生、野菜持ってきたよ。」
「いつも、すいません。あまりお礼もできないで。」
「まあ、先生は研究やって下さいよ。」
ようやく精神的にも落ち着きを取り戻してきた博士のもとに突如黒服の怪しい集団が現われる
(ゲポゲポ~ゲポゲポ~)袋小路博士ですね。今日はいい話があってやってきました。
「何だねいきなり君たちは。研究のことだったら私はもう手を引いている。帰ってくれ。」
「先生、お久しぶりです。」
「あっ、君は確か五日市先生のお嬢さんの今日子君じゃないか。いったい何の用だね。」
「先生、父が他界したことはご存じかと思います。その時残した図面があるんです。これです。
このままでは、まだ完成しておらず空白の部分があるんです。
その部分に、この図面を使って頂きたいんです。」
「んん、こうすれば一応動作するかもしれないが、本来の目的とは違ってしまうかもしれない。」
先生、まずは動作させることが肝心です。今なら当方から援助もできます。
このままでは五日市博士の重要な研究がまったく無駄になってしまいますよ。
開発の準備は、当方のほうで、もう整っています。ご足労願えますかな。
数日後、ゲポゲポ団のアジトにて
多くの器具の前に袋小路博士の研究している姿があった
貼り合わされた2枚の図面のあちこちに書き込みが入っている
(光線)ビ=======ゲポゲポ~ゲポゲポ~
「何だこれは、考えていたのと全く違うな。こんなもの作るべきでなかった。」
まあそうおっしゃらずに。先生、完成ですよ。これで五日市博士の努力も報われます。
「いや、これはまだ改良が必要だ。」
そんなことありません。もう十分ですよ。
先生にはお帰り頂きましょう。その前にご自分で作ったこの光線を浴びていってください。
(光線)ビ=======「何をする!ああ!」ゲポゲポ~ゲポゲポ~