特異2
どうもみなさん、スマイルさんです。
今回も『おかしい世界で一人だけ。』を書かせていただきました!
よろしければ読んでいってくださいませ!!
おかしい世界で一人だけ。2
僕は違和感に気づいた。その原因はわかった。なぜかはわからないが。
◇■□◆ 8年後の死亡 ◇■□◆
「俺は未来から来た」
「ふざけてないで状況を説明してください」
未来から来たという、僕に違和感の原因を教えてくれた人。証拠を見せろ。
僕のそんな心の中での発言を読み取ったかのように、その人は『とあるモノ』を見せてきた。
「これは、未来の君たちだ」
胸ポケットから、一枚の写真を取り出した。
「俺と麗奈だ」
なんで先輩を呼び捨てにしているんだと思っていると、男はこう言った。
「俺は8年後のお前だ。俺の名前は、葉先粒子だ」
「ふざけてないで―――」
僕はそう言おうとしたけど、写真が目に入り、そこでハッとする。
写っているのは、随分大人になった僕と先輩のような人物だった。
と、先輩が口を開いた。
「……まさかと思いますけれど、あなた本当に葉先粒子くんなのですか?」
「そうだ」
「ならタメ口でOKね」
そこなの!?
「先輩、相変わらず変な人ですね」
そういえば、この男、僕に似ている。声も似ている。もうそれでいいや。
「それで、未来の僕。なんで一人称が違うの?」
「あぁ、それはな」
口調も変わっているので、そんな疑問を投げかける。
「あるとき、一人称がちょっと恥ずかしくなった。口調も変えた」
なるほど、僕が今ちょうど思っているかもしれないことだ。
「あーじゃなくてさー!」
未来の僕が叫ぶ。
「俺ね、めちゃくちゃ深刻な話しに来たのになんでこうなった」
先輩がいるからね、仕方ないね。
先輩はとっても変わった人。まともなことはたまにしか言わない。
「くそ、さすがは俺と麗奈、変な奴らだ」
それ、言われて気分いいものじゃないし、さらに自分が言ってるんだから、もうどうしたらいいかわからない。
「もうどうでもいいから、8年後からこの過去にきた理由を教えて」
自分なのだから、敬語なんぞいらないよね。
「あぁ、そうだったな。お前らのせいで話がそれたじゃねえか」
僕らのせいにしないで欲しい。
「まあその前に、『タイムパラドックス』っていうのを理解して欲しい」
それなら知っている。過去に戻って自分の母親を殺したとして、その時点で自分という存在は消えてしまう。しかし、消えてしまっている自分が母親を殺せるわけがない、という矛盾だ。
「その通り。でも、俺らの住んでいる未来では、それはない」
そういうことだろうか? タイムパラドックスは矛盾として扱われず、事実として受け入れられているのだろうか?
「そもそも、タイムパラドックスっていうのは、矛盾だ」
まあそうだろう。僕が知っている限りも、そういうものだ。
「だが、その矛盾は、お前らのいま生きているこの現代の人間が、考えすぎた結果だった」
どういうことだ? ますますわからなくなってきた。
「つまり、過去で起きた出来事は、一種の『事実』だ。その事実を変えるということは、つまりその世界をその地点で『作り変える』に等しいんだ」
ん? まだわからないぞ。
「まあつまり、その『過去』っていうのは、もう確定してしまっているんだ。例えば、1+1=2だ」
つまり、どういうことだってばよ?
「最初の1は『過去』で、二つ目の1は『今』だ。それが合わさって、2という『未来』が出来上がる。まあ、一節には『0が過去』で『1が未来』というのもあるが、基本的には前者の方で考えてもらって構わない」
つまり、過去は確定していて、それを改変することによって、未来がつくり変わる。ということだろうか?
「そういうことだ」
なるほど。
それは理解したが、僕が今一番気になっているのは、そこじゃない。
「わかってる。違和感だろう?」
そうだ。僕は違和感を感じている。それを解決したいのだ。
「それについてだが、まずは結果から言わなければならない」
結果?
「俺が過去に来ているということは、何かしら変えたい未来があるということには、気づいているな?」
まあ、意味もなく過去に来る暇人はいないだろう。……僕なら有り得そうだけど。
「その変えたい未来とは?」
いきなり確信につくことを言ってみせると、8年後の僕は、ちょっと悲しそうな顔をした。しかし、すぐになおって、こう言った。
「8年後、麗奈は死ぬ。その未来を変えるために、俺はこの、お前らからすれば現在、俺からすれば過去に来た」
なんと、物語としてはありきたりだった。
アニメとかならここでオープニングを入れてやりたいが、これは現実だ。いや、本当に現実なのだろうか? こんな非現実的なものが、本当に現実なのだろうか?
「本当に現実なのか? そんな顔をしてるな」
僕の考えを察し、8年後の僕はそう言った。
あれ? これはひょっとすると、先輩を助けることは無理なのでは?
そう思って、先輩を見る。先輩は特に驚いた様子もなく、出してきたポテチをポリポリと頬張りながら、コーラを飲んで「ふぅっ」と言っている。なんと呑気な。
そんな気持ちが通じたのだろうか? 先輩は僕の方を見て、少し笑ってから、
「食べたいのね。いいわよ」
ちがう、そうじゃないんだ。もっと深刻なことを考えていたんだ。
もし本当に、8年後に先輩が死ぬとしたら、その未来を変えるのは本当にいいことなのだろうか? 未来は確定している。その確定した未来は変えていいものなのだろうか? 未来が確定しているということは、当然過去も確定している。時間という一つの流れを遡り、流れを変えてしまうのは、果たして本当にいいことなのだろうか?
「タイムパラドックスっていうのは、さっきも言ったとおり、論破されている」
確か、過去は確定されていて、未来はその過去をもとに作られてゆく。その確定した過去を変えると、おのずと未来も変わる。未来はまだ決まってはおらず、その時の行いによって未来が決まる。よって過去改変による未来改変は可能。過去に飛んだ瞬間、その未来はなくなり、飛んだ過去からそこまでの未来が作られてゆく。つまり未来へは戻れない。そんな内容だったはずだ。……今のは僕なりにまとめた文章だけど。
でもしかし、これまでの会話で思ったことは、『僕が言おうと思った内容がすべて相手に悟られている』ということだ。そして、僕は今これに注目している。なぜ分かるのか。なぜこれほどまでに完璧に僕の考えを網羅しているのか。
自分の思考ぐらい自分でわかると言えばそれで終わりだが、しかし、こうも完璧だと、本当にそんなに単純なものなのだろうか?
例えば、8年後の僕は、8年前の僕がこう思うことを知っているということならどうだろうか? それならばもうそれは、8年後の僕は、8年前にその経験をしているということになる。つまり、少なくとも先輩の救出に一度は失敗しているということにならないだろうか? そうなると、それはもうどうやったって不可能だ。
結果がには、必ず原因がある。
先輩が死ぬ原因を考えてみると、死因は数え切れない程あるかもしれない。転落事故、交通事故、殺人事件、自殺、食中毒など、考えるとキリがない。
しかし、まず根本から考えてしまって、先輩が死ぬ原因が『先輩が生まれたこと』だったとしたら、もうそれは回避は絶対に不可能だ。先輩という存在を救いたくても、先輩が生まれたという事実が先輩が死ぬ原因だとすると、先輩は先輩でなくなる必要がある。
もちろん、そんなことできるはずもない。
俺は、わかっている。
あの未来は、変わらない。
どんな手を尽くしたって、あの未来は変わらない。
そんなのは、理論を自分で立ててしまったからわかっている。自分で立ててしまった理論に、俺は抗っているのだ。なんとも滑稽だ。
どうもみなさん、スマイルさんです。
今回も『おかしい世界で一人だけ。』を書かせていただきました!
ああああああやっと第2話投稿できましたね。正直めっちゃがんばりました。褒めてください。……ごめんなさおこがましいですね。
今回のキーワードは『タイムパラドックス』です。転載学者たちが無理だといったことを覆すのはやはり私のようなアホな学生には不可能でした。ということで、もうそこは私の持論で書かせていただきました。タイムパラドックスについて考えていると、いつの間にか2日もたっていました。ツイキャスしながら考えていたのは良き思ひ出です。
この小説シリーズを呼んで頂いた方の中で、お察しの良い方ならわかると思いますが、今回のこの小説シリーズ、『シュタ〇ンズ・ゲート』にはまってしまって、勢いで書いてしまったシリーズなんです。書いてしまったからには完結させたいのですが、なんか、むつかしいです。更新ペースは遅いですが、今後とも私のわがままな小説にお付き合いください!
今回はこのあたりで目を休めてあげてください。
さて、いつになったら戦闘に入るんでしょうね?