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北部方面隊奮戦記  作者: 松ちゃん
1/17

演習開始

こちらは不定期更新です。早かったり遅かったりしますが、どうかお付き合いください。

誤字脱字が酷いと思いますが、もし良ければご報告ください。修正させていただきます。

2015年2月28日

1820時

北海道 札幌

陸上自衛隊北部方面隊方面総監部


 今日この日、総監部に翌日から行われる北海道火力演習の日程確認のため作戦部隊である第2、第7師団師団長が訪れていた。


「失礼します。」


 第7師団長の秋沼蒼甫あきぬまそうすけ陸将は北部方面隊幕僚長である沼田陸将の部屋へと入った。


「失礼します。」


 後から第2師団長の上野和樹うえのかずき陸将も続く。


「おう。久し振りだなお2人さん。」


 元から面識のある沼田は2人を暖かく迎える。


「幕僚長こそ、お元気そうで何よりです。」

「そんな堅い顔するな秋沼。機甲科時代は先輩後輩の仲じゃないか。」


 沼田と秋沼は機甲科出身で、同じ部隊に配属となりお互い仲は良かった。


「そうは言っても、今となっちゃ俺達の上官ですからね。生意気は言えませんよ。」


 上野は普通科出身だが火力演習の際に2人と知り合い、よく機甲科と普通科の合同作戦行動について話し合った。


「あの時はよく軽口叩き合ったからな。今では気も楽にできんよ。」


 3人は挨拶を終えると早速会議を始める。


「それで、明日の火力演習なんだが、第3国が奇襲上陸を遂行した設定で執り行なおうと思う。予算の都合上、戦車より対空兵装が少ないのが今の自衛隊だからな。その為、今回は第1高射特科団も参加する事になった。」

「ほー。それはまた新しい戦術が組めそうですね。」


 上野は感心したように呟く。


「第3国が奇襲上陸してきたのをまず第2師団で足止め。それと第1高射特科団もだ。その2部隊が戦闘している間に第7師団は主力である3個戦闘団で叩くという、まあ簡単に言ったらこんなもんだな。」


 沼田はざっくりと説明を終える。


「我々戦闘団に細かい指定などは無いのですか?」

「そこは現地指揮官判断というものだ。本番に近いほうがやりやすいだろう。お互いの連携も重要なものになる。」

「つまりぶっつけ本番みたいにやれと?」

「まぁ、そういう事だな。」


 上野の質問に笑いながら答える。


「秋沼。戦車はいくつある?」

「各中隊15両編成で5個中隊で1個連隊を構成しています。なので3個連隊合計225両ですね。細かく言えばもっとありますが……」

「主力としてそれだけあれば上陸時点で叩けるんじゃないか?」

「油断してはいけません。なんせ航空隊まで敵は出せるんですから。」

「まあそうだな。」


 沼田は苦笑する。


「第2師団はどうだ?」

「は。参加させるのは我が師団まるまると考えてもらって結構です。普通科連隊はもちろん、第2戦車連隊も出します。他に特科大隊、高射特科大隊、後方支援連隊、飛行隊、施設大隊、偵察大隊もです。」

「随分本格的だな。流石精鋭部隊だ。」


 第2師団は陸上自衛隊の中で最も精鋭とされる。元々は海岸を守備する沿岸配備師団であったが、最近では総合近代化師団と分類されており、陸上自衛隊の中では最新の装備を有する。

 勿論、それらを使いこなすため訓練は最も厳しく、真っ先に海外に派遣される事が多いため精鋭として有名なのだ。


「これくらいしなくては、精鋭の名が泣きますからね。」

「まぁそれでいいだろう。第7もまるまる出すのか?」

「それで考えています。第2とほぼ変わりませんね。」


 今回の演習は本格的になるだろう。ここにいる誰もがそう感じていた。

 結局この日の会議は22時まで行われた。


    ――――――――――――――――


 翌日。

 演習場には過去最大規模となるであろう大部隊が集結している。人数は1万人以上はいるだろう。


「今回の演習で指揮官を務める秋沼だ。今回は第3国が奇襲上陸をしてきた想定で演習を行うため、各部隊の連携力が重要である。各員、奮起せよ!!」

「おう!!」


 隊員の士気はとても高い。事故に備えて医療大隊もつれてきたが、多分この調子なら大丈夫だろう。


「演習は30分後に開始する! 各部隊は待機せよ!」


 秋沼は本部テントに戻ると席に座る。お茶を1口口に含み、演習計画書に目を通す。

 計画は


1、上陸作戦を開始した敵部隊を普通科連隊(主に第2師団)が水際で食い止める。


2、後方で支援部隊として特科部隊が支援砲撃を行う。


3、飛行隊は敵戦車を主目標として迎撃、これを破壊する。


4、高射特科は敵航空機に対する対空戦闘を行う。


5、主力となる第7師団は移動に時間がかかったという想定で遅れて参加する。その後の行動は現地指揮官の判断で続行する。


 というものだった。

 

「こりゃ忙しくなりそうだな……」


 秋沼が呟いた時、空には不気味な雲がかかっていた。


fin


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