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最悪の再会

本日二話目です

(ついに、ここまで来た)


私の目の前には魔王リヴィーリアのいる城がそびえ立っている。


(誠也が連れ去られてから半年、やっとたどり着いた)


この半年間、私達勇者は誠也救出のために力を付けてきた。ここまで死人もでずに来れたのは、その努力の証だろう。


(待っててね誠也。今助け出すから)


そして、私達は城の門を開け、中へと入った。





「よく来たね。勇者達よ」


城の最深部にたどり着いた私達を出迎えたのは、玉座に座り、愉しそうに笑う紅い髪の魔族だった。周りにも配下と思わしき魔族が控えている。

優斗が一歩前へ出て、その玉座に座ってる魔族に剣を向けながら問いかける。



「おまえが魔王か」


「ふふっ。えぇそうよ。私が魔王リヴィーリア」


リヴィーリアは優斗の怒りの籠った視線を飄々と受け流す。


「単刀直入に聞く。誠也はどこだ?」


「セイヤ?はて?誰のことかしら?」


リヴィーリアはわざとらしく頬に手を当て、首を捻る仕草をする。周りの魔族達はニヤニヤといやらしい笑みを浮かべて笑いを堪えていた。


こちらの神経を逆撫でするような態度に私は我慢しきれなくなり、リヴィーリアに怒りをぶつける。


「ふざけないで!あなた達が誠也を連れ去ったのはわかってるんだから!」


「そうだ!」

「惚けるんじゃねぇ!」

「化け物が!」

「早く矢代君を返して!」


みんなもその態度が頭に来たのか、リヴィーリアに向かって罵詈雑言を浴びせる。


たが、リヴィーリアはそんなことを歯牙にもかけず、余裕の表情をくずさなかった。


「あら。連れ去っただなんて人聞きの悪い。私達はそんなことはしてないわ」


「嘘をつかないで!誠也がここに連れ去られたことは、もうわかって――」

()()()()()、彼を売り渡したんでしょう?私達のせいにするのはお門違いよ」


リヴィーリアの言葉に私達は言葉に詰まる。私も、それを言われると言い返すことができなかった。


「人間は醜いわね……自分たちで裏切った人を助けたいだなんて。そんなのはただの自己満足だわ。それに、仮に助け出したとして、彼が許してくれると思っているのなら、それはちょっと虫がよすぎるんじゃないかしら?」


「そ、それは――」

「それは誠也が決めることだ。おまえにどうこう言われる筋合いはない」


優斗が私の言葉を遮るようにリヴィーリアに向かって言い放つ。


「俺はどんな罰をも受け入れる覚悟がある。俺は誠也にそれだけのことをしたのだから当然だ。だが、全ては誠也が帰ってきてからだ!」


優斗が戦闘体制に入ったので私達も武器を構える。


「ふ~ん。君と、そこの女はどうやら失って初めて彼の存在の大きさに気づいたようだね。彼を助けたい一心でここまで強くなったのは、素直に称賛するわ。だけど、まだ幼い。君達の言葉の裏には、彼がまだ無事なら、という前提がある」


「ま、まさか……」


リヴィーリアの言葉に私達の息が詰まる。



「うふふっ、安心して。()()死んではいないわ」


その言葉を聞いた瞬間、優斗がリヴィーリアに斬りかかる。


「うぉぉぉぉぉぉ!!!」


「優斗?!」


「あらあら、せっかちね」


優斗の剣は軽くいなされ、回し蹴りを腹に喰らって優斗は吹っ飛ばされる。


「ぐっ!!」


「優斗!!」


それを私が受けとめる。

が、勢いが強すぎて一緒に十メートルぐらい吹っ飛ばされた。


「全く、人の話は最後まで聴くものよ?」


瞬間、その空間に大瀑布のようなプレッシャーが襲ってくる。


「そんなに会いたいならお望み通り会わせてあげる」


パチン


とリヴィーリアが指を鳴らすと、床に魔法陣が現れ、その上に磔にされた黒髪の男が出現した。


「あ、あれは……」

「まさか……」

「本当に…矢代君…?」


みんなが驚いているのは、その男の容姿だ。明らかに記憶の中の半年前の彼とは異なっていた。

体は脂肪が落ち、筋肉が増えていて、

所々に痛々しい傷がある。

しかも、右腕は肩から手まで、人間にはあり得ない、鱗のようなものができており、片目には縦に斬られたような後がある。

その彼が目を開ける。

両目とも目の色が変わっており、斬られた方は金色に光っていて、もう片方は血のように赤く染まっていた。



「……誠也…」


「生きてた……本当に…」


が、そんなことより私と優斗は生きていたことが何より嬉しかった。


「……おまえら…」


誠也が声を出す。聞き慣れた声が聞けて、より一層彼が生きていると実感する。


「誠也!今助けてやる!!」


「待っててね!!誠也!」


私達は体制を立て直し、魔族共と相対する。




「感動の再会の途中で悪いんだけど、そう世の中上手くいくと思う?」



リヴィーリアは愉しそうな表情を崩さず、誠也に手を向ける。




「命令よ。目の前の勇者達を―――










――皆殺しにしなさい」



リヴィーリアが命令を出した瞬間、誠也の胸に赤い紋様が浮かび上がる。



「ぐうぉぉぉぉぁぁぁあああ!!」


誠也が磔にされていた十字架から解き放たれる。苦しそうにもがきながら誠也はこちらを見た。


「ぐぅぅぅ…は、早く逃げろ……」


「せ、誠也……?」


「一体…どうなって……」


状況が理解できず、私達はただ茫然と立ちすくんでいた。



「早く逃げろぉぉぉぉぉぉ!!!」



誠也が叫びをあげるのと同時に、

誠也の体から紅いオーラと尋常じゃない魔力が噴出した。








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