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神様との再会




あれからどれだけの月日が過ぎたのだろうか





来る日も来る日も実験と拷問だけの毎日。

10回死を経験したところで数えることをやめた。

ハインドは一日毎に拷問の仕方を変えてくるため、何通りもの死を体験した。





魔法の試し撃ちの的として、死ぬまでいたぶられた



だけど死ねない




魔物の巣に、放り込まれて生きたまま食われた



だけど死ねない



全身の骨を砕かれ、血管や内臓を引きづり出された



だけど死ねない



心臓を握り潰された



死ねない



頭蓋骨を割られ、脳をぐちゃぐちゃにかき混ぜられた



死ねない



何か体にを投与され、体が内部から破裂した



それでも死ねない



死ねない死ねない死ねない死ねない死ねない死ねない死ねない死ねない死ねない死ねない死ねない死ねない死ねない死ねない死ねない死ねない死ねない死ねない死ねない死ねない死ねない死ねない死ねない死ねない死ねない死ねない死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい



どんなに死んでも、リヴィーリアの隷属魔法のせいで強制的に甦らせられる。

もういっそ殺してくれと頼んでも、返ってくるのはハインドの楽しそうな笑い声だけだった。


毎日毎日が同じ事の繰り返し。

そんなある日、ふと気づくと俺はいつもの暗い拷問部屋ではなく、真っ白な場所にいた。


(ここは……どこだっけ……)


見覚えがあるが上手く思い出せない。

そして、その空間に人影が現れる。


「………おまえは誰だ……」


『そういえば、前回は姿を見せていなかったね。

僕はアルス。また会ったね矢代誠也君』


現れたのは異世界に来るときに出会った神様だった。

髪は金髪で中性的な顔立ちをしており、少しあどけなさを感じるが、その存在感は神々しかった。



「…あぁ……そんなやつもいたな……で、その神様が一体何のようだ」


そう俺が尋ねると、アルスは頭をこれでもかというぐらい下げてきた。


「すまない」


「……なぜ謝る?」


「君をそんな目に遭わせてしまって、本当にすまない」


「……おまえがやったわけではないだろう」


「だとしても、謝らせてくれ。僕が君に頼み事をしたせいで君に不利な状況を招いてしまった」


多分、異世界に召喚された時の姫様とクラスメイトの仲裁のことを言っているのだろう。あれだけが原因ではないだろうが、要因の1つになったことは確かだろう。


だが


「そんなことはもうどうでもいい」


「……えっ…?」


神様が俺の言葉に驚き、顔を上げる。

そして、俺の顔を見て「まさか…」と目を見開く。




そう。

俺の心は度重なる実験や拷問によって、

とっくの昔に壊れてしまっていた。




怒りや悦びといった大部分の感情が、

欠けたピースのように抜け落ちてしまったのだ。


「だから、おまえが気にすることじゃない。責任を感じる必要もない」


アルスを見るその目には、何も写っていなかった。あるのは虚無。ただ虚空を見つめるような無機質な目だった。


「そんな……既に手遅れだったのか…」


アルスはそんな俺を見て膝を折り、涙を流す。

アルスは己の非力さと無力さに心を傷めていた。


「…なぜ泣いている?」


だが、それは俺には理解できないものだった。なぜ涙を流しているの解らず、ただ不思議に思うことしかできなかった。


アルスはその様子を見て哀しそうに顔を歪め、俺を強い眼差しで見つめてくる。


「……もうすぐ、クラスメイト達が君を助けに現れる」


「……なんだと?」


今までそれらしい反応を見せなかった俺が、初めて顔を歪める。


「この半年間、君を助けるために君の幼馴染み達を筆頭に力を付け、もうすぐで君の閉じ込められている城に到着する」


「なるほど……ご苦労なこった」


しかし、それも一瞬。

次の瞬間には消えてしまっていた。

だが、アルスは一瞬でも感情が見えたことで、まだ可能性あると希望が見えてきていた。


「そろそろここを維持するのも限界か……矢代誠也君」


「……なんだ?」


「まだ希望を捨てちゃダメだ!君には幸せになる権利がある!だから、最後まで諦めるな!」


そうアルスが言い終わると、次第に俺の意識は薄れていき、光に包まれながら気を失った。








目が覚めると、

眼下には懐かしい幼馴染みやクラスメイト達がいた




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