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戦いにもいかず、こんなところでギャンブルしているダメな小隊長の俺。


プスっと音がした。

77……。そして、止まった数字は「6」

(う、うそだろ!)

もう一度、画面を見る。

間違いない。

77……6だ。

「あ~っ、ああああ」

「うおおおおっ、これで外すんかい!」

周りの客も頭を抱える。


「うそだあああああっ!」

俺は思わず叫んで立ち上がる。外れるわけがない。俺はガクッと膝を折った。両手を頭に抱える。そしてバタっと床に倒れた。そして、床に寝転がり頭を抱えたまま、ゴロゴロと転がる。左右にゴロゴロと転がりまくる。

「外れるはずがないんだ。ああああああ!」


「主様、何かが起きるでゲロ」

そうゲロ子が冷静に言った。画面をじっと見ている。確かに止まったままだ。普通ならライトが光って通常モードに戻る。それが暗くなったままなのだ。


キュンキュンと音が鳴った。右端の6が再び回り始めた。

「お、おおおおおっ!」

俺は立ち上がって思わず叫ぶ。バクバクいう心臓をなだめる。


(なんだ!復活当たりじゃないか!そうだよな。あの鬼アツ予告で外すわけないよな~)

ゆっくり、ゆっくりと右のドラムが回る。途中、7で停止しては動き出す。

停止する度に俺の心臓が高鳴る。

ドキ……ドキ……ドキドキ……。

(頼む、7で停止してくれ! そうしないとルカちゃんが……ネルちゃんが……)

みんな俺のせいとはいえ、可愛い女の子がとんでもない不幸に落ちてしまうのだ。

「おおおおおおおっ!」

「来る! きっと来る!」

周りの観客も再び、注目する。誰もが世紀の瞬間を待っていた。そう俺も待っている。

読者のみなさんも待っているに違いない!?


ピタ ついに止まった。

「キター?」


止まった数字に俺は呆然とする。

77ハート文字……。ハート文字はサービス絵柄だ。数字が全回転して当たりが確定する。数字が回転した。

「くそ~めんどくさい演出だ~。どこまで引っ張るんだ!」

「主様、当たりは確定でゲロ。777なら1万倍、奇数揃いなら5千倍。偶数なら1千倍」

「ここまで引っ張って、あの鬼演出で普通の当たりのわけがない。777確定だ!」

「考えたくないでゲロが……。小当りという可能性はないでゲロ?」

「そんなもん、あるわけ?」

 全回転が止まった。数字は……。


1・3・5

小当たりである。


「うそだああああああああっ!」

「ゲロゲロゲロ~」


そのあとのことは覚えていない。

残った金も投入してさらに回して俺の挑戦は終わった。


「やっちゃったでゲロな」

「うそだ。こんなのうそだ……」


俺はカジノ片隅でお茶の入った紙コップを片手に持って呆然と座り込んでいる。もっているのはわずか1枚のデナリ金貨。

 

 これでネルちゃんは救えない、明日に金持ちオヤジたちのおもちゃになってしまう。ルカちゃんもそうだ。あの小太り御曹司にいいように弄ばれる。ルカちゃんはケインの奴が何とかするかもしれないが、代わりに俺は死刑宣告だろう。少なくとも最前線送りは間違いない。


「ああああ……。あの小当りした時に違うと判断できなかったのか~」

 俺は最初の頃、引いた小当りを後悔した。あれが全てを狂わした。だが、あの時に冷静な判断ができただろうか。答えは「否」である。できるわけがない。

 調子に乗ってる俺がそんな冷静な判断できるわけがない。それに500デナリ稼がなければ、ネルちゃんは救えないのだ。ネルちゃんを救うだけなら、300デナリ全てをルーレットの赤か黒に賭ければよかった。当たれば倍である。600デナリで救えた。だが、そんな「たら、れば」を言ってもどうしようもないのだが、今の俺は後悔の念でいっぱいで意味のない思考を繰り返している。


「もっと回せば、当たったかもしれない。欲の皮をはらずに一枚がけで300回回せばあたったかも。そうだ、今から金を用意すればリベンジできるかも……」


 そう考えた俺だが、金を用意できる宛てもない。出るのはため息ばかり。


「主様。残ったのは欲の皮が突っ張った負け犬の犯罪者。2人のヒロインを不幸にした馬鹿な男でゲロな」

 俺はゲロ子の頭を掴んで持ち上げる。手足をばたつかせて暴れるゲロ子。

「く、苦しいでゲロ~」

「てめえがカジノって言うから!」

「すぐ人のせいにする。それが主様のダメなところゲロ」

そう言われるとその通りだ。やはり俺は人間のクズだった。


 俺は力が抜けて床にヘタレこんだ。

落ち込む俺の肩を誰かが叩いた。

ポンポンという感じだ。俺はダルそうに体を起こして叩いた相手を見た。


救世主が現れるでゲロ? 誰でゲロ?


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