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関ヶ原で待ってるわ2 10月29日発売です!

表紙絵は今回は萌え系で決めてみましたw 小隊長とは関係ないけどw

<img src="http://bukure.shufunotomo.co.jp/hero/wp-content/uploads/2014/11/sekigahara2_shoei320.jpg" alt="sekigahara2_shoei320.jpg" width="200" />

(それならば……)

 ケインが先に階段を下りたのを見て、俺はマリアンヌさんに話しかけた。


「マリアンヌさん、今晩お食事でもどうです?」

「はあ?あなた、何言ってるの? どうして、私が小隊長程度の男と食事しないといけないの!」


 冷たいお言葉……。そりゃそうだ。緑はケインに対しての色だ。俺はというと……。

(はい。白でした。そりゃ、断られるわ)


「じゃあ、俺が出世したらどうです? ケインの片腕となって将軍になったら……」

 キョトンとしてマリアンヌさんは俺を見た。そして笑い出した。


(うっ……傷つくなあ)


「あなた、面白いこと言うわね。ケインも将軍じゃないのにその部下が将軍なんて。でも、私も何となく分かるのよ。女の感てやつね。ケインは傭兵のリーダーなんかで収まる器じゃないわ」


(おおおっ……急に何かが動き出した。さすが、エリートと婚約する人だ。男を見る目がある。最終的にはギルドのエリートと結婚するよりもこの世界の王となるケインの側室を選ぶ女性だ)


「あなた面白いから、この任務で生き残ることができたら、お食事くらいは付き合ってあげても良くてよ。あなたは冴えない顔だけど、ちょっとだけ気になるところがあるわ」

 

 見るとマリアンヌさん、ハートマークが青に変わっている。ちょっと興味を持ってもらったようだ。

(この年増、若い男を見ると誘惑する性悪女でゲロな)


 ゲロ子が出てきてそう言ったが、マリアンヌさんは現時点でフリーということだろう。どうやら、ケインの奴のゲームの進め方が早くて、状況が追いついていないらしい。慎重でレベルを地道に上げて進めていた俺とは違うゲーム展開なのだ。

 いや、ゲーム素人だからなせる業なのか? 


 何しろ、マリアンヌさんの将来のフィアンセになる男が3階から降りてくるのを見たのだ。あの顔は見覚えがある。いけ好かないイケメン野郎だ。ゲームの中ではマリアンヌさんを巡って争った思い出がある。この男、貴族で実家の権力を使って最初は俺に対して優勢だった。それでマリアンヌさんと婚約までこぎつけたが、最後の最後で俺に婚約者を奪われる間抜けな役柄をする。

 まあ、ど汚いことしてマリアンヌさんを物にしようとするから、バチが当たったのだと俺は思う。結婚式の最中に見事、かっさらって気分がよかった。あの時のコイツの顔は忘れられない。


 そんな思い出のシーンを思い浮かべて俺はちょっとイタズラしてやろうと思いついた。

(おい、ゲロ子。あの男を転ばすことはできるか?)

(アイアイサーでゲロ)


 ゲロ子は飛び出して階段の隅に降り立った。

(よし、やれ!)


 気取って来客を案内して階段を下りてくる男。見送る客は国軍の将軍のようだ。厳しい顔で白いヒゲがピンと伸びている。頭は明らかにズラだろうという髪型だ。護衛の兵士が5人ばかり周りを囲んでいる。


 ゲロ子が階段の端にロープをくくりつける。もちろん、この世界の住人には見えない。


「よいしょっと……」

 ゲロ子がタイミングよくロープを引っ張る。

 イケメンフィアンセがそれに引っかかる。慌てて後ろの将軍のズラを掴んだ。将軍もたまらず転倒する。

 

 階段を転げ落ちて将軍はピカピカの頭を露出。あまりのことに下のフロアにいた傭兵たちが大笑いをする。赤っ恥をかかされた将軍が激怒してイケメン男を叱っている。


(よしよし……)

 ほくそ笑む俺。もしかして、これでマリアンヌさんとの婚約も邪魔できたかもしれない。彼女はできる男が好きなのだ。あの姿を見ちゃうと付き合うという流れはなくなる。


「おい、何をしている!早く降りてこい!」

 ケインの奴が1階から俺を呼びつける。イケメンが怒られている横をそっと足早にすり抜ける。どうやら、イケメン野郎。将軍を怒らせたせいで契約を破棄されるらしい。されれば、ギルドにえらい損害を与える。


(下手したらクビだろうなあ……)

 そんなことを考えてケインの下に行くとマリアンヌさんが将軍をとりなしている光景が目に入った。


(おいおい……。その展開はないだろう)

「主様。あの年増の出会いを演出してしまったようでゲロ。これがきっかけで、あの年増、あのイケメン野郎と付き合うでゲロ」


「ゲロ子、それを早く言えよ。俺のマリアンヌ攻略ルートに影響与えたじゃないか」

「主様がやらなくても、あの男は勝手にコケたでゲロ」


「ちっ……。ゲロ子、お前知ってて転ばせたな」

「バレたでゲロ。それより、主様。ルクライン攻防戦の方が重大でゲロ」


「そうだ。あまりの凶事に現実逃避してたわ……」


「ルクライン攻防戦」

 

 どんなゲームでもゲームバランスが悪くてクリアできないところがあったりする。大抵はレベル上げが必要であったり、情報漏れで必要なアイテムを手に入れてなかったり、最近だと無料ゲームで課金を要求するサインだったりする。このシナリオはSODの初期の壁であったりする。非常にクリア条件が厳しく、クリアしても傭兵団にかなりの損害が出るのだ。損傷率は60~90%というハードさだ。

 

 ケインの傭兵団が活動拠点とするショパン王国は大陸の西部にある王国だ。大陸にはあと4つの国があり、大陸の北にある島国の王国を加えて争いながら大陸統一を図るのがこのゲームの目的だ。ショパン王国は正規軍が弱いために傭兵団の活用を積極的にするから、ケインの出世が早くなるのであるが、他国と同盟して戦うために、いろいろな謀略イベントに巻き込まれて苦労することもあるのだ。

 

 で、ルクライン攻防戦はその謀略のせいでかなり苦労するシナリオなのだ。シナリオ開始後の選択によって難易度は変わるが、初期の壁になるシナリオであることには変わりない。このシナリオの展開から考えると俺のような使い捨ての小隊長では生き残れる確率がぐんと落ちる。


 俺はどうしたものかと考えたが、いい案が浮かばない。

 

 ああ、考えども我が運命は変わらじ 

 じっと手を見る(笑)


「主様、そこでフリーズするから主様は3流なんでゲロ!」

「うるへー」

 



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