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夢うつつ

リカルドが眠りについたその時、自分は夢を見ているのだと気がついた。



見知らぬ、だが見覚えがある部屋。

そこは故郷である里の自室によく似ていたのだが、細かい所が違う。



「明晰夢かな…」



記憶違いなど多々あることで、普通ならば気づかぬ差。

しかし記憶力に優れたリカルドの記憶の中にはこの様な風景など存在しないのだ。






神々しさと禍々しさが伝わってくる、異様な鉄の扉などは。






「な、何か居るのかな……?」



そうして鉄の扉を開けると、奇妙な光景が広がっていた。


#####



「こ、ここは?僕は一体……」



明かりが無い闇一色の世界。

だが自分の姿は見えるし、地面もしっかりある。

闇一色というより、黒一色なのだ。



『おや?マキナ様、どうやら我らが使い手の御登場のようです』

『んぁ?おー!リカルドじゃねーか?』

『どうやら、顔合わせになりそうですね』



二体の守護者(ガーディアン)が悠々と歩みでる。


しかし、マキナは相変わらずの|今にもリカルドを斬り刻みそうなマキナスマイルである。

悪魔が人当たりの良い笑みを浮かべていても逆効果だった。



「ひっ…!」



リカルドとしては恐怖でしか無い。

恐怖でしか無いが、しかし何度も救われた身でそれは無礼だと、逃げることだけは踏み留まった。



「初めまして我が契約者(マイマスター)、我が名は【機械仕掛の悪魔ディアボルス・エクス・マキナ特殊改修型(ディアカンザキ)】。

輪廻神との契約の元に貴方の守護者(ガーディアン)となった者、以後よろしくお願いします」

「あ、ど…どうも」



優雅な一礼をした悪魔にリカルドは一瞬戸惑いながらも、それに応えて礼を返した。



『なぁなぁ、俺の声ってリカルドに伝わんねーみたいなんだけど』

『え?………ああ、マキナ様と私は通信回線で繋がっています。

マキナ様には発声機能が無いようですので会話は難しいでしょうね』



マジか、とマキナが驚きついでに納得するとリカルドが口を開いた。



「あの…カンザキって」

「リカルド様、こちらが私の上司で貴方の守護者(ガーディアン)である【機械仕掛の神デウス・エクス・マキナ特殊改修型(カンザキカスタム)】。

ご存知かとは思いますが彼女は転生者、異世界より貴方の守護者(ガーディアン)として転生した輪廻神の使徒にして神の一柱。

彼女と私が貴方を……次なる世界樹の守りとなる貴方を守護致します」



矢継ぎ早に言い渡された言葉にリカルドは絶句する。

世界樹の守りとはつまり、エルフ族の長老を指す。



『なぁおい、あたしはティリーから何も聞いてねーんだけど』

『私は輪廻神様からマキナ様のサポートに願い出た身、緊急時であったが為に伝えられなかった事項をお伝えする事も私めの役割です』



そうしている間にリカルドが再起動する。



「そ、そんな!何かの間違いじゃ?」

「いいえ、貴方はエルフの中では確かにエルフらしからぬと言われていますが魂と血の濃さという点で圧倒的に優れているのです」

「魂と…血?」



悪魔はコクリと頷いてから続ける。



「魂の質が高ければ高いほどに多くの特殊能力(アビリティ)を得る事が出来ます。

現時点で貴方は守護者(ガーディアン)…SS級とS級で二体と、武具(ウェポン)系が一つで合計三つ、エルフどころか世界中何処を捜しても貴方くらいのものでしょう」

「えええっ!?」

「更に貴方の血は先祖返りを起こしており、世界樹と繋がりやすい初代の守り手に非常に近い血を持っているのです」



リカルドは信じられない気持ちになった。


劣等生と蔑まされてきた自分が、同胞にさえ見放された自分に、そんな価値があるなどとはとても考えつかなかった。



「我々が貴方の元に遣わされたのがなによりの証拠、どうです?これでもまだ信じられませんか?」

「し、信じられるわけ無いよぉ!こんな僕が悪魔に狙われる様な価値なんてっ!?」

『うだうだうっせえ!』



襟首を掴んでマキナがリカルドを持ち上げる。



「うわっ!?」

『とにかくだ!お前が狙われてもあたしが守ってやる!それだけでテメェは特別待遇なんだよッ!』

「マキナ様の仰る通り!」

「え!?なに!なんなの!?」



リカルドにマキナの声は通じない、よって悪魔がそれを翻訳する。



「【機械仕掛の神デウス・エクス・マキナ】を有する事自体特別……

そうです、この世にあと何人【機械仕掛の神デウス・エクス・マキナ】を有する者が居ようとその人物は特別視されます。

貴方が信じようと信じまいとそれは変わらず、受け入れる他無いにも関わらずそれを拒む貴方をマキナ様は叱責されて居るのです」



「そ、そんな事言われたって…」

「ただ逃げるだけでは何も変わりませんよ!

マキナ様は貴方が腹を括れない事に憤慨していますよ!

さあ!チャンスを掴めなければ貴方は我々を道連れに死ぬのみなのですよ!?」



リカルドは戸惑い、考え尽くしたが…

どうしても、覚悟が決まらない。



『………もういい、ディア!こういう時は考える時間が必要だ、代わりにあたしが言うことをそっくりそのまま伝えな!』



崇拝する女神による言葉を伝えるーーー

それはまるで神託を受けるかのようだったと、ディアと名付けられた悪魔は思う。



「「テメェの腹が決まらなければしゃあねぇ、暫く答えは待ってやる。

だがな、あたしらはテメーの拳だ、力だ。

テメェの勇気と信念一つありゃ、ディアは言うことを聞くさ、だが!

あたしに命令するのはいつだってあたし自身だ。

だから、困った時は頼れ、頼み事なら聞いてやらんでもねぇからな。

この際ハッキリ言うが、おまえは充分特別だと思うぜ……力を貰った責任から逃げんなよ。」と、マキナ様は貴方を案じております」



そう告げられて、景色が歪む。


傍から見ればリカルドが薄れて消えゆく様で。



気付けば、リカルドは朝を迎えていた。




.

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