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機械仕掛の悪魔 -ディアボルス・エクス・マキナ-

「んだよチクショー!ふざけやがって!」

「こら!待ちなさい!その道を踏み外したら…」

「うぉ!?おおおおぉぉ…………!!」



ある時、輪廻神ティリーは彷徨える魂を導こうとしていた。

しかしその男の魂は異世界に転生させろだの、チートをくれだの文句ばかり。

特別な事情も理由も無く優遇はしないと明確に伝えた途端、この有様だ。



「あーー…もう、いいわ。

魔界に魂だけで迷い込んだならただでは済まない、身をもってそれを知りなさい」



神に逆らい、見捨てられた男は本来ならばティリーの言う通り、ロクな目に合わずに消滅する筈だったのだ。


だが、悪魔はそんな魂を唆すのも喰うのも好きなのだ。



「くっそーあのクソババア!憶えてやがれー!」



身の程知らずの男の意識はそこで一旦途切れた。

そして再び目を覚ますと、そこには異様な機械が佇んでいた。



「こ、こは……?」

「ここは魔界だよ、神への反逆者、我らが同胞よ」

「うわっ!?な、なんだテメー!」



それは有り体に言えばサイボーグだった。

いや、第一印象はアンドロイドなのだが。

全身古びた、錆びた、腐った鉄で出来上がった不吉な人形は朗々と語り続ける。



「我が名は機械仕掛の悪魔ディアボルス・エクス・マキナ、神に焦がれた道化。

人間よ、神になりたくはないか?」

「俺が……神に?」



悪魔の言葉に耳を貸すなど愚か者のする事だが、しかしその悪魔の言葉には人を騙し、欺く色が見えなかった。



「左様、悪逆非道を貫き通し、数多の魂を喰らえば悪魔は邪神へと転ずる事が出来る。

私は既に朽ち果てる身ゆえ、永らくの夢は叶いそうに無い…ならばいっそ、無に還るより何かを遺したいのだよ」

「おお……つ、つまり?」



男は既に悪魔の話に乗り気だった、何故なら男はラノベやアニメにハマっているオタクで、こういう展開を何より望んでいたからだ。



「君を悪魔にしてあげよう、そして、私の遺産を相続してはくれまいか?」

「キターーーッ!なるなる!悪魔になるぅ!」



こうして、トントン拍子で進んだ契約の末に男は機械の悪魔として転生した。

機械仕掛の悪魔ディアボルス・エクス・マキナは上機嫌で人間世界に向かう新たな悪魔を見送った後、身体を大きく軋ませて、崩して天へと飛び立つ。


飛び上がった先、悪魔の身を焼く清浄なる光に満ちた空間に降り立った機械仕掛の悪魔ディアボルス・エクス・マキナは輪廻神ティリーの宮殿へと歩を進める。



「ティリー様、機械仕掛の悪魔ディアボルス・エクス・マキナでございます。いらっしゃいますかな?」



勝手知ったる他人の家と、宮殿に踏み込み迷い無く奥へ奥へと立ち入って行く。



「よく来ましたね、機械仕掛の悪魔ディアボルス・エクス・マキナ

輪廻を司る神として、貴方を迎え入れましょう」

「有り難き幸せに御座います」



朽ちたその身を動かして、悪魔が神に(こうべ)を垂れる。



「貴方の行いは傲慢にして残虐非道、しかしながら改心してからの贖罪には目を見張るものがありました。

更には輪廻神ティリーの命に従い、愚か者の魂を誑かし破滅へと向かわせるその奉公。

それらを加味して、貴方は私自らの手で転生させる運びとなりました。

さて?貴方は次なる生に何を望んで私に奉仕したのですか?」



その言葉を待っていたと、悪魔が口を開く。



「私を地上へ……朽ち果てた我が身では無く、新たな機械仕掛の悪魔ディアボルス・エクス・マキナとして新生させて下さい!

何より焦がれた…【機械仕掛の神デウス・エクス・マキナ】の元へと!!」



#####



機械仕掛の神デウス・エクス・マキナ】の発現ーー

それは学院内を、いや王国を揺るがす一大事であった。

瞬く間に学院中に伝播したその情報は学院の関係者に伝達された訳だ。


学院内カーストにおけるワースト一位が天恵による守護者(ギフトガーディアン)、しかもSランクの特殊能力(アビリティ)を手にした事であるものは歓喜し、またあるものは恐怖した。



下克上である、と。



#####



「やあやあユグドラシル氏、我々と共に天下を取る気は無いかね?」

「いえいえユグドラシル君!私達と手を組みましょ!そうしましょ!」

「え、ええー!?」



僕ににじり寄ってくるのはクラスの中でも安定した立ち位置にいる筈のクラスメイトだ。

この間まで一切合切の接触の無かった相手だ。



(こ…これがジュリアさんがよく言う「調子のいい奴ら」!)



はっきり言って迷惑かつ、だいぶ失礼な連中だ。

今までの態度から一変してチヤホヤしてくるあたり、舐めてるとしか思えない。


僕、リカルドが無い無い尽くしの劣等生と呼ばれる理由は全て身体能力に付随した項目だけ、学術面ではかなりの好成績。

僕の中で最もエルフらしい点、それが知識だ。


「お前は異質なほど偏ったステータスの振り方をして生まれた」と長老のお墨付きを貰った僕の記憶力は凄まじい。

それはもはや完全記憶能力に近く、僕は彼らが今までにどう接してきたか、語調から仕草、視線の動きまで全てを覚えている。



機械仕掛の神デウス・エクス・マキナ】に指示を送る【機神操機(マキナコントローラー)】が光る。

画面には撤去許可申請(ブン殴っていい?)の文字。



「承認!」

「「「おおーーっ!」」」



クラス中から歓声が挙がる。

見世物のつもりで出てきたのでは無い、彼女は障害物(腑抜け)撤去し(ブン殴り)に出てきたのだ。



『うっしゃーーーッ!!』

「「ぎゃぁあーーーっ!?」」



さて、こうして今彼女の申請を受理して承認するまでにあった出来事は、今もはっきり、鮮明に覚えている。



#####



それは、リカルドが【機械仕掛の神デウス・エクス・マキナ】の真実を知った日の夜。


精神世界にて賢者タイムに浸るマキナの元に客がやって来た。



『ご機嫌麗しゅう、鋼の女神』



その客人は間違い無く日本語で語りかけて来た。

そいつは、見た目が黒かった。

装甲の色は黒塗り、髪の色は白、瞳の色も同じ。

肌が浅黒く、妖艶な笑みを浮かべる【機械仕掛の神デウス・エクス・マキナ】。



『……ンだと』



マキナは唖然としていた。


胴体はまるっきり同じだ、インナーの様に身体を包む軽装甲は黒か白かの色違い。


だがしかし、マキナの背中についた戦闘機の翼の様に、彼女の腕は美しい流線形を描いていた。


マキナの腕は継ぎ接ぎの様に見え、歯車や内部が露出した所謂アンティーク風なのに対し、明らかに近未来的なデザイン。



『てめぇ……喧嘩でも売りに来やがったか!?あ〝?』



そうメンチを切るマキナは正に悪魔も震え上がらんほどの迫力だった。


彼女は、もっと近未来的なデザインになりたかったのだ。

夢見た理想のスーパーロボットの様に…



『お好きでしょう?こういう…スーパーロボットの様なデザイン』



ぴくっと、表情こそ変わらぬままにマキナが反応する。



『斬艦刀に対艦刀、ビームサーベルビームライフル、フィンガーやら必殺技やら剣、斧、槍、盾、杭打ち機にミサイルにガトリングガン……ぶっ放したくは、ありませんか?』

『話を聞こうじゃねぇの』



臨戦態勢から一転、どかりとその場に座り込んで聞きの姿勢に入る。

その姿を見て黒い【機械仕掛の神デウス・エクス・マキナ】が微笑んだ。



『ご挨拶が遅れました、私は【機械仕掛の悪魔ディアボルス・エクス・マキナ】。

機械仕掛の神デウス・エクス・マキナ】に焦がれた贋作…』

『にしては、いいセンスしてんじゃねーかよ』

『有難い御言葉です、ですが我が身はオリジナルたる貴女に比べれば模倣に過ぎないのですよ』



そう言って【機械仕掛の悪魔ディアボルス・エクス・マキナ】は資料を取り出して見せる。



機械仕掛の悪魔ディアボルス・エクス・マキナ


ランク:A パワー:C ガード:A

スピード:C マジック:A 生息地:魔界


「【機械仕掛の神デウス・エクス・マキナ】を模倣し、自らを改造した機械の悪魔。

魔界の金属で組まれた装甲は相当な硬さを誇る。

悪魔らしく魔法を得意とする他、自らが作製する機械で武装して戦う強敵。」


機械仕掛の悪魔ディアボルス・エクス・マキナ支援特化型(ディアカンザキ)


所属:悪魔、メカニック、スーパーロボット系、混沌

ランク:S パワー:C ガード:S

スピード:B マジック:S 射程:一メートル

全高:160cm 重量:2t 最高速度:時速500km

出力機関:冥府魔導核(ヘイドゥー・コア)

本体名:リカルド・フォス・ユグドラシル


「「機械仕掛の悪魔ディアボルス・エクス・マキナ」【機械仕掛の神デウス・エクス・マキナ特殊改修型(カンザキカスタム)】の支援機として輪廻神ティリーの協力の元に転生した姿。

装甲はより堅固に、魔術戦、後方支援に長けた仕様となった。


その真価は兵器開発能力にあり、求める兵器の構造、製造過程、必要な資材を瞬時に把握し製造可能となれば瞬く間に造り出す事が出来る」



『んだよ、仲間なのなお前!』



資料に一通り目を通したマキナは表情が(マキナスマイルから)変わらぬまま楽しげに笑う。



『ええ、ええ!そうですとも!この【機械仕掛の悪魔ディアボルス・エクス・マキナ】、貴女様の原型である【機械仕掛の神デウス・エクス・マキナ】に焦がれて、より素晴らしき貴女様に出会えた次第!

つきましては貴女様の支援を担当させて頂きます!』



笑顔でそんな事を言い出す悪魔に神は乗る。



『は、はーん?つ・ま・り・だ。

お前があたしに武器を造ってくれる寸法な訳かい?』

そのとおり(イグザクトリー)ですとも』

『いいねいいねぇ!最高だよ、燃えてきた!』

『私も腕の振るい様があるというものです』



笑いあいながら肩を組む二人の特殊能力(アビリティ)

しかし、その二人を見つめる存在によって企みは一時中断と相成った。



「こ、ここは?僕は一体…」



その精神世界の主の御登場である。

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