プロローグ
はぁ、よく寝た……
私はその日の朝、いつものように気持ちよく目覚めた。大体朝は弱い方じゃないけど、今日はいつもにまして、身体が軽い。新しく出たアイドルダンスのゲームの効果が早速出たかな。歯磨きのついでに量ってみようっと。私はそう思って、勢いよくベッドを抜け出した。
あっと、私の名前は田中一子。この名前の通り私はこの家の長女。二美という2歳年下の妹との2人姉妹。県立高校の2年生。顔も成績も平凡だけど、友達は多い方かな。ただ、まだ彼氏はいないんだけどね。
だだだっと階段を下り私はそのまま洗面所にある体組成計に乗った。これは、ウチのお母さんが、ダイエットとか言って買ったやつだけど、いろんな事を表示してくれたって、それが何か分かんなきゃ意味ないと思うんだけどな。
でも、折角痩せたかなと思って乗った体組成計は何度乗ってもエラーメッセージしか出てこない。ヤダ、お母さん電池替えるの忘れてんじゃない?
まぁ、いっか……取り合えず歯磨きっと……あれ、私の歯ブラシがない。
その時、タイミング良く洗面所にお母さんが入ってきた。
「お母さんおはよ。
ねぇ、歯ブラシ捨てたんだったら新しいの出しといてよ。
あ、それから体組成計、電池切れてるみたいだよ。替えとかないと……何??」
だけど、お母さんからは朝の挨拶は帰ってこなかった。それどころか、お母さんは丸い目を更にまん丸にして私にこう言ったのだ。
「あなた誰? どうしてウチにいるの」
と。
えーっ、自分の娘忘れるなんてあり得ない! お母さんどうしちゃったの??