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ステップ  作者: 鷹橋達也
7/26

Practice


カズマが自宅のマンションに行くのは久しぶりだった。


自宅とはいっても、名義だけ置いているようなもので、実際にそこで生活しているわけではなく、普段はビジネスホテルやカプセルホテルを利用していた。




カズマのマンションは15階建て2棟が繋がる形になっていて、自宅は10階にあった。

カズマが自宅の前まで行くと、ドアの前に少女がいた。


セーラー服姿にパーカーを羽織り、身体を丸めるようにして座り込んでいた。



眠っている…。

この子なのか…?



少女の肩を揺する。


「おい、起きろ。」



少女の身体がビクッと反応し、突然ドアにへばり付くようにして立ち上がった。



カズマと目が合い、こちらの様子をうかがっている。



「おまえ、誰だ?」


カズマが会話を切り出したが、少女は黙ったままだ。



「ならいい。

面倒な事にかかわるつもりはないからな。

じゃあな。」



そう言うと、カズマは少女に背を向けて歩きはじめた。




「……黒岩……アキラさん…ですか?」




少女のかすかな声が聞こえて、カズマの足が止まった。



……黒岩アキラ。



懐かしい響きだった。


この仕事を本業にしようと決めた時に捨てた名前だった。



定期的に戸籍を購入してそのたびに手に入れる名前は、カズマ……黒岩アキラにとって単なる記号でしかなかった。



忘れていた「自分」が突然、目の前に現れたような気がして、アキラは複雑な感情に襲われていた。



「おまえ、何でその名前を……、」



そこまで言って、アキラは周りの空気が変化するのを感じた。



「おまえ、追われているのか?

……とりあえず中に入れ。」


ドアのカギを開けながら、アキラは少女に促した。




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