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ステップ  作者: 鷹橋達也
6/26

Meeting



香織が駅を出た時、日は落ちて午後6時になろうとしていた。



香織は手紙を開き、そこに書かれた住所と地図を頼りに、繁華街の雑踏を避けるように歩きはじめた。



始まりは、この手紙からだった。



香織が暮らす施設にこの手紙が届いたのは、一週間前のことだ。


封筒には香織の名が書いてあったが差出人の名は無く、

その中には手紙が二枚と壱万円札が一枚入っていた。


手紙の一枚には、見知らぬ住所と地図が書かれていて、もう一枚のほうにはこう書かれていた。



「香織、

近いうちに、あなたを訪ねてくる人がいるかもしれない。


その時は、地図に書かれた場所に行きなさい。


黒岩アキラという人がきっと力を貸してくれるから。


同封した一万円札は、あなたのお守りよ。大切にしてね。


……………。



本当にごめんなさい。


お母さん、必ず香織を迎えに行くから、待っていて。」



お母さんは突然わたしの前から姿を消した。


わたしはお母さんに捨てられたの?



そう自問自答していた香織にとって、久しぶりに感じる母親のぬくもりだった。




香織は唇を噛んで、必死に感情をコントロールしようとしたが、それとは裏腹に、どんどんと溢れでる涙を止めることはできなかった。



だが、この手紙が何を意味するのか、この時の香織にはまだわからなかった。



今日までの一週間は何事も無く過ぎたが、

香織が学校から帰ると、

遠くに見える施設に黒塗りのベンツと背広を着た二人が見えた。



遠目ではあったが、あんな車が施設に来るのを見たことがない。



香織の頭に手紙の文章がよぎった。

と、

背広のひとりがこっちを見ているような気がした。


その時にはもう、香織は駅に向かって走り出していた。



誰から逃げているのかもわからず走った。


暗闇の中を走っている感覚に襲われ、倒れそうになる。




しかし、

突然、香織は肩を捕まれた。


「…、おまえは………。」



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