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SILENT
繁華街の外れにあるそのビルは、
見た目には四階建てのテナントビルのような佇まいをしていたが、
そのビルが「海江田組」の下部組織「風間組」の事務所であることは、
近隣住民なら誰でも知っていることだった。
一階は駐車場で、高級外車が並んでおり、
二階が神棚を奉った組の事務所、
三階が応接間兼、組員の詰め所となっていた。
その四階には調度品の並ぶ部屋があり、
趣味の悪い連中らしいと内心で呟きながら、
ケータイの画面に数字の羅列を打ち込んでいく。
「香織は無事ですか。
情報は手に入りましたか。」
そのメールを送信しようとした時、
メールの着信音が鳴った。
アキラからのものだ。
………!
そのメールにはこう書かれていた。
「メールは必要ない。
直接話してやるよ。
田崎さん。」
その時、田崎の耳に銃声が響いてきた。
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