【プロットタイプ】取り返しがつかなくても
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
上手い回答が出来ない人間なので、感想欄閉じてます。
これは読者様の問題ではなく、私の問題。
詳しく知りたい方は代表作の『作品と作者の注意点』に書いてあります。
注意事項2
流石の瑠衣も気にするんだろうな。
でも気にする事はないよ。
結婚という儀式に崇高さを求めていない性なので、式は挙げず、旅行も国内にし、比較的低予算で済ませた。其れは瑠衣もそうであった事をふと思い出した。価値観が合うから上手くやれる。
好きな場所は歴史を感じる場所。明治大正を思わせるレトロな空間が好き。大きな振込時計や、ランプ、黒電話があればなお良いと思っている。
だから二人で初めて行った旅行は、そんな古き匂いが立ち込める宿だった。何処を歩いても、見ても、甘く古い匂いがする。其れにうっとりとしながら、ただぼんやりと呟いた。
「良い場所だね。とっても」
この場所は私が好きな有形文化財と同じ匂いがする。何度あの場所で布団を引いて、眠ろうと考えたか分からない。けれども叶わぬ願いであった。あの場所はもう、旅館として展示されている訳では無いのだから。
隣を歩く瑠衣は少し考えた様に視線を動かした。何か躊躇う様に、惑う様に。考え事をしている様だった。
「あ、瑠衣たん。雛人形あるよ。写真撮らないの?」
「……あぁ」
燥ぐ私を他所に、瑠衣は上の空だった。大好きな人形なのに、あまり興味を示していない。
元々、この宿を決めたのは私だった。パンフレットを捲った時の回廊に惹かれ、夫婦の旅行は此処が良いとごねたのだ。
本当は海外が良かったのかも知れない。私が我儘をゴネにゴネて、必死に却下したのだが。
「あー……その。嫌だったかな」
フロントから離れた場所。大正モダンを思わせる様な椅子が立ち並ぶ場所。そこに腰を掛けた際に、思い切って切り出して見る事にした。奇しくもそこは、私が一目惚れした場所だった。
「初めてはもっと遠くとか、海外とか、行きたかったかなって」
私自身が守銭奴だとは自覚している。だから結婚式や新婚旅行に興味は無かった。そのお金であの階段を何回見られるか、純喫茶に行けるかを、さり気なく換算した程だった。
其れに愛はあっても恋のない結婚であったから、瑠衣もお金は掛けたくないと思っていたのだ。
「我儘言ってごめんね。次はちゃんと……」
「お前が満足してるなら良い。諭羅と二人で会った時、心配されたんだ。それで良いのかと。新婚で作れる思い出は後から取り返しがつかないと」
まぁ世間一般にはそういうだろう。だが慣れない海外で神経をすり減らしたり、性にあわない装飾のホテルには泊まりたくはない。
「私的にはかなり大当たりだね。いい匂いするし。内風呂あるし。一緒に入れるよ? 入る?」
「遠慮する」
うんざりしながらもそれ以上突っ掛っては来なかった。 それが恐らく、満足の行く答えなのだろう。
オマケ
「ねぇねぇ瑠衣たん!! 駄菓子あるよー。マシュマロパクろう」
「あ。〇ルム!! しかもお高いやつ。中までチョコたっぷり」
「んるぁ!! ずっと〇段階段の匂いがする!!」
「珈琲飲み放題だって!! 神じゃん」
新婚旅行(?)は瑠衣も気を使ってそう。
※結婚してから初めての旅行。
ほら、結婚式とか挙げるタチではなので。
利害関係の一致での結婚だし。
恋はないけど愛はあるような結婚だし。
熟年夫婦のような関係。
それでも『新婚』ってその時しか味わえないものだから、『後から海外旅行行っとけば良かった。って言っても、取り返し付かないよ』という事。
諭羅の言葉ですね。
勿論、其れは瑠衣も分かっていて、何となく旅行の話を話題に出したら、勧めたところでなく『此処が良い!!』と言われた話。
『此奴、確かに守銭奴だけど、それ以前に建前とか気遣いでそういう事あるからな』
『騙す気で演技するからな』
『遠慮して先手必勝で言ってないか』
という心配。
でも鏡花的には、慣れない海外に放り出されるのがそもそも嫌。
近場は日帰りで行けるから、優先順位ダウン。
そして選んだのが此処。
一応、ドラマとか、世間でも新婚旅行の視野に入る旅館。
鏡花が好きな小説の聖地だし、雰囲気がそもそも好き。
あと色々食べ放題。※此処重要。
だから文句はない。
良いんですよ。推しの作家が好きだった旅館なんだから、瑠衣だって文句はないよ。
段々おかしくなってきた。
座布団ひっくり返すシーン良いよね。
この人良いなって思ったシーン。
まだ全文読んでないけど、そこで好きになったよ。
ネットで見てみたら『淡い好意』、『細やかな心遣い』って書いてあって『だよねぇ〜!! ※大歓喜( *´ `*)エヘヘ♡』という。最高かよ。
今の瑠衣と似てるわ。
基礎体温落ちて鼻水止まらねぇけどよ、そのささやかな暖かさだけで暖を取ってんぜ。
鼻かゆい。しんどい。