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第10話 時には神様を恨んでも良いと思います


「えっ? ローズヴェルクさんも平民の方なんですか?」

「うん、ていうか、レインで良いよ。呼びづらいでしょ」

「それなら私の事もリーゼと呼んで下さい」

 何故か、俺は今この世界のメインヒロインであろう女性と対面している。学園に来ていきなり遭遇するとは思っていなかったので、少し戸惑っている。

 自分でこんなこと考えたく無かったが、モブである俺はあまり近づかない方が良いのだろうとは思ったが、道に迷った彼女を放ってもおけなかった。

「えっと、俺はミリアーデさんて呼ばせて貰うよ」

「そう・・・ですか」

 名前で呼ばれなかったのがショックだったのか、少しションボリとした表情をしていた。

「とりあえず、入学式が行われる場所に行こうか」

「あ、はい」


 これが最後かもしれないヒロインとの会話を楽しみたいと思っていたが、学生達が集まって何か騒いでいた。

 人が多く、しっかりと確認出来た訳では無いが王子達がいたと思われる。理由としては、女子達がキャーキャー言いながら、「王子! 王子!」と連呼していたからだ。

「何かあったんでしょうか?」

「う~ん、気にしなくて良いと思う。それより、このままだと通れそうにないから遠回りしようと思うけど大丈夫?」

「案内をお願いをしてるのは私の方ですから、レインさんに付いていきますよ」

 ミリアーデさんの笑顔が可愛くて、会ったばかりなのに惚れそうだった。いや、俺がモブという自覚無かったら惚れてたと思う。この世界が、本当に乙女ゲームの世界だとしたら彼女と俺が結ばれる確率は0、そう希望が無いのである。初めて神様を恨んでしまいそうになった。

「こんなこと言うと失礼かもしれないですけど、私と同じ平民の方がいて安心しました。特待生として入学することになって不安だったんです」

「まあ、いきなり貴族様達の通う学園に入ることになったら不安だよな。正直、俺もさっきまで逃げ出したいと思ってた」

「でも、入ってすぐにレインさんと出会えたのは本当に良かったです」

「クラスまで一緒かは分からないけどね」

「・・・・・・あっ、あの、レインさん」

「どうしたの?」

「・・・・・・私とお友達になってくれませんか?」

 お友達になって欲しいと言った彼女の表情は緊張で少し強張っていたが、真っ直ぐに俺を見ていた。正直、驚きの方が大きく俺は動揺していた。

「えっ? お友達?」

「はい・・・ダメですか?」

「ダメじゃない、ダメじゃない、全然ダメじゃない。むしろ、ありがとうございますというか」

「えっと・・・」

「コホン、それじゃあこれからは友達ということで」

「はい! よろしくお願いします!」

 眩しすぎる笑顔を見て倒れないように必死に堪え、彼女と友達になれたことを心の底から喜び、入学式の会場に入っていった。


 入学式は、滞りなく進んで行き、代表挨拶として王子が壇上に上がっていた。攻略対象の内の1人だった気がするが正直覚えていない。後で、確認しておこう。

 無事に入学式は終わり、こうして俺の学園生活が幕を開けたのだった。



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