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十一月の告白 4/5

 先輩の突然の告白に再度私の時が止まった。いや、私だけ異次元の空間にいるような感覚を覚えていた。先輩の青い美しい目が私を捕らえて離さない。そして、彼に見つめられる視線に私の体はまた火照り、熱を発し始めるのだ。教室内の気温は冷え切っているのにも関わらず、私の額には何故か変な汗が滲み出てくる。


 「何で君を描きたくなったのか、あの時は分からなかった。だけど、無性に描きたくなってたんだ…筆が止まらなくなった…。そうだよ、あの時既に君に恋にしてたんだ」


 先輩は顔を赤く染め始めた私に気づく事なく、話を続ける。


 「それから次第に君を目で追うことが増えたんだけど…。でも俺なんかが…、こんな混血で、妖しい血が流れている奴に好かれているなんて、迷惑だと思い始めて…。あらぬ噂を聞いて嫌われたら?っていう不安が胸を駆け巡ってさ…。だから、夏休みは君と距離を置けるって、一度頭を冷やせる良い期間だって、すごく安心してた…なのに……」先輩は急に饒舌になり、私に話す隙さえ与えない。「勉強に疲れて散歩してたら君がいて…。馬鹿かもしれないけど運命だって感じてしまった。家を抜け出すことはしょっ中出来なかったのに、日を開けてあの公園へ行ってもいつもあそこに君がいてくれて…。凄く嬉しかったんだ…」


 私は何故だか涙が出そうな気持ちになっていた。私と同じように先輩が思ってくれていて嬉しかった。だがそれと同じく、恥ずかしい思いもしていた。これ以上の話を聞きたいような、聞きたく無いような…。そんな矛盾したどうしようもない思いが自分の胸の中でザワザワと音を立てて暴れ回っている。


 「どうしても君に俺の生い立ちを知って欲しくなった…。言われる方にとっては、それが重荷になるって分かってた…。でも、止められなかったんだ…。君は話を黙って聞いてくれ、俺を蔑むことは決してしなかった。それだけなんだけど、本当に嬉しかった。そして…、俺のことを理解し、涙を流す君の事を……、申し訳ないんだが、綺麗だなって思ったんだ…」


 「先輩、わたしも……」


 もう、先輩に私の思いもぶつけよう。だってこんなにも直接的に思いを伝えてくれたのだから。私も彼に答えたい。そう思い、彼に言葉を紡ごうとする。だが、それを遮って彼は私に告げた。




 「梅子さん、僕は君が好きだ……」


当時はこんな告白なかったと思われますが、

あくまで一小説として楽しんで頂けましたら幸いです♪

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