表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/81

十月の真実(上)4/4

 その夜、岡田進一と畠中月麦は、家族四人だけのとても質素な結婚式を挙げる予定だった。だが、進一はそれでも罪悪感があった。殆どの花婿は、妻の花嫁姿を見ることなく戦地に赴いている。自分だけが、非国民の様なことをしてまで結婚式を挙げてもいいのか…、と。


 「進一君がそう思うなら、戦争が終わったらあげればいい」義理の父親はそう言って、進一に酒を注ぐ。「もう戸籍は夫婦なのだから、いつ挙げようが問題ない」そして、進一を見つめる「どうやら、私たちは君を随分と勘違いしていたようだ。君の事を君の口から教えてはくれないだろうか?」


 進一は自分の生い立ち、そして岡田家そのものを彼に説明した。商売の事、裏金の事、そして兵役を全うしない事に対し、良からぬ噂が出回り、それが岡田家を潰してしまいそうな事…。全てを簡潔に伝えた。月麦の父はお酒を嗜みながら黙って聞いていた。


 「進一君との結婚は私たちにとっても凄く魅力だったんだ。この村にはもう若いものがいない。男は兵役に、女は疎開してきた学童たちの面倒を見に、あるものは子どもを養う為出稼ぎにでている。この村には辛い畑仕事と老人たちだけが残されたんだ。だが、進一君の父君が莫大なお金と共に疎開先を探していると、人伝いに聞いてね?藁もすがる思いでこちらから申し入れた。金は食料にはならないが、金があれば何とでもなることもある…。私たちは自分たちの娘を鬼畜な男の元に売ろうとしたんだ…」


 「それでも、私にとっては感謝でしかありません。父の商売をよく思っていない人が多かったので、私は疎開にいけず、もしあのまま屋敷にいれば、本当に非国民として近所の人達から一家もろとも吊り上げられ、路頭に迷うものもいたでしょう」


 月麦の父は大きく首を横に振る。「いいや、ここも同じだよ。結局、私たちも非国民を匿っているとの噂が嫌で、君一人しか受け入れなかったんだ。あんなにもの大金を積まれたのに……。君の事も周りには病人で兵役を全う出来ない病弱な体だと既に根回ししてあるから、元気な姿で外に出してやることすらできない。申し訳ないがこの屋敷で籠の中の鳥の様にひっそりと暮らすことしか出来ないんだ…」そう言って彼はこうべを垂らす。


 「とんでもありません。自分の立場は弁えています。どうぞ、頭をあげてください」


 


 結局、式を挙げることはなかった。そして戦争が終わって、岡田家の屋敷に戻ることになるまでの約半年間もの間、進一と月麦は本当の夫婦となることはついになかった。

文章能力が皆無ですいません。

こんな陳腐な文章で理解できておられますか?


簡単に言うと、進一は戦時中、

兵役逃れで疎開した先の娘と結婚します。

対価は岡田家から支払われる大金でした。

ただ、若い健康な男子は全て徴兵されていた為、

稀有な存在であった進一は、

疎開先で隠された存在となります。



難しい話ですが、

ここまで読んでくださってありがとうございます。

中編から、かなり辛い話になります。

それでは、一度60年代に時を戻して、

スタートさせていただきます。

宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ