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見果てぬ大地  作者: えっちぴーMAX
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剣の道のはじまり

「いけませんな…。」


「そうですか。ちなみに、なにがいけないのですか…。ゼノス師」


ゼノスによる、剣の稽古が始まった。

もちろん、子供の初授業との事で、遠征中に溜まりに溜まった書類仕事から、ブラムは時間を割いて、カズマの様子を見に来ていた。決して書類から、逃げてきたわけではない。


魔術も、貴族の礼儀作法も同年代の子供よりもずっと優秀であると考えていたブラムにとって、カズマの剣の振りは凡庸の域をでていなかった。


「カズマは本日初めて、剣を持ったのです。剣の構えも教えずに、振らせればこんなものでしょう…。」


つい親として否定したくなる気持ちが先の言葉を口にさせた。


「確かに、そうかもしれませんな。」


カズマが一心不乱に振っている剣は、ミッドソードと呼ばれる鉄の片手剣を両手で扱えるようにしたものである。

ゼノスにただ剣を持たされて、好きに振ってみろと言われ、カズマは剣をよしと言われるまで振り続ける。


「そのまま、自分が一番楽に剣を振ることができるように体の動き、剣の持ち方を考えろ。そして常に修正していけ、剣が体の一部として扱えるように、そして、剣が体の一部となるまで、肌身離さず、常に携行するのだ。」


「はい、師匠…。」


元気よく、ゼノスに返事をしたが、すでに腕がパンパンで、剣を振り落としそうである。初めて持たされた自分だけの剣にカズマは感動し、元気よく振り始めたが、今ではその元気もカラカラで、気力を振り絞って続けている。


全身の毛穴から汗が噴き出るのを感じる。心臓が高鳴り、周囲に聞こえそうだ。呼吸が上がり、胸が大きく上下する。喉も乾いて、ヒリヒリと痛む…。


「よし、そこまでだ。」


剣を落とさないように必死で握り続けていたが、腕の振りは肩より上には上がらなくなっていた。

正直、剣の素振りについてどのようにすれば上達できるのか想像できない。


「どうだったかな。坊ちゃん。」


嫌な笑いだった。ゼノスはわざとカズマの神経を逆撫でするように挑発していた。


「はい、全然剣を振るうことができませんでした。」


「では、何がいけなかったのかな?」


「力が、剣を自由に振れるだけの筋力が足りなかったからだと思いました。」


「なるほどな、確かにそれも一つだろうな。」


「他になにかあるのですか?」


「技術、だな。」


「技術?」


「ああ、剣を振るう技術、確かに今日、剣を振るうのは初めてだっただろう。だが、今までなにを見ていた。誰かが剣を振るうのを見たのも初めてなのか? 違うだろう、一流の剣士は、目で見て技を盗む。そして自分の剣にすぐに取り入れ、体に叩き込む。カズマ様の剣には、まだいずれの剣もないな。」


「カズマ様の剣の流派は何だ? 自己流か? それとも、この大陸一番の最大流派、ターナル正統剣技流か…。」


何も答えられなかった。カズマはとても驚いていた。剣の才能を持つ者、それは剣を愛し、剣に憧れ、剣の極みを目指す。年齢は関係ない。もっと言えば、男も女も関係ない。それをゼノスは言っているのだ。今までの人生で自分の好きな剣の流派は何なのか、それをどう取り入れて、自分の剣にしてきたのかと…。


"自分には何もない…。今まで、そんな風に剣を見てこなかった…。"


「ふん、今はそれでいい、だが今日からは、この俺の剣を手本とするのです。どこの国の流派でもない、ただひたすら魔獣を切るための剣、最強と呼ばれる龍をも殺す剣、ドラゴス滅剣を…。」


「ドラゴス滅剣…。」


"ひゅん"


近くで風が鳴った。その次の瞬間には、地面に亀裂が入っていた。師匠の巨大な剣、それを一気に片手で地面に振り下ろした。しかも剣先は地面についていない。恐ろしいまでの剣圧、振り下ろした際の風圧で地面を切ったのだ。


2メートルを超える大剣の深紅の刃は金属と魔獣の素材を魔術で合成させたものであった。鍔の部分は牙でできており、柄の部分は鱗でできていた。


カズマはゼノスが剣を振るう際、全身を魔力で覆い、剣先へと放出したのを視た。


「これがドラゴス滅剣…。」


その剣筋をカズマは脳裏に焼き付けるのであった。









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