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あまり強い言葉を使うな。弱く見えるぞ…?あ、ごめんなさい。強すぎて泣きそう。①


炎帝に切られた傷も癒え、両親に魔導学園に行きたいと話したら快諾された。

騎士一家であったため激しい批判が来るものと思っていたのでとんだ肩透かしである。



数日後には旅支度も終わり乗り合いの馬車で王都に向かった。

乗り合いの馬車は自分しかおらず御者のおじさんが話しかけて来る。


「にいちゃんは王都に何しに行くんだい?」

「魔導学園のテストを受けに。」

「そうなのかい!テスト頑張ってね!」


なんてことのない雑談をしている間にも魔力の操作のトレーニングを行う。

前世の記憶が戻り魔力が宿ったとは言え身体は別物。身体がまだ魔力に慣れておらず下手したら一面焼け野原になりかねない。

なので小さい魔力から少しずつ大きな魔力を扱えるように特訓している。


「にいちゃん、積み荷に隠れな。盗賊だ…」

御者のおじさんが声を潜めて注意を促す。


ふむ、成長の近道はやはり戦闘だな。

前世は数多もの戦いとピンチを乗り越え強くなった。

見るからにチンピラ風情の盗賊が十数人あまり。

この程度に手こずっては先はない。



「あ、おい!にいちゃん!!」

おじさんの制止に脇目をふらず盗賊の前に立ち塞がる。


「おいおい、身なりのいいにいちゃんだな。」

見るからに魔力を宿していない雑魚ばかりだ。


付加エンチャント:雷」

刀に雷を付加する。

あの日からゼウスを使おうとしているがどうにも使えない。

付加した刀で敵の刃を焼き切り、相手に触れる度に感電させ動きを止めさせる。


ものの数分で制圧しわずかな手応えを感じる。



「うん、いけるね」


「あんたやるな~」

御者のおじさんが口をポカンとしている。


衛兵を呼び盗賊を引き渡すのに時間がかかったため近くの村で一泊することにした。

盗賊から守ってくれたということでおじさんから宿代を出してくれた。

金がなかったためとても助かる。

晩御飯もご馳走になり早めに床についた。



深夜

悲鳴と焦げ臭いにおいで目が覚める。


刀を腰に据え外に出る。

目の前に広がった光景は目を覆いたくなるほど酷かった。


人が倒れ、建物は焼け、遠くから叫び声が聞こえる。

「いったい何が…」

町を歩き見目回っていると

「お、おっちゃん…」

御者のおっちゃんが倒れていた。

「おう、兄ちゃんか。早く逃げろ。ありゃバケモンだ。」

「おっちゃん!おっちゃん!しっかりしろ…よ…」

おっちゃんは事切れていた。

切られたあとがある。だいぶ荒いな。



小さな村の中心部の噴水にたどり着いた。



「よお、あんた強そうだな。」

そこには返り血で真っ赤に染まった青年がいた。

「お前がやったのか…」

刀に手をかけ相手の出方をみる。

「うへへ、皆殺しだ皆殺しだ。俺は強い俺は強い。殺す殺す殺す殺す殺す殺す。」


話が通じない。こいつはヤバい。

なにかする前に倒す。

刀を抜き相手に向かって走り出す。



「付加:狂化ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

男が呟いた瞬間、左目の視力を失った。一瞬のうちに切られていた。





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