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鍵穴の人間  作者: 蒼蕣
追憶の星
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絶望の戦い

「う、うわあ! デ、デビルさん! た、大変だ。早く、ワールド様に知らせないと」

運命の日、ホワイトは研究室でナイフが胸を貫通して倒れているデビルを発見した。

ホワイトは研究室を後にして急いでワールドがいる部屋に飛び込んだ。

「ワ、ワールド様!」

「何だい、騒がしいですね」

「すいません、実はデビルさんが研究室で死んでるんです!」

「何? あんたが殺したのかい?」

「いえ、そんな…」

ホワイトがワールドの方へ歩み寄ろうとしたとき、後ろからシャドウが入ってきてワールドのデスクに一枚の紙を差し出した。

「ワールド様、ご報告が。何者かがこの本部からどこか外部と連絡を取っていた痕跡を見つけました」

「ほう、一体どこと?」

「それは分かりません」

「まさかとは思うけど、うちらの中の誰かが作戦を外部に伝えてるってことはないかい?」

「それは…」

「フン、まあ仕方がない。昨日ファントムにこのあたり一帯を捜索しておいたはずだよ。その時に何の異常もなかったんなら、単なる間違いじゃないのかい?」

「昨日は不審な人物や鳥などは確認できませんでした。一応発信元と発信先を調べましょうか?」

「いや、昨日何もなかったんだったら大丈夫だろう。どっちにしても作戦はもう変更できない。デビルが死んだ今AI管理の責任をホワイト、あなたに託しますからね」

「かしこまりました」

「では、私とファントムは先に国会に潜入してきます」

シャドウが部屋を出ようと後ろを振り向いた。

「ああ、頼むよ。AIも連れて行くかい?」

「いえ、結構です。ロボットは潜入には不向きなので。では作戦通り我々が国会内部から、特攻隊のダークと新入りが南門と北門に、正面からワールド様達が囲むと言う形で」

「だが、内部は二人だけでいいのかい。作戦ではダークと新入りそれぞれのところに三体ずつAIを置こうと思うんだが、ニ体余っててね」

「そうですか。では残りの二体を拝借してもよろしいですか?」

「ああ、いいとも。なあ、ホワイト?」

「え? あ、はい。どうぞ」

「では、その作戦で。失礼します」

シャドウは扉の前で一礼をして、出て行った。

「じゃあ、私もこれで。AI達の最終調整に向かいますので。では予定通り二時にまたこちらに伺いますので、ワールド様方もご準備を」

ホワイトも扉の前で一礼を、急ぎ足で研究室に戻った。

「作戦実行まであと二時間、それまで何も起こらなければいいのですわね」

「ああ、そうだな。ロザリア、君に幹部達の監視を頼む。内通者がいるかもしれない。特に新入りには要注意してください」

「かしこまりました」

ロザリアは薄い笑みを浮かべながらワールドの部屋を後にした。

「ここからが私の野望の始まりだ…私のこの手ですべてを終わらせてやる」

ワールドは座っていた椅子の背もたれに寄り掛かりくるっと振り向いた。窓の外の道端に咲いているルドベキアを眺めて静かに目を閉じた。

「正義は決して朽ちないか…」


「じゃあ、私達も行くわよ。もしこの情報が正しければ、今日午後二時にすべてが決まる。北門に来るダークっていうのは恐らくあの雷男。ここはマークスさんと南君で挟み撃ちにしてちょうだい。でも油断しないで、ロボット達が周りにいるかもしれないから」

「分かった」

マークスさんと南君は私の目を見て深く頷いた。

「次に南門に来る海君には慎吾君と林檎ちゃん。海君の記憶を取り戻すのを最優先にして。もし記憶を戻すことができたら、北門か、私達がいる正面入り口に来て」

「任せてください。必ず先輩を助け出して見せます!」

「その間に私は周りにいると思われるAIを相手しなきゃいけないのね。面倒くさいわね」

林檎ちゃんは首を横に振ると、立ち上がり、持っていたバッグを肩にかけた。

「そして正面にいるホワイト、デビル、ロザリアとワールドは私達が相手する」

私は真斗の方を見て、目で合図を送った。

「大丈夫デスか? ホワイトはともかくそのほか三人は能力も知りマセン。むやみに攻撃できマセンよ。それに四対二じゃいくら何でも…」

マークスさんは真斗と私の二人を交互に見合った。

「確かに、大丈夫じゃないと思う。でもこれしか方法がないの。人数的にはこっちが不利。だからせめて北門か南門の敵を一体でも減らして、一気に崩す。そして最後に正面入り口で残りを倒すしかない。たぶんだけど海君の記憶さえ戻れば一気に戦況が逆転するはずよ」

「それとこの作戦を提供してきた誰かさんがこの中に入ってればいいんだが」

「でももう既に国会に潜入しているシャドウとファントムはどうするんですか?」

「その点は大丈夫よ。ね、南君」

「はい。その点に関しては後で説明します」

「じゃあ、残りの問題はロボットよね。何体いるかわからないんだもの。もしロボットが二十を超えてたら話にならない。前の病院の時だってそうだし」

「これは俺の推測だがたぶんそんなにいないと思うぞ」

真斗は顎に手を当てて、考えるようなそぶりを見せた。

「何でデスか?」

「だってよ、慎吾君ちを襲撃した時もその何とかの館での乱闘の時もAIはニ体しか出なかった。普通どこか襲撃するって時は余裕を持つためにもう少し人数を動員するだろ。てことはもともと五、六体程度しかいないんじゃないのか」

「じゃあ、まあ鬼庭さんの推測が当たったとして、それでもロボットは結構いるのよ。人数が多すぎない?」

南君はにっこりと笑って不服そうな林檎ちゃんを見た。

「大丈夫だ。こっちには五十人いるんでね」

林檎ちゃんは言葉が理解できないというような顔をして、にっこりと微笑んでいる南君を睨み付けた。

「では我々もそろそろ行きましょう、師匠。我々は議事堂の中から先輩を待つんですから」

「そうね、もう十二時になっちゃったし。そろそろ私達も準備しなくちゃ。じゃあ国会で待ち合せましょう。敵を説得させたり寝返らせることができたら急いで仲間のところに駆けつけること。すべてが終わったらここに戻って祝杯よ!」

「はい!」

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