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鍵穴の人間  作者: 蒼蕣
脳が誘う幻想
31/83

二年前の真実

そう、その時明日香が知ってる事実とは別にミステリー研究会が知っている真実を明日香にぶつける時がやってきた。

大沢海は、慎吾自家製のコーヒーを一口飲み、息を整えた。

「明日香さんは金子守とはどういう関係?」

「どうって、ただのクラスメートよ」

「だよね。何だ、彼の事を知ってるじゃないか。僕達もそれ以上は君たちの関係について知らないよ。僕はあの守ってやつが、明日香さんのストーカーだと思ったりもしたんですけど、どうやら勘違いだったみたいで」

「先輩、そうじゃなくて日向悟と近藤屋良の死の真相を知りたいんですよ」

「あ、そうか、そうか。僕はてっきり彼がどういう人なのか聞いてるのかと思って」

そして、海はもう一度コーヒーカップに口を付けた。

「で、真相は長くて面倒だから、結末を一言で言うと、彼らが死んだのはただの事故ではない。金子守と、健太という少年が共謀してやったことだ」

「そうだったんだ…」

「先輩、順を追って説明してあげてくださいよ。」

「でも、全部教えちまうと、記憶が飛んじまうんだろ?」

「いえ、大丈夫です。もう、心の準備はできています。どんな真実であっても、私は知りたいんです。お願いします。私に教えてください」

「明日香ちゃんがそう言うなら…」

そう言うと一回深くため息をして、語り始めた。世界で実行犯と彼らしか知らない、黒一色に包まれた真実を。


「じゃあ、まず近藤屋良と日向悟の交通事故から。僕達が調べたところによると、屋良君の運転した車で近くの港に行った時だったんだよね。それで、未来が見える悟君が、屋良君の死が今日だって教えてくれた。しかも、男前の彼は君に身の危険が及ばないように途中で降ろし、もしものために警察と救急車を呼んでおくよう君に伝えた。そして、その道中の急カーブで、目の前にいたダンプカーと衝突し、車は炎上。屋良君と悟君は丸焦げになってしまった。そしてそのあと彼らを病院に運んで、君は彼らを復活させた。そして、この事件の犯人である、ダンプカーの運転手は警察が来た時にはもうもぬけの殻、手掛かりはない。

でも、僕達は見ていた。実はあの時、屋良君の車に発信機を取りつけていたんだ。でも、途中で通信が切れて、気になって鳥に追わせてみたら、あの事故現場に到着、すぐにダンプカーの運転手を追跡した。道筋をたどると、二人の青年が走っているのを目撃した。今度は明日香ちゃんに悲しい思いをさせたやつらもつけ始めた。

そしたら、奴らがデスと呼ばれる奴に頼まれてやったという情報を入手した。彼らはデスを除いて五人組で、明日香ちゃんたちの身の回りに潜んでいるらしい。彼らの会議が行われる場所も突き止めた。そしてあいつらが金子守、もう一人が箕輪健太というのも突き止めた。でも他の奴らは顔を隠していて、わかんなかった。

もっとデスの情報を手に入れようと思ったけど、あの二人と違って、いつも辺りをキョロキョロしててあまり派手な追跡はできなかった。でも、よく明日香ちゃんの旦那さんが務めている大学病院に通ってたよ。ま、そんなわけで、彼らを監視していると、また事件を起こしたんだ。それが、日向悟の二回目の交通事故」

海はべらべらと話し続け、明日香が言いたいことさえ言う暇がなかった。

「あの時、悟君はボールを追って、道端に出た子供を救おうとして、車に引かれた。その車の運転手が金子守、道に出た子供が箕輪健太だった。おそらくだけど、彼らは彼が子どものために車に()かれることを予測していたんだろう。そして、見事彼らを死に追い詰めることに成功した。で、そろそろ明日香ちゃんや旦那さんを狙ってくるだろうということだったんで、あなたを付けていたんだ。そしてあの現場に到着したってわけ。はい、これで話は終了。あ~疲れた。もう、喉がカラカラだよ」

言い終わって気持ちよさそうに息を整える海に対し、明日香は息を凝らして、海が言い終わるのを待っていた。

「あの、言いたいことがたくさんあるの。まず、教えてくれてありがとう。次に、病院に通っている悪い人を何としてでも、名前だけでも突き止めてください。

それと私は今心に決めた。全世界の人達に未来をあげるのは後回し、悟と屋良君の真の犯人を突き止めなきゃ、それじゃないとこれからも私たちの夢の邪魔をしてくる。もしかしたら、私に加担したあなたたちにまで危険が及ぶかもしれない。そんなことは絶対ダメ。海君、慎吾君、それでも私に協力してくれる?」

「もちろんです! 我々はいつまでもあなたの味方です。なんでも言ってください。では早速カラスに発信機を付けてやつらに後をつけさせます」

そういうと慎吾は窓の外から口笛を吹いて、飛んできた数十羽の鳥たちに何か話しかけて、彼らの足に何か小さな機械を取り付けて、彼らを飛ばした。

「なるべく、慎重にね。彼らに鳥の事を気づかれないように、守君にあなたたちの能力見せたから、彼らはより鳥に注意してくるだろうから。それより、早く彼らの正体を掴まないと真斗が危ない。だから、またあとで。じゃあね! お邪魔しました」

そういって、明日香は部屋を出ようとした。

「待って明日香ちゃん。あと、君に教えなきゃいけないことがある。彼らに新しい仲間が加わった。名前は加藤一。ある研究所に開発された人工知能ロボットらしい。でもそれよりもっと人間ぽくて、戦闘力もありそう。通称AIワッフェていうらしい。そいつも病院へ行った。気を付けて。もしもの時は電話して」

そういい終わる前に明日香は部屋を出てしまった。彼らの携帯電話の番号も知らずに。

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