表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/68

異世界に迷い込んだ女子高生8



秋の夕方の少し冷たい風が吹き抜ける。



……どうしよう、どうすればいいの?



こんな妙な状況でも、幸いにも携帯は繋がっている。



「きさらぎ駅 帰り方」で調べてみた。



すると、意外にも該当するページは多かった。



その一つを開いてみる。



【きさらぎ駅から帰る方法6選】



そのサイトには、かなり具体的に色々と書いてあった。



1.物を燃やして煙を立てること。

2.携帯の充電を切らしてはいけない。

3.トンネルを歩いてはいけない。

4.山を登ってはいけない。

5.飲み食いをしてはいけない。

6.自分の名前を忘れてはいけない。



鞄からノートとペンを出して、震える手でそれをメモした。



帰りたい、帰りたい。



「6.自分の名前を忘れてはいけない。」と書いた横に自分の名前を書いた。



木梨きなし 沙羅さら



大丈夫、自分の名前は覚えている。



落ち着いて、冷静に行動すれば、きっと助かる。



そう信じるしかなかった。



携帯の充電は55%とあまり多くはないから、エコモードにしてすぐに閉じる。



モバイルバッテリーも充電器も持っていない。



だから、いざという時のために温存しておく必要がある。



小さなことでも、脱出に繋がることはやっておきたい。



あのページを見て、少し勇気が湧いた。



帰り方があるのなら、帰れるはずだ。



それに、きさらぎ駅の都市伝説では、失踪者より帰還者のほうがむしろ多い。



私は絶対に帰る。



ひとまずノートを鞄に戻して再び歩き出すと、直ぐに改札が目に入った。



出口は一つだけの平屋の小さな改札だ。



電子タッチの自動改札なんてものではなく、年季の入った木枠で組んである箱形の改札が一基設置されていた。



窓口の中を覗いて見たけれど、残念ながら人はいない。



しかし、窓口の中は電気がついていて、さっきまで人がいたような雰囲気だった。



他に何か情報は……



付近を見渡しても、電光掲示板も無ければ時刻表もない。



そこに漂うのは、薄気味悪い空気だけ。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ