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夜叉(ヤシャ)5



「あら、これはどういうことですの?」



和風ゴスロリの女性は私を抱きかかえた牛頭ゴスを見て、その表情を硬くした。



その声色には責め立てるような雰囲気すらある。



これはなんとなく…………修羅場っぽい。



「ごめんね、奥に隠れていてね」



真剣な声で牛頭ゴズはそう囁くと、私を床に降ろしてその背後に隠した。



「う、うん……」



なんとも言えない空気を感じ取り、素直にダイニングの部屋に移動する。



訳アリの関係……なのかな。



――パタン



後ろ手にドアを閉めて、気持ちを落ち着かせた。



ゴスロリの子は、丸っこい大きな瞳が印象的で、すごく可愛らしい顔立ちだった。



ロリ好きの牛頭が好みそうな感じだと思う。



なんだか嫌だな…………少し胸の奥がモヤモヤする。



耳を澄ませば、2人のやり取りを明確に聞くことが出来そうだった。



……でも、そうしたいと思わなかった。



私には、やることがある。



蝶の標本を見つけて、壊さないといけない。



今は、かなりのチャンスだ。



家探しをするには絶好の機会。



探さないと……!



多分、怪しいのは寝室だ。



――ガラガラ



速やかに寝室に移動し、鍵の付いた引き出しを探した。



軽く見渡しただけでも、文机の引き出しとタンスの引き出しが鍵付きのようだ。



そして、押し入れを開けると、年季の入った大きめの金庫があった。



さて…………これで全部かな。



候補は3つある。



1つ目は文机の引き出し、2つ目は黒檀のタンスの引き出し、3つ目は押し入れの中にあった金庫。



白い鍵を使えるのは1回だ。



蝶の標本の大きさを考えると、文机の引き出しはちょっと浅いし狭そう。



となると、黒檀のタンスか、金庫の2択のような気がする。



どっちだろう。



黒檀のタンスは服を収納する。



そんなところに蝶の標本を入れるだろうか。



しかし、金庫は随分仰々しい。



金塊でも入ってそうなしっかりした大きめの金庫だ。



ダイヤルと鍵が付いている。



そもそもこれって、この白い鍵だけで開くのだろうか?



分からない……



とりあえず鞄から白い鍵を取り出して、握りしめた。



時間はあまりない。



何となくだけど………………!!



私は黒檀のタンスの引き出しだと思った。



白い鍵を差し込み、右に捻る。



――カチリ



小気味いい音を立てて、鍵は開いた。



それと同時に、サラサラと鍵は手の中を滑り落ちて、跡形もなく消えた。



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