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異世界に迷い込んだ女子高生3



だ、誰か……!



鞄も持たずに、頼りない足取りで車両内を歩き回る。



他の車両になら、誰かいるかもしれない。



進行方向に歩みを進めて、汗ばむ手で連結ドアに手をかけた。



――ガチャ



期待を込めて重いドアを両手で押し開けると、無情にもがらんどうの車両が目に入る。



そんな……



……なんで、誰もいないの?



誰もいない電車の異様さに、全身から嫌な汗が出る。



心なしか蛍光灯は暗く、空気自体が重い。



妙な空気を感じつつも、震える足で前方車両の中を進む。



半分ほど進むと、臙脂色の座席に黒い何か置いてあるのが見えた。



学生鞄……?



近づいて見てみると、私の使っている鞄とそっくりだった。



中、見てもいいよね……?



鞄を開けると、見知った教科書やノート。



同じ学校の人の鞄なのかな。



あれ……



嫌な予感がして、ノートを開いてみる。



……なん、で……



そこに書いてあったのは、私の字だ。



今日の分のノートもしっかり取ってある。



だって、私の鞄は……さっきの車両に置いてきたのに。



その時、恐ろしい予測が立ってしまった。



まさか……ね。



黒い学生鞄の上に、青いノートを置いた。



そして、迫りくる焦燥感から、足早に元来た車両に引き返す。



――ガチャ



重いドアを開けて、元の車両に戻ってきた。



心臓は、おかしいほど脈打っている。



そして、私は見てしまった。



私の黒い鞄の上に、青いノートが乗っているのを。



「いやあああっ!!!!」



叫び声を上げ、その場に尻餅を付いた。



こんなことが起きる訳がない。



私は車両を移動したはずなのに、どうして前の電車と同じ状態になっているの?



もしかして、前に続いているように見える電車は全部同じ車両だとしたら?



「ウソ……こんなの、あり得ない!」



背筋が凍えて全身に鳥肌が立ち、手足がガクガクと震える。



絶対にあり得ない状況に、心臓が痛いほどに竦み上がった。



電車の車両がループしてる……なんて……



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