異世界に迷い込んだ女子高生1
学校から帰る電車に揺られて、微睡みの中に落ちていく。
心地よい揺れに身を任せているうちに、段々と音が遠くなっていくような錯覚を起こしていた。
残暑も過ぎた中秋の電車は、日が落ちると少しずつ寒くなる。
寝心地の悪さを感じているけれど、まだ寝ていたい。
その後、電車は何回か駅に停車し、ドアが開閉していたように思う。
東京からの下り列車なので、最初こそ混んでいるものの、段々と人は減っていく。
人の足音が遠ざかる中、ぼんやりした音声で「横浜」と聞こえた気がした。
そろそろ最寄り駅につく頃だろう。
起きなきゃ。
しかし、強烈な眠気に引きずられて、為す術もなく睡魔に攫われる。
分かっているのに、中々目が開けられない。
電車内の人の気配が、どんどん無くなっていく。
起きないと……
「ドアが閉まります、ご注意ください」
その一言は、やけによく聞き取れた。
その声で、パチリと目を開けた。
目を擦りながら窓の外を見ると、看板には「新浜松」と書いてある。
しまった!!
完全に寝過ごしている。
しかし、たった今扉が閉まったばかりなので、次の駅で降りて引き返すしかなかった。
……はぁ
大きな溜息をつくと、周りに誰もいないことに気づいた。
この車両に、私しか乗っていない。
なんだか落ち着かないものの、仕方なしに携帯を見て時間を潰す。
現時刻は17時46分
電車に乗ったのが17時くらいだったから、たっぷり寝ていたようだ。
電車はトンネルに入った。
車窓は黒1色に包まれ、時折くすんだ赤橙色のライトが過ぎ去っていく。