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異世界に迷い込んだ女子高生9



時刻表がない。



いつ上り電車が来るかわからない以上、反対側のホームで電車を待っていたほうが良さそうだ。



そう思って向かい側のホームに目をやった。



え………………?



人影がある。



オレンジ色の椅子に座っているのは、背広を着ている中年男性のようだ。



新聞を読んでいるらしく、こちらには気づいていない。



向かい側のホームに行くには、階段を上って跨線橋を通り、階段を降りて行く感じだ。



話しかけに行こう。



そう思い、足早に階段を上った。



あれ……?



階段を上りきったところで、また人影を見つけた。



跨線橋のちょうど真ん中あたり、その人は小さな窓から景色を眺めている。



トレンチコートを着た30代くらいの女性だ。



ショートカットの女性は手すりに凭れかかりながら、頬ずえをついて景色を見ている。



「あの、すいません」



女性に声を掛けた。



すると女性は窓に顔を向けたままで、話し始めた。



「懐かしいなぁ、あの山、あの川、あのトンネル……」



うっとりとしながら窓の景色を見て、微笑んでいる。



大ぶりのレトロなイヤリングが揺れた。



「お母さん、元気かな。

お母さんの好きなお土産を買ってきたのよ」



女性は私の話を聞く気が無いのか、まるで独り言を言うように話している。



女性の腕には、確かにハンドバッグとお土産らしき紙袋が下がっていた。



「3年前に喧嘩しちゃったの。

でもきっと、これで仲直りできるわよね。

私が悪かったって、謝りたいの。

早く会いたいなぁ、お母さん……」



そう言いながら、霧が解けるように目の前から消えた。



え……消えた……



そこにいて、さっきまで話していた人が、忽然と消えた。



目を擦っても、女性の姿はない。



ここは都市伝説の世界で……きっと現実じゃないから、多分、こういうことも……あるのかも……



鳥肌が立つのは、止められない。



その場に留まっているのが怖くなってくる。



なんとか足を動かして、階段を降りることにした。



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