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第9節 その1 マテリアの失踪

マテリアの消息は不明だった。


何者かに攫われたのか?それとも自分でいなくなったのか?それすら不明だった。


警備の骸骨兵によると、塔から外へ出た様子はないという。


俺たちが注意深くあたりを探ると、緑色の竜の鱗があった。


かつて一度だけ、公爵のグリーンドラゴンを見たことがあるという瑠璃は、間違いないという。


また、屋上の灯台部屋に、ドラゴンの爪痕らしきものがあった。


状況から考えると、襲われたようだが、実際には、公爵に攫われていると考えるのが妥当だろう。


マテリアを此処で殺しても伯爵の怒りを買うだけだ。


俺たちは早急に最前線に向かった。


今できることはそれしかない。






ノース・カパーを抜けて、渓谷を越えると、そこはもうエメル公国だった。


このあたりは、銀の師団が既に地域を抑えているので、食糧や休息などで立ち寄ることができ、かなりのスピードで中央都の目の前にある最前線の陣地へたどり着くことができた。




しかし、全軍のほとんどはドラゴンと緑の師団によって、大ダメージを被ったようで、士気はかなり落ちている。


そして、カルスの軍団もほとんどが、回復中で、カルスが伯爵の護衛につき、なんとか軍の体裁を保っているにすぎなかった。


この惨状の中で、そこにいた伯爵にマテリアの事を伝えると、全く知らなかったようだった。




「なんだと!?ありえん。


あの子のペンダントには、緊急時に私に繋がる魔法がかけてある。


眠らされでもしたのか?それとも見知った顔の奴が連れ出したのか?お前ではないのか?コースケ?もうこうしてはおられん、直ぐにやつら滅ぼしてやる。


あのトカゲ野郎、私を怒らせてただではおかん!!」


伯爵は気が動転して、今にも単身攻め込みかねない。






「伯爵どうして、このような事態に陥っているのですか?」


瑠璃が丁寧に挨拶をした後、率直に状況を尋ねた。




「ふむ。


私の当初の作戦では、中央都を包囲した後、緑の師団が出てきた場合は、カルスの軍勢でそれを倒し、ドラゴンがきたら、それは私が単独で対応する。


あいつは空からの攻撃をしてくるので、私ぐらいしかまともに戦えん。


実際ドラゴンは私が抑えてきたんだが、緑の師団が、予想外だった。


なぜか、《奈落の民》が1万もの軍勢で押し寄せてきた。


あいつらは強力すぎる。


カルスでなんとか一、二体と戦えるようなレベルだ。


とてもじゃないが骸骨兵では倒せん。


銀の師団も弓矢などで支援したが、結局こんなありさまだ。」


「奈落の民ですか?それは、あの地下ダンジョンの最下層にいた化け物のことでしょうか?」


俺はあの3年、いやもう4年前の出来事を思い出した。


たった二体だったが、あの強さは忘れられない。


骸骨兵でも相手にはならないだろう。




「そうだ。


やつらと同じマグマの化身だ。


公爵も自ら補助魔法を仕掛けてくるため、近づくことすらできておらん。


むしろこのままだと撤退もやむなしという状況だ。」


これは、かなり最悪な事態だ。


撤退しかないのか?


「しかし君たちが来たからには、作戦がある。


私の言った通りに行動するのだ。


いいな。




基本的に役割としては、コースケ、お前たちはとにかくその槍を使って奈落の民を倒せ、そして、私がドラゴンをなんとかしている間に、カルス、お前はマテリアを探せ、そして、公爵をとらえるのだ。」


「しかし、1万もの奈落の民はいくら俺たちでもどうにもなりません。」


正直な不安を伯爵に伝えた。


しかし伯爵は作戦に自信満々のようだ。




「お前にこれを渡そう。


これをつかえば、きっと倒せる。」




そして、戦闘がはじまった。




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