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第8節 その1 瑠璃の秘密


オブジディアンを倒した後、俺は可能な限り早くゴートを呼び出した。


もう隠す必要はない。


青白い炎のようなオーラをまとい、俺の分身ゴートがあらわれた。




「ネクロ野郎はやったのか?」


ゴートは、キョロキョロと誰とは言わず問いかける。




「ゴート!!!」


ヒスイはゴートに抱きつくと、号泣して、もう離さないとばかりにしがみついている。




「ああ、ヒスイが塵一つ残さず倒したよ。


そして、お前の正体もばらしちまった。


それから怒って、口もきいてくれないんだ。」


俺はゴートに簡単に説明する。




「そうか、こいつ《怒りんぼ》だからな・・・・・・。


なあ、ヒスイ許してやってくれよ。


さっきも言ったろ。


これが俺の仕事なんだよ。


なんか騙していたみたいで悪かったな。」


ヒスイは、ギロっと、顔を上げてゴートの顔をのぞき込む。




「・・・・・・騙していたみたいじゃなくて、騙していたでしょ!」


言葉を訂正するとまた、ゴートに胸に顔をうずめる。


ゴートは視線でやれやれという顔をこちらにした後、急に真面目な顔になり、何を思ったかヒスイの頭の上で、手をたたいた。


ヒスイは無視をしている。




再度、手をたたくゴート。


しかし、ヒスイが気にしている様子はない。




「・・・・・・ヒスイ、お前も俺に黙っていたことはないか?君は耳が聞こえないんじゃないか?」


ゴートが今までになく優しく、そして悲しそうに声をかける。




(なんだって?ヒスイの耳が聞こえない?そんなばかな・・・)


ヒスイはハッと顔をまた上げる。




「なんで・・・・・・、分ったの?」ヒスイが問いただす。


びっくりした顔で。




「そりゃ、分るよ。


見ていれば。


・・・・・・これであいこだ。


な?帰って飯でも食おうぜ?俺は腹が減ったよ。」


「・・・・・・うん。


実はそうなの。


あんまり知られたくなかったら。


黙っていたけど。


別に隠し通そうと思ったわけじゃないの・・・・・・今度話すつもりだった。


信じて!」


「別に疑わないよ。


それに俺にはそんなこと、どうだっていい。


その、・・・・・・もし、俺のいた世界に戻れば、治せるかもしれないしな。


むしろ早く相談してほしかったくらいだ。


どうすれば帰れるのか分らないし、君が来るは訳ないと思うけど・・・・・・」


「それにな」


そういうとゴートは、イヤリングを外す。




「ごううああと・・・・・・」


ヒスイがゴートの名を呼ぶ。


耳が悪いヒスイは本来上手く話しができない。


なので、自分のその声や話し方を聞かれるのが正直嫌だった。




「ヒスイ、俺は君の本来の声が大好きなんだよ。


だから何にも気にする事なんてない。」


「ごおうと・・・・・・」


またヒスイはシクシクと泣き出している。


生まれてきて、一番嬉しかったから。






俺はスライムマンに治してもらってなんとか生き返った衛兵二人と2頭の馬で馬車の準備をした。


ゴートとヒスイの二人には後ろの荷台に載ってもらい、自分は御者台に行き、衛兵の間に座らせてもらった。


衛兵が起きた後は、さすがに城主としての立場からか、泣きじゃくったりはしていなかったが、元気のないヒスイは、すごすごと荷台に乗り込んだ。


ゴートもそんなヒスイに連れ添って、くだらない話やら、俺たちがいた世界の話をしている。


今は、二人だけにしてあげよう。




ジェイドに戻った俺たちは互いに休息をとることにして、明日再度、城に行くと伝え、宿屋に戻った。


ヒスイも疲れ切った様子で、無言で城へ戻って行った。


宿屋に戻った俺たちは、そのままベッドにダウンした。




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