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第4節 その3 ネクロポリス

 その後俺たちが辿り着いた場所は最悪と言っていい場所だった。


そこは何かの宗教的な集まりがある広場なのか、大勢の人々が奥にいる包帯だらけの僧侶に土下座をして、お祈りやお辞儀を繰り返している。


しかし、おかしいことはそんなことではない。


おかしなうめき声は人間や魔族のものとは思えない声で、まともではない。


狂っているようだ。


しかし、それも違うのだろう。


なぜなら、彼らは明らかに既に死んでいるのだから。


おそらく彼らはゾンビ。


体は腐り続け、心も既に消え失せている動く死体。




しかし、どうやっているのか、その包帯だらけのミイラのような司祭は、彼らを操っているようだ。


まさに《ネクロマンサー》。


そして、ここは死者の街だ。


俺たちは気持ち悪さに吐きそうになりながら、脱出を試みた。


この広場の周りに逃げ道はたくさんある。


静かにその場を抜け出し、ある程度の距離を取ったところから走り出した。


そして、先ほどの村の礼拝堂まで来た道を戻ってくると、深呼吸をして、息を整える。




「やはり、とんでもないところだった。」


瑠璃に肩を上下させながら、同意を求める。




「そうね。


あれは、おそらく《ネクロポリス》。


この国の3人の男爵の一人に《オブジディアン》というネクロマンサーがいて、死者の軍団を作っているという話を聞いたことがあったけど、何故ジェイドの領内にあんな街を。


彼には自分の領土らしい領土はないの。


昔は国の南西部に、自分の国があったけどいつのまにか滅んでいたというわ。」


瑠璃は目を逸らしつつ語る。




「きっとそいつだ。


とにかくこのままでは君の街まで滅んでしまうぞ。」


「ええ、なんとかしないと、いったんここで休んで、すぐにでもジェイドに戻りましょう。」


 瑠璃がそう言ったとき、先ほど聞いたあの腹の底から気分が悪くなる呻き声が聞こえてきた。


どうやら、数十体のゾンビ達に囲まれているようだ。


最悪だ。


瑠璃は気丈にふるまおうとしているがさすがに怯えている。




「瑠璃、俺がやつらをできるだけ、近くまで引き付けて逃げ道を作る。


そして、礼拝堂の中に奴らを足止めするから、その間に逃げろ。


俺の事は気にするな。


昔ゾンビと戦ったことがあるんでね。


奴らの相手は慣れている。


もう何十体も倒したことがある。」


嘘は言っていない。




「ゴート、だめよ!無茶よ。


私も戦う。


こう見えても・・・・・・」


瑠璃の言葉には耳を貸さない。


僕は背中の槍を取り出すと、言葉を遮る。




「瑠璃。


駄目だ。


これは絶対聞いてもらう。


水と食べ物の借りを返すと思って言うことを聞くんだ。」


ゾンビが四方の壁を壊し礼拝堂に入ってくる。


強烈な力だ。


アクアマリンを持っていればと死ぬほど後悔した。


最初の一匹目が自分たちの直ぐそばまで来た時、俺は槍を豪快に振いゾンビを薙ぎ払った。


そして、そのまま返す槍で、道を開く。




「よし、そこから、礼拝堂を出て、そのまま抜け出せ、絶対に街に帰るんだ。


俺は違う方から抜け出す。


振り向くなよ! うおおおおおお!!!」槍でゾンビを切り払い、薙ぎ払う。


しかしゾンビはまた立ちあがってくる。


瑠璃はゾンビの包囲網を抜け、礼拝堂の外に出たところでこっちを見ている。


瞳には涙があふれている。


俺の槍はほとんどのゾンビをなぎ倒したが、それも時間の問題だった。


どうやっても倒しきれない。


だんだんと体の周りに取りつかれ、今は体全体を抑え込まれ、噛みつかれている。




「振り向くな!!!瑠璃。


頼む。


・・・・・・俺は、絶対、また、・・・・・・君に会う・・・・・・だから、こっちを見ないでくれ・・・・・・」


僕の槍はまだ動いているが、脚はもう動かない上半身だけでなんとか瑠璃にまだ生きていることを伝える。




「ゴーートっ!!!私、信じてるから!!!約束よ!絶対!」


瑠璃は泣き叫びながら、俺の言うことに従った。


走り去った瑠璃の後ろ姿が見えなくなった頃。




(もう、いいかな。


限界だ。


ああ、これで俺も終わりか・・・・・・・)


そして、俺は完全にゾンビ達に飲み込まれていった。


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