第4節 その2 消えた村人たち
俺たちは村の四方の民家を見て回った。
どこの家も荒らされた様子はなく、瑠璃が言っていたように、夕飯の途中に、来客がきて、家族全員でついて行ったまま帰って来ない。
そんな感じだ。
実際に、その予感は的中しているようだ。
玄関の外に家族全員分の足跡が残っている。
なんでそんなことが分るかというと、玄関に靴が残っているということと、足跡が裸足だったからだ。
これは尋常ではない。
瑠璃とさらに他の家でも確認したが大体状況は同じで、しかも足跡をみると、皆同じ方向に向かっている。
どこの家も食事の時間だったらしく、西側がまだ食事が手付いていないところが多く、東側は食後が多かったことから、東から来て西側に向かったように思われる。
というよりも反時計回りにまわったといったところか。
足跡が向かう先を追って行くと、北東の方に向かっている。
村を西から東に抜ける街道ではなく、北東にある林を抜けて行っているようだ。
あたりの草が大量に踏み荒らされている。
「間違いなさそう。
村人は何かに操られて、こっちの方に向かって村を出たようね。」
瑠璃も俺も意見は一致している。
この先に行けば何か判るだろう。
おそらく、村人たちもいる可能性が高い。
しかし、どうにも不安だ。
猛裂に嫌な予感がする。
「どうする?俺は正直気が進まない。
何か想像もできないまずい事が起きているような気がするんだ。
準備をして、もう一度出直すべきだと思う。」
俺は素直な気持ちを言った。
分らないことが多すぎる。
それに瑠璃を危険な目に会わせたくない。
「いえ、ここまできたら先に行きましょう。
ジェイドまで戻って、また出直すとしても丸2日以上かかるわ。
食糧もまだ1日分程度はあるんだし、あと1日は調査を続けるべきだわ。
私が一番心配なのは、そうして時間をかけている間に村の人達の命にかかわるようなことが起きるかもしれないという事よ。」
俺にも時間がない。
2日以上もかけるわけにはいかない。
そして、瑠璃の言い分はもっともだ。
そして、俺の意見はただの想像でしかない。
瑠璃は頭の回転も速いし、信念を持っている。
下手に食い下がっても無駄だろう。
「わかった。
瑠璃の言うとおりだ。
俺も行くよ。
直ぐに行くとしよう。」
「ゴート・・・・・・ええ、そうね。
行きましょう!」
瑠璃は俺が賛成してくれた事が嬉しかったのか微笑んだ。
俺たち二人は、村人たちが消えた方向へ、向かうことにした。
日はもう落ちかけていた。




