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第3節 その2 分身の冒険

街道から脇にそれた小道とその先に見える煙をたよりに、その先にある小さな村へたどり着いた。


民家はまばらで、人気もない村だった。


おそらく100人いるかいないかではないだろうか。


どうやって怪しまれずに聞き込みをしようかと考えあぐねていると、後ろから声をかけられた。


美しい艶のある長いエメラルドグリーンの髪をポニーテールにしているその娘は、自分と同じもしくは少し年上かもしれない。


透き通るような白い肌をしており、髪よりも少し濃い緑碧色の大きな瞳でこちらを見ている。


これまで、こちらの世界に来てから出会ったどんな女性より《美しい》と感じた。


見惚れてしまったのだ。


俺がボーっとその娘を見ていたのが、気に障ったのか、にゅっと目の前に顔を突き出してきて、問い詰めてくる。


背も自分より少し低いくらいで、そうされると思わずのけぞってしまった。


少しドキドキする。




「あなた、私の話をきいていますか?ねえっ?!」怒った顔も拗ねたような愛くるしさを持ち、見ていて飽きない。




「何をニヤニヤしているのですか?聞いていますか?怒りますよ!」


更に顔を近づけて来る。




「あぁっ。


ごめん。


なんだっけ?」


俺は我に帰り、失礼な態度をした事を謝った。




「だから、あなたはこの村の住人ですか?私は北の街からやってきたものですが、このあたりの悪い噂を聞いて、お話を聞きたくてやってきました。


村には誰もいないので、困っていたら、あなたがやってきたので、声をかけたのです。


何かあったのですか?顔色が悪いようですが、大丈夫ですか?」


どうも俺の事を心配してくれているようだ。


実は優しい子なのかもしれない。




「ああ、いや、俺も今この村にきたところなんだ。


えぇっとまぁ俺も似たようなものかな?ちょっと人に頼まれてね。


この村の様子を見て来てくれと頼まれたんだ。


そっかー、いやー、まいったなー・・・・・・」


かなり適当なことを言ってしまった。


でも嘘ではない。




「そうですか。


あなたも。


では目的は同じですね。


どうもこの村の人たちは、消えてしまったようです。


どの家も、もぬけの空です。


ですが、数日前まで生活していた痕跡が残っていました。


それもどうも引っ越したとかという感じではなく、突然消えたような感じです。


食事の用意がされたままだったり、衣類なども残っていました。


さっぱり分りません。」


その娘は頭を抱える。


大人びた顔つきの割に、首をかしげるしぐさ等が少し子供っぽい。


やはり、自分より年下かもしれない。


また機嫌を損ねるのもまずいと思い、差しさわりのないことを言う。




「それは不思議だ。


誘拐されたのかもしれないな。」


うんうん。




「いえ、それはないわ。


もし、誘拐なら、1件や2件、抵抗した人がいるはずでしょ?でも、そういう所は1件も無かった。


数十件みたけどね。


おかしいと思わない?」


真面目な顔になる。




「ええっ?!そっか。


それは不思議だ。


うーん。」


(まずい、バカっぽいぞ、俺。)


カッコつけたい俺だった。




「そうなんです。


参りましたね。


あなたを見つけた時は、とても嬉しかったのですが。」


「ええっ?!そうなの?・・・・・・あっ、そうだよね。


うん。


俺も嬉しかった。」


(もう駄目だ。


何言ってるんだ俺。)


「そうでしょう。


それではとりあえず、行きましょう。


ここにいてもしょうがないわ。」


「ええっ?!あっそうだ。


そうしよう。


休憩が必要だな。


ちょっと相談もしたいし。」


「ええ。


私もそう思っていました。


あちらに礼拝堂のような場所がありました。


そこなら、休めそうです。


行きましょう。」


「ああ。わかった。行こう。」


落ち着いたふりをして話を合わせた。


こちらも望むところだ。



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