表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/87

第6節 その1 ウエストカパー

 農業地帯が広がるウエスト・カパーは、城塞都市よりかなり広い。


人口こそ、密集しているわけでもなく、それほど多いとはいえないが、この辺境の国の中では城塞都市の次に発達した地域であり、小さな町や村が、複数存在している。


そんなウエスト・カパーの中心にある町役場へ着いた僕たちはこれまでどおり、町長に挨拶をし、交易再開のために、伯爵の使いできたことを伝えた。


町長は大喜びで、サウス・カパーの海産物やノース・カパーの畜産物、そして、城塞都市の鍛冶屋や、その他もろもろの取引ができることに大喜びだった。


しかし、町長はそのために大きな障害があることを僕たちに説明してくれた。


この街の北東に広がる《エメル山脈》の麓にあるダンジョンが魔物の巣窟になっており、そこから這い出る魔物により、街道を安心して通れないのだ。


ウエスト・カパーの住人たちも、魔物退治やダンジョン調査に乗り出したが、倒しても、また湧き出てくる魔物たちの前に、いつしかあきらめてしまったそうだ。


分っている範囲で地下10Fまで、それ以下の階層には辿り着いてすらいないという。


他にも街の人達、特にダンジョンからの生還者からの情報は有益だ。


僕らは宿屋と食事を提供してもらい、かき集めたそれらの情報を元に、ダンジョン攻略の作戦会議をいつものように開くことにした。



 僕らは宿屋の暖炉の前で、今回のクエストの目的について、伯爵が言っていたことを思い出す。


概ね町長の話と同じだが、伯爵は具体的な原因を知っていた。




(この修行の目的は総合的な訓練も兼ねている。


戦闘力・持久力・生き抜く力を身につけることだ。


そのころには、お前の体に残る腫瘍も取り除く体力もついているだろう。


私もそれまでに準備をしておく。


クエストの基本的な目的は、現在この国で一番大きな問題が西にある地下ダンジョンの最下層にある《悪魔ゲート》と呼ばれるものだ。


《悪魔ゲート》は地下世界である《奈落》に繋がっている。


その《悪魔ゲート》を通り、《奈落》から出てくる魔物が西の広大の農地や住民に被害を与えている。


地下ダンジョンの最下層を目指し、《悪魔ゲート》を閉じるのだ。


また、そのダンジョンの最下層には以前私が使っていた長い槍がある。


強力な武器であるそれを手に入れるのだ。


ゲートが閉じて魔物さえ出なくなれば、西の住民はすぐにでも城塞都市に交易に来るだろう。)


つまり、まとめると以下の4つのことが今回のクエスト達成条件であり、それにより、これまでの長かったクエストの旅、伯爵からのミッションが完了となるはずだ。



1.ダンジョンの最下層にある《奈落》世界へ繋がるゲートを閉じる。これは、サハギンが出てきた穴を塞いだような感じだろう。問題はどのくらいダンジョンが深く、魔物がいるかだ。そしてその強さも現状では計り知れない。


2.最下層に行って、伯爵の槍を持ち帰ること。これは最下層に行くついでで良いだろう。


3.ゲートを閉じたあと、街道沿いの魔物を退治すること。これは時間さえあれば、問題ないだろう。ゲートを閉じてしまえば、無尽蔵に魔物が増えることもないはずだ。


4.そして、最後に、街の交易を再開させることだ。魔物退治後であれば、難しくはない。



結局、分っていたことだが、ダンジョン攻略が鍵だ。

僕らは、街とダンジョンまでの安全な道と所要時間を図りつつ、常に補給を怠らず、少しずつ最前線を深い階層まで広げていくという作戦を立てた。


10Fまでの魔物のタイプと大体の地図は作成済みだ。


作戦決行は明日の早朝。


今日は早く寝て、明日に備えることとした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ