第3節 その3 北の洞窟
次の朝、僕らは早速、北の洞窟へ向かった。
洞窟は普通に街道のつきあたりにあり、確かにしめ縄でふさがれている。
僕らはそれを切らないようにくぐって、奥へ入る。
中は暗いが、全く見えないほどではない。
ひんやりと冷たい空気が僕らの体を凍えさせる。
ポチャリポチャリと、水滴が天井から滴っている。
ただでさえ寒いこの世界にしては、この島はやや暖かいと思っていたが、この洞窟はとても寒い。
奥に進むにつれさらに寒くなっている気がするなと、考えていたら、奥の方から水の音が聞こえてきた。
先に進むと、そこには滝があり、川が流れている。
川はさらに奥の方に流れているが、地面に潜りこむように、流れ落ちていて、その先には行けそうもない。
滝がながれ込んで来る上方には高すぎてとてもいけそうもない。
つまり行き止まりということだ。
「行き止まりだね。
うーん、ここじゃないのかな?」
マテリアが、ごくまっとうなことを言ってくる。
しかし、僕には心あたりがある(といってもゲームや漫画の世界だが)。
こういう時は、大体滝の奥が空洞になっていて、滝をくぐると道が続いているというやつだ。
「僕が思うに、この滝の奥が怪しい。」
そう言って、僕は滝をくぐる。
滝の流れは思ったよりも強く、くぐりぬける前に滝に体の自由を奪われてしまい、(というより、滝の先には壁しかなかった。)この空洞の川の端まで流され、そこで壁に激突した。
やはり、川の水が流れる先には人が通れるような隙間はない、ことは体で証明できた。
「痛っ!!」
僕は叫んでしまった。
「コースケ!大丈夫!」
マテリアがこちらへきて、心配そうに声をかける。
「うっ、うん、痛いけど、大丈夫。
でもどうしようか・・・・・・。」
我ながらかっこ悪い。
僕らは少しあたりを探ってみた、壁を触ったり、抜け穴がないか床をさぐったり、
再度、滝の穴に挑戦してみたが、同じことになっただけだった。
八方塞がりになった僕らは、いったん町に戻ることにした。
帰りながら、どうしようかと話していると、行き道を歩く際には、全く気付かなかった、分岐路があっさり見つかった。
たしかに逆方向からでないとこれは分りにくい。
僕らはここだと思い、そちらへ向かった。
この先にどんな怖いものが待ち構えているかなんて考えもせずに。
この時はまだ、このクエストを完全になめていたのだ。




