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プロローグ


閃輝暗点せんきあんてん




僕は1年くらい前のある日、この症状に襲われた。


それは不思議な感覚だった。


最初は、目にゴミが入ったのだと思った。


視点からちょっと外れた視界の一部がぼやけている。


本を読んでいた時に、突然途中の一文字が霞んでいた。


誤植かと思ったが、本を少しずらすと、違うところが霞んでいる。


そして目をこすっても霞は消えない。


どちらの目だろうと右目を手でふさいでみたが、まだその霞はあるので今度は左目をふさいでみた。


しかし、霞はやはり消えなかった。


どういうことかと思っていると、その霞の周囲に、何十もの小さな金色の三角形がぐるりと現れた。


ゲームの中のポリゴンのようなその三角形は点滅しながら霞の周りに沿って動いている。


「何なんだ、これは・・・・・・?」と思っているとだんだんとその霞が大きくなっていく。


金色の点滅はプリズムのように《虹色の光》を放っている。


目を閉じても消えてくれない。


直接視神経に、おかしなデータを入力されているようだ。


視界の大部分を霞が覆い、目の前が狭くなって気持ち悪くなってくる。


二十分以上そんな状態が続き怖くなったが、結局視野全体に拡がったかと思った後、だんだんと薄くなっていき、いつの間にか元に戻っていた。



しかし、同じ《現象》というよりも《症状》だろう、それが同じ日の夜にまたあった。



次の日の放課後。


この症状が怖くなった僕は図書館のインターネットを使い調べてみた。


すると体験したほぼそのままの症状が大規模辞書サイトに載っていた。


そこには《片頭痛の予兆》とか《脳の疾患の可能性がある》と記載されていたが、そんな症状や心当たりは全くなかった。


だから、しばらくは気になっていたが、それ以降一度も起きなかったので、忘れかけていた。



たった今この《症状》が目の前で起きた時、「ああ、またあれか・・・・・・」ぐらいにしか思っていなかった。


しかし、その霞と輝きは、前回と違い、僕の視界で起きているというよりも、実際に僕の周りで起きている《現象》のようだ。


それは最終的に僕全体を覆いつくし、点滅自体が収まったかと思っていたら、いつのまにか周りが全て《暗闇》になっていた・・・・・・。


もしかして、


「消えてしまいたい。」


そんなことを思ったからだろうか。


いや、それ自体は今日初めて思ったことなんかではない。


そうだ、なんの痛みもなく願いがかなったのだからいいのではないか。


不思議と静かな気持ちになってくる。


周りの音も消えている。


僕は久々に安らかな気持ちに満たされていた。


それが僕の《この世界での最後の感情》だった。



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