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序
そこは、世界樹に最も近い世界、アルフィアーナ。
3人の運命神が強く影響を及ぼす世界。
「でっかい水たまりだあなあー」
山奥の集落から湖水地方に出てきたばかりの若者、ワリリンは、初めて見る湖に目を輝かせた。
彼の出身地に川や湖・海はなく、地下水を井戸から汲み上げて使っていた。
ワリリンは幼い頃、漁師の活躍する口伝を聞いて以来、大きくなったら漁師になるのだと決めていた。
脳裏に、颯爽と船を走らせ、釣竿を使いこなす将来の自分が、まざまざと浮かぶ。
(大丈夫かしら?)
道中で出会い、旅を共にしてきたリスのティムは、少し不安そうに、はしゃぐ若者を、その肩の上から見上げていた。






