中編
「買い物ぐらい、一人で行って来ればいいじゃないですか」
私は堺さんにそうぼやいた
「まぁまぁ、俺だって女の子と買い物とかしてみたかったんだよ~」
まぁ、堺さんの部屋女っ気皆無だったもんな…仕方ないのかもしれない…
「…何か今、物凄くバカにされた気がするんだけど…」
「気のせいです」
「いや、それは図星を突かれた人が言うセリフだよね!!」
「気のせいです」
ついでに、私は必死に目を反らしつつ、汗をかいていた
「絶対嘘だよね…汗、凄いよ…」
「気温のせいです。太陽が有給を取らないのが悪いんです…」(この日の最高気温約27℃)
苦しい嘘を吐きながら私達は近所のスーパーまで歩いて行った
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「何か夕飯のリクエストとかってある?」
「いや、特には無いです」
ここは、遠慮をするのが居候させてもらう人の立場ってものだろう。遠慮なく遠慮させてもらおう…
「ていうか、堺さんって料理出来るのかなぁ?あ、一人暮らしなら出来て当たり前…でも、台所あんまり使って無さげだったし…」
私が何気なく呟いた。すると堺さんは
「出来ないよ。料理とかってあんまりやんないからさぁ…」
「じゃあ、さっきの『何かリクエストが~』の件は何だったんですか!!ちょっとでも期待した私がバカみたいじゃないですか!!!」
私が突っ込むと堺さんは若干引き気味になっていた
「かっこつけてました…すみません…いつもはコンビニ弁当で済ましてます」
コンビニ弁当って…
「栄養ちゃんと取れてるんですか?」
そこが一番心配だ
「やれやれ、最近のコンビニ弁当をなめちゃいないかい??あれはあれで、ちゃんと栄養が取れるようになっているんだよ??知らなかったのかい??」
やばい。初めてこの人の事をウザいと思った
まぁそれはいいとして、
「で、どうするんですか?私が料理しましょうか?」
「その腕前はいかに!?」
「家庭科の成績は万年③です」
堺さんは驚いた表情を浮かべ
「コンビニ弁当でお願いします」
と言っていた。まぁ、家庭科の成績が3の人の料理なんて食べたくも無いのが普通だろう
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
結局私たちはコンビニで弁当を買いアパートに帰りそれを食べた。意外とおいしい物なんですね…
それにしてもこのアパート何度見てもぼろいなぁ…
そして私はこんな所で寝泊まりを…
そんなことを考えている私の事を放って、堺さんはパソコンに向かって何やら仕事をしているようだった。
…そんな彼を見て私は…
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
気が付くともう朝になっていた。
時計は…え!?うそ!9時!?
「堺さん!…ってあれ?堺さ~んどこですか~」
まぁ、全く広い部屋ではないから、堺さんが家に居ないのも分かってはいるが念のために呼んでみた。勿論、堺さんはもうここを出ていた。取りあえず顔を洗おうと思い机に手を着くと置手紙があった。
『おはよう!よく眠れた?学校の方には電話してあるから安心してくつろいでていいよ~。おやつは程々にね』
…思いっきり子ども扱いされてるよ…
学校には行かなくてもいいらしいので取り敢えず最寄りのコンビニまで足を運び、朝食を買いに行った。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「何あの店員!?人の顔をじろじろ見やっがて!!失礼にもほどがあるでしょ…」
ぶつぶつ私が文句を垂れていると堺さんが帰って来た
「な…何怒ってんの?」
物凄く引かれてる…何か別の話題を!!
「……仕事早くないですか??」
時計はまだ10時になるかならないか位を指している。それなのに堺さんはもう帰宅をしている。社会人としてそれはどうだろう?
「あぁ、俺って基本、夜景を撮ってるからさぁ…今までは下見に行って来たんだよ」
「夜景、ですか…」
夜景といえば私のいつも買っている雑誌に夜景とか夕日とか風景を写している写真家がいた様な…名前は確か、
「よかったら、今日の撮影ついて来る?」
……Sakaⅰだった気がする……
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今は夜の10時前だ…