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前編

ハートシリーズ第3弾!

今夜も名の無い「世界の管理人」が贈る心の物語を御覧に入れましょう

こんばんは。また今夜もお会いしましたね… 

ところで、いつものことながら

皆さんはこの世界には「誰にも打ち明けてはならない事実」があることをご存知ですか?

今夜は、その代表としてある『写真家』と『少女』の物語をお話いたしましょう。

それでは、Let’s show time!!

…指を弾く音が辺りに響いた…

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

突然ですけど私には親がいない。

母は私を産んでその場で息を引き取り、

父は…私を捨て、今は何処で何をしているのか、まず、生きているのかすら分からない。

写真も祖父母が私が生まれてすぐに捨ててしまったため見たことも…無い。

そんな父、否、父というのも憚れる程の存在を私は憎むこともなく過ごしてきた。

今は祖父母の手で育てられ、高2の夏を迎えていた。



今日が秋の始まりだった。私は祖父母と喧嘩をしてしまい家を出てきたところだ。

「なんだって、あんなに怒る事じゃないじゃん…それに、だいたい…」

私はぶつぶつ文句を垂れながら公園のベンチに座って缶コーヒーを飲んでいた。私は無類のコーヒー好きなのだ。

いつまでもこんな所にいる訳にはいかず、私は中身の空になった缶を投げ捨てここから立ち去ろうと思い、歩き始めた。

すると。不意に後から声を掛けられた。

「ちょっと~、こんな所に空き缶、捨てちゃダメでしょ~?ゴミはちゃんとゴミ箱へ!ね?」

振り返るとカメラを提げた若い男が立っていた。ここらじゃあまり見ない顔だ。

「じゃあ、捨てといてください」

こういう奴には関わらない方がいい。本能がそう叫んでいる。

「ちゃんと、自分で捨てなさい。君、ここら辺の子?」

面倒くさくなってきたので、私は缶を受け取り、ゴミ箱へ入れた。

「はい。あのマンションに住んでます。」

男はそれを聞くと満足そうに、頷き、

「へぇ~。名前は?俺は堺和人」

「明梨。小橋明梨です」

「じゃあ、明梨ちゃん。ここじゃ何だから、近くの喫茶店にでも入って話そうか」

堺さんはそう言って歩き始めた。

私はこの人を何故か疑うことができず、ついて行くのだった

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「へぇ、じゃあ、明梨ちゃんは天涯孤独の身って訳だ?」

「いや、父は生きてるんだと思うんですけど。確証無くって…」

色々な質問を受けた。

そして、私も隠すことなく答えていった

「大丈夫、絶対生きてるって!きっと、毎日明梨ちゃんの事考えてるよ~。安心して?」

「なんでそう思うんですか?」

「うん?だって、親って、自分の子供を第一に考えるし、きっとそうだよ!うんっ!そうに決まってる」

自信満々に答える堺さんを見てると、なんだか、笑いが込み上げてきた

「フフ…じゃぁ、そうですかね?」

「ところで、なんで家出なんてしちゃったの?家の人達心配してんじゃない?」

「実は…」

また、質問が始まった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「そっか~。だったら、今家に帰りづらいんじゃない?どうするの?」

痛いところを突いてくるなぁ。

「はい…。正直、そうなんですよね…」

素直にそう答えると、堺さんは、少し考えて

「じゃあ、家に泊まりなよ。ただし、君が、自然な笑顔を見せるまでっていう期限付きで」

そう言った。っていうか、期限になってないし…自然な笑顔って…

「それなら、さっき見せちゃったじゃないですか」

もうアウトなんじゃないだろうか?

「いや?さっきのは、自然じゃなかったよ?無理に笑っていたんじゃない?」

「え?」

ドキッとした。うまく笑えたと思ったのに…

「どうして、分かったんですか?ていうか…」

言葉が見つからない私に彼は笑顔で

「だって俺。カメラマンだし」

と言って、私に向けてシャッターを切った。

「で、結局どうするの?」

私は彼の提案に二つ返事で答えたのだった





堺さんの家は、古いアパートで如何にも「男の一人暮らし」っていう感じだった

「本当にここなんですか…?」

「ま、まぁ、ちょっと古いけど、トイレと風呂は一部屋に一つずつ付いてるから…」

まぁ、いいか。居候させてもらう身だ 贅沢はよそう

「よし!じゃあ、さっそくだけど写真撮らせてくれる?」

「え!?私を、ですか?」

「うん。勿論!じゃあ、ここに立ってもらえる?そうそう、そんな感じ」

私はいったい何をしているんだろうか…人の部屋に泊めてもらって、写真を何枚も撮られて…嗚呼、人はこうして詐欺に巻き込まれていくんだろうなぁ…

それからも、私は人の愚かさを嘆き続け、堺さんは写真を撮り続けた。

それから数時間が経ち堺さんが私に声を掛けた

「ん、ありがとうっ!!じゃぁ買い出しに行こっか!」

「あ、はい。行ってらっしゃい!」

私がそう言うと堺さんはきょとんとしていた。

「え?」

「え?」

そして、ようやくすべてを理解したのか

「ハハハ…なぁに言ってんの!?明梨ちゃんも一緒に行くんだって!ほら急いで急いで」

と、笑っていた。

次回はもうちょっと後に投稿します

お楽しみに!!

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