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記憶の欠片@ゴミ箱.exe  作者: big wood
2/2

俺は彼女たちが病んでいるのを知っている

某ヤンデレに愛されて眠れないCDを聴いていて、ヤンデレだからって安易に凶器持ち出せばいいってもんじゃねぇって思ったから書いた。


 俺が小学一年生の時、クラスで人気者の女子に告白された。


告白なんて初めてされた俺は稚拙な頭ながら、答えを出すから明日まで待ってくれ、とその場をしのいだ。


そしてバカみたいに熱心に夜中まで考えた。眠くてろくに回らない頭でOKする答えに行き着いた。


 翌朝、覚悟を振り絞って登校。入りすぎた気合いが顔に表れ「おまえは死地に赴く兵士か」と母親にからかわれたものだが当時の俺にはそんな言葉が理解出来る分けがなかった。


 結論から言うと俺が彼女に返事を返す事はなかった。いや、できなかった。


 朝のホームルーム、朝学活と言うべきかな?

まあその朝の会で担任から告げられたのは昨日告白してきた女の子が怪我で入院して、当分は学校に来れない、との事。


 当然、と言うべきかクラスのみんなは大号泣。先生は骨折だから命に別状はない、だとか、必ずまた会えるから、とかフォローをしていたけど幼すぎた俺たちには意味なんてわかるわけなかった。



 結果、彼女は退院し、学校に復帰した。しかしそれは学年が変わり、クラスが変わった頃だったので幼き俺はすっかり告白の事など忘れ、よかったなー程度にしか考えなかった。


そして、クラスが変わり会う機会がほぼなくなった俺と彼女の関係は自然に蒸発した。



 小学校高学年。俺はクラスの担任である女教師に淡い想いを寄せていた。

その先生は気配りが出来て明るくて、誰にでも対等に接してくれる絵に描いたような『イイ人』だった。


 そんな先生に異性を意識し始めた時期、俗に言う思春期真っ盛りだった俺にはとても魅力的に見え、恋をした。


 友人と遊ぶよりも先生と話す事を優先し、先生も快く俺を受け入れてくれた。

もっとも、先生からしたらなついた生徒の一人程度にしか思っていなかったのだろうけど。


 いつこの想いを伝えるか、OKを貰ったらどうしようか、そんな事を思う度にベッドでバタつく事もあった。

今思うとまるで恋する乙女の様で恥ずかしい。



 しかし、この想いをも伝える事は無かった。

急な転勤。理由はよくわからなかったが家庭の事情だったそうだ。


 もちろんそれを聞いた日の夜は枕を濡らしたさ、なんで。自分が嫌いになったのか。様々な不安が浮かび、そして消えていった。

先生はそんな人ではない。家庭の事情なのだ、仕方ない。


そう自分に言い聞かせ前に進んだ。勿論未練アリアリだったけど。


淡い恋心が打ち砕かれたがいい思い出だった。










気付くまでは。






 異常に気付いたのは中学一年生の時。俺は剣道部に入り、剣道に熱を注いでいた。が、なかなか上達しないのでがむしゃらに、無茶苦茶に剣を振るって。


そんな焦りの想いを汲み取ってくれたのか、三年生にして部長の先輩によくかまってもらった。


 先輩は男勝りでありながら人望が厚く、人を惹き付ける才能があったので彼女のファンは男女共々少なくは無かった。

かくいう自分もそうだった。


 先輩は誰にも対等で、明るくて、今思うと想いを伝える事の出来なかった先生に重ねていたのだろう。


 先輩はよく飯を集りに来たり、怒られそうだから匿って欲しい、だのよく俺にかまってくれたので周りからはまるで姉弟の様だとからかわれた。


実際、姉がいたらこんな感じなのかなーと俺も楽しんでいた。



 向こうはどうだったのかは知らないが、先輩に対して恋心はなかった。

さっきも言ったように先輩の事は『姉みたいな人』と思っていたので、精々『親友』と表すのが良いところだった。



 しかし、そんな先輩すらも俺から遠退いた。


突然の転校。理由は家庭の事情。


デジャヴすら感じた。




 そして周りは気付いたらしい。『おかしい』と。


アイツと親しくしたヤツは皆不幸に見舞われる。


 疫病神と称された俺は、俗に言う『いじめ』の標的になった。

同級生から、先輩から、強いては教師からも疎まれ、蔑まれた。




「疫病神」「近寄るな」「おまえのせいで先輩は」「死ね」


今でも耳にこびりついて忘れることができない。



 それでも俺が正気でいられたのは俺を、五花いつか 宗助そうすけを、宗ちゃんと呼び、俺の傍から消えなかった幼馴染みのお蔭だろう。

心から感謝していた。ずっと、ずっと。










気付くまでは。



 自分の勘が良い事にあれほど感謝したのも初めてだ。










後悔したのも。




 今思えば椿つばきはずっと俺の傍らにいた。







「つ、椿~……俺告白された~……ど、どうしよ~……」







「つ、椿ぃ? あの、だな……

教師と生徒が恋をするのって……ど、どうなんだ? あ、アリなのか?」


「い、いや俺がとかじゃなくてだな……ま、漫画であったから……だな……」


「あ!? 少女漫画なんて読んでねぇよ! ホントだって! おい! 椿待て!」







「いやー先輩ってホントカッケーよな、まぁ女に対してその評価はどうなんだとは思うけどよ」


「なんつーか、魅力的ってのは先輩みたいな人の事を指すんだろうなー」







 俺の傍にいた。もしかしたら俺よりも『俺』の事がわかっていたのかもしれない。

だからこそ知っていた。


俺が誰を好きなのかも。

俺が悩んでいる事も。

俺が椿に抱いていた感情も。










俺が椿を選ばない事も。






χ






 先輩がいなくなってから約二年半、俺の周りでは何も起こらず、次第にいじめもなくなった。


そして卒業。俺は少し遠めの高校に進学した。

案の定、というべきか、椿も同じ高校へ進学してきた。


「ずっと一緒だよ」


 幼い頃にしたその約束が、椿の中でどうなっているかは知らない。出来れば考えたくない。



 高校で心機一転しようと考えた俺はまた剣道部に入った。すると椿は剣道部のマネージャーを、と入部した。

もはや何も言うまい。



 そうして一年が過ぎ、後輩の出来た二年のある日。





俺はまた気付いてしまった。




χ




「あ、部長ー! 牡丹ぼたん部長ー!」


「うん? 宗助か、あまり名前で呼ぶなといったろう?」



 振り向く様すら絵になるこの少女、というより女性は俺の所属する剣道部の部長、牡丹さんだ。

本人はあまり自分の名前が好きではないらしい。


 俺としては可愛くていい名前だと思うのだが、当人はその可愛いのが嫌らしい。

 確かに牡丹先輩は可愛いというより綺麗、もしくは美しいの部類に入る人だと俺も思うが、名前一つにそこまで嫌悪感を抱くものなのだろうか?



「だからって苗字で呼ぶのも他人行儀でなんかイヤです」


「………まあキミがそう思うのならいいだろう。

それで? 何か用かい?」


「あぁえと、この後のなつめ先生から手伝いを頼まれてて部活に顔出すのが遅れます」



 棗先生は剣道部の顧問で、部員にこうしてちょくちょく雑用を押し付ける。立派な職権乱用だ。



「はぁ……棗を甘やかすのも程々にな」


「あっははー……善処しまーす、それじゃ」



 部長は棗先生の事を呼び捨てにする。なんでも高校に入る前からの付き合いなんだそうだ。

気になってこの前聞いてみたところ、「ふふ、秘密」だそうだ。隠す必要性があるのだろうか?



「ん、ちょっと待った宗助」


「はい? どうかしまし――た!?」


「フフフ……」



 なんていうか振り向きざまに抱き着かれた。というか飛び付かれた。

鼻と鼻が触れ合うほど顔を近づけられたと思ったら上半身に隈無く部長の手が這いずり回った。

 これが仲の良い男友達だったなら「くすぐってーからやめろよー」などと言って止めさせただろう。


 しかし、牡丹の手は有無を言わさない。まるで『自分の所有物』を触るかの様に少し手荒で、ねちっこい。


刹那、ゾクリと背筋に冷たいモノが走る。



「ぶ、部長!? こ、これはいったい……?」


「なに、ちょっとしたおまじないさ」



 嘘だ。これは俺に自分の匂いをつけている。言うなればマーキング。「これは私のだ」と。


しかし俺は白を切る。



「どれ、ついでにキスマークも付けてやろう」


「ち、ちょっと……!? だ、ダメですってそんな事……!」


「フフフ、かわいいな宗助は…」


「か、からかいましたね!?」


「さぁてね、私はもう行くよ」


「あ、ちょっと!?」



 こんなところだろうか、そろそろ先を急がなくては。棗先生の文句は長いからね。




「宗ちゃん?」


「っ―――椿、」



 角から曲がってきた椿。思わず狼狽えるが表情には出ていない、はず。


 危なかった。牡丹さんが止まってくれなくて助かった。もし、後少し遅ければ。

いや、考えるのはそう。そんなことは想像もしたくない。



「ちょうどよかった、椿」


「なに? 宗ちゃん?」


「俺ちょっと部活遅れるからよ、先行っててくれ。んじゃ」



 心臓が早鐘を打つ。これ以上は仮面えがおを保っていられない。早く、早くここから立ち去りたい。

そう、強く思って椿の横を通り過ぎようとする。



「――まって」



 ドクン、と少し心臓が止まった。

「なんで」「イヤだ」「バレた」「どうして」「違う」「終わりだ」破綻の言葉が喉を駆ける。



「――――どうした?」



 思わず吐き出しそうになった言葉を全てのみ、テンプレートな返事をする。



「宗ちゃん、ブレザーが汚れちゃってるよ?」


「マジか、いつの間に」


「ほら、部活の時に綺麗にして返すから脱いで脱いで」



 汚れてる? 嘘だ。ただ単に俺に牡丹さんの匂いがまとわりついているのが許せないだけ、そうだろう?

 まあ、そういう意味合いでは椿からしたら『汚れている』のだろうが。



「サンキュー椿、じゃ、部活でなー!」


「うん! できるだけ早く来てね宗ちゃん!」


「おう!」



 そう、何も気づいていない振りの返事を残し、その場を後にする。






×






ゆるせないよ。



 宗ちゃんの、宗ちゃんを、こんなに汚して。



 宗ちゃんからしていいのは宗ちゃんの匂いだけなんだよ。



 ああ、部長も『あの女』とおんなじなのかなぁ……



「…………ギリ」



ああ、鬱陶しいなぁ。






×






「っ、はあっ! はあっ!」



 椿と別れてから、全力で走った。少しでも椿から離れたかった。


 壁を背に、床にへたりこむ。

もはやこの脱力感は走った為の疲労なのか、さきほどの心労なのか、わかりはしない。



「先輩?」



 ふわり、と包み込むようなやさしい声。



「さく…ら……?」


「はい、さくらですよ、先輩」



 全てを包み込んで赦す様に微笑む桜。


 やめてくれ、俺に、俺なんかに、そんな笑みを向けないでくれ。



「先輩? どうしたんですか? 疲れた顔してますよ?」


「何かあったのなら私に言ってくださいね。先輩の怒りも、不満も、嫌悪も全て」


「私が受け止めます。

私は先輩の全てを――」



 嗚呼、なんどその甘い誘惑に乗りそうになった事か。


「貴方を赦す」、その一言がどれだけ魅力的なことだろう。どれだけ救われることだろう。


 しかし、その言葉を受け入れてはいけない。赦されてはいけない。でないと、狂わせてしまった桜を含む彼女らに申し訳が立たない。


 俺は赦されていい人間ではない。それほどに業が深いのだ。


だから俺が彼女に、桜に返す言葉は――――



「――いや、大丈夫だ、なんでもない。

少し走ったから疲れただけだ」


「そうですか、ならよかったです。

でも先輩? 廊下は走っちゃいけませんよ?」


「ははっ、バレたか」


「ふふっ」



 笑い合う俺と桜。

おそらく桜はこの虚偽の仮面えがおに気付いている。


 だから俺がいまここで助けを求めれば桜は自分を、彼女らを――――



「それじゃあ桜、俺は行くよ」


「………はい、何か困ったら遠慮なく言ってくださいね、先輩」


「…………ああ、ありがとう、桜。それじゃ」






χ






「はあ……」



 憂鬱だな……ほんと。

自分が悪いのは重々承知だがこれでは心も身体ももたない。



「おにー「さんっ!」」


「っとと。危ないから後ろからは無しにしてくれないか? 二人とも」



 腰に回される四本の腕。

えへへ、と笑うこの瓜二つの容姿の少女ら二人を俺は知っている。



「で? 何か用か? 蓮歌れんか蓮美はすみ


「えーとね「遊ぼう!」おにーさん!」



 俺の事をおにーさん、と呼ぶこの姉妹は別に俺との血縁関係はない。


 姉の蓮歌、妹の蓮美。二人との出逢いは別段劇的だったというわけではない。

しかし本人たちはそう思っていないようで、凄くなつかれてしまった。



「悪いな二人とも。今日はやることがあって遊んでやれないんだ」


「ええー「なんでー」」


「悪い、また今度な」



 文句を垂れる二人の頭を撫でる。不満げな顔も次第に笑顔になっていった。

どうやらまた今度、ということで妥協してくれたようだ。



「じゃあ「仕方ないから」また今度「三人で」一緒に「一緒に」」


「ああ、また今度遊ぼうな。それじゃ」



 うーん……二人交互に話されると耳がおかしくなる。






×






「ねえねえ蓮美「ねえねえ蓮歌」どうする「どうする」おにーさんと「何する」何して遊ぶ?

「お散歩?」お茶会?「鬼ごっこ?」かくれんぼ?「トランプ?」カルタ?「楽しみ」楽しみ

「おにーさんは」私のモノで「私のモノ」私も「私も」おにーさんの「モノ」

えへへ「えへへ」」






×






 ………なんか悪寒が……いや、気のせいだ。うん。まあ気のせいな分けないんだけど。



「おーそーいーぞー! このポンコツゥー!」


「それが人にモノを頼んだ人間の態度かよ、帰んぞ」


「ヤーダー!」



 この駄々を捏ねる子どもの様な教師は我が剣道部の顧問でありいい歳した大人の女性である。

 この教師、なつめを知る人ならば皆、口を揃えてこう言うだろう、「黙っていれば超美人」


 そう、女教師棗は所謂、残念美人なのだ。



「ガキか、あんたは!

……ったく、もう三十路に入るってのに……そんなんだから貰い手が……」


「なんか言ったか」


「イイエナンデモ」



 さきほど言ったように残念美人なので三十路間近になっても彼氏の一人もいない。


 本人も気にしているようで、年齢の話をすると後で首を薙がれる。行き遅れにだけはなりたくないとは本人談。正直もう手遅れだと思うが。



「そーすけはいーよなー、引く手数多でー」


「……んな事ないしー先生が特出して、あっ……ごめんなさい」


「なんだよー! 言うなら言えよこんにゃろー!」



 色恋沙汰の話になるとよく俺の事を挙げられ、うらやましいだのなんだのとよく言われる。


まあ、詳しく内情を知らないヤツらからすれば美人揃いのハーレムにしか見えないだろう。


 しかし、実際にはとんだ生地獄だ。

自分が少しでも選択を誤れば即破滅。賭博よりもたちが悪い。



「幸せ者だよなー、そーすけはー」



 幸せ? とんでもない。幸せなものか、何故なら――










俺は彼女たちが病んでいるのを知っている

牡丹は慢心?系。主人公(想い人)を愛すべき所有物と捉え愛を注ぐ。主人公は自分の所有物だと知らしめようと匂いでマーキングしたり人前でディープなキスをしたりする。

もし主人公が他者になびこうが最後には自分の所へ帰ってくると慢心し、他者の主人公へのアプローチを無駄な足掻きと嘲笑う。

文面だけみるとかわいい。描写が下手くそだとただのめんどくさい三次の女。



椿は最近のテンプレな行動系。

主人公(想い人)にすりよる女は邪魔者とみなし、排除する。主人公が他の女になびいても悪いのは自分でもなく主人公でもない、誘惑した女が悪い。

ヤンが加速するとスクールデイズなエンドを迎える羽目に。



桜は超奉仕系。主人公(想い人)のすべてを受け入れ、主人公の頼みはすべて了承する。主人公が幸せなら他者と愛し合おうが自分に愛が向けられなかろうがかまわない。

主人公の為なら他者に殴られようが性的暴行を受けようがかまわない。もちろん主人公から受けてもだ。

他者を毛嫌いする分けでもないので一番マシなタイプと言えるかもしれない。



蓮花と蓮美は共有系に長い独り言を呟くタイプをプラス。

姉妹は互いの事を共有し、次第に主人公(想い人)すらもその輪の中に入れる。だから主人公の怒りも悲しみも劣情もすべて姉妹と共有。まだ深くヤンでない設定だったので今回はベリーソフト。

最近のテンプレその2で、長文の自問自答をし、最終的には主人公に答えを求めるあのタイプ。姉妹なので二人で一単語ずつ交互にしゃべります。

容姿の瓜二つな姉妹で声質も似ているという設定なので長時間聞いていると頭がおかしくなる。

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