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わたしは何にも支えられずに自分の足で立っている

 任務が終わり、晴れ間が戻ってきた。


 わたしが校舎の屋上に舞い戻ったとき、そこにはもう全員が揃っていた。みんな雨に濡れてあちこちが黒くなっていたけれど、どんなに汚れていてもわたしたちがこの雨上がりをもたらした戦士だということに変わりはない。このぴんと透き通った綺麗な空気だって、濡れたアスファルトを照らす太陽の光だって。


 突然現れて突然任務に参加してくれたシュウイチは、柵にもたれて空を見上げている。喉を見ると呼吸を整えているのが分かった。赤い傘を手にした彼は、改めて見ると本当に身長が高い。


 結局、彼はカナミズチームに入ってくれるんだろうか?

 きっと入ってくれる。根拠もないけどそんな気がした。


 三口カズキはシキトと一緒に地面に座り込んでいる。二人とも閉じた傘を杖のように地面に突き立てて肩で息をしている。ただでさえ苦しそうなのに、ときおり二人で何かを話して何かに笑い、さらに苦しそうだ。シキトの穏やかな顔を見ると、彼が本当にカズキを好いているのが分かった。本当に仲のいい人にしか見せない笑みがそこにはあった。


 ルイは体育座りをしている。苦しそうに息をしながら話している相手は、ハルヤとユキオミ。どうして二人がここにいるんだろう? きっとその疑問を、ルイがいま彼らに猛烈な勢いでぶつけているに違いない。ユキオミがルイに勢いよく何かを言って、ハルヤがたまに口を挟む。彼らは問題児かもしれないけれど、いると場が明るくなる気がする。


 わたし?

 わたしは何にも支えられずに自分の足で立っている。

 そして、土清水ツキコ。

 彼女こそどうしてここにいるんだろう?

 わたしは彼女を見つめた。彼女もわたしを見つめた。


「よく来たね……」


 わたしはツキコの方へ向かいながら声を掛けた。今日の彼女は逃げなかった。目の強い光は、まるでわたしをねぎらうように優しい。一陣の風が彼女の黒髪をなびかせ、ユウリの気配を色濃く周囲に漂わせる。それを静かに受け止めたわたしは、なぜか涙が出そうになった。たった一人の親友がいなくなっても、わたしの戦う日々は継続する。それはすごく寂しいこと。


 わたしは、ユウリが当たり前に側にいた、いつかに戻りたがっている。

 そんなわたしにツキコは優しく微笑んだ。


「これから仲間ね」


 その一言が、どんなに懐かしく嬉しかったことか。

 この雨上がりにカナミズチームの八人が揃った。

 これからこの八人でカナミズ地区を守っていくことになる。結構いいメンバーだと思うけど、どうだろう?

 例えわたしがユウリのいたいつかに戻りたがっていたとしても、やるしかないんだと思う。

 傘師になる前のいつかに戻らないために。


 いまできる何もかもを、このメンバーと共に。


ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

カナミズチーム結成、ということでこのお話は幕を下ろします。


いよいよ集まったカナミズチームの活躍は、次回作

『いつかの雨に傘をさせ ~Green Now ~』

にて記して参りますので、そちらの方もよろしくお願いします。


感想などあれば是非!


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