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「大阪に現れた柱、実は僕のせいかもしれないなんて口が裂けても言えない〜実験で生まれたスライムは元・魔法使いでした〜」  作者: なな日々
転移柱の始まり編 〜大阪異変の発端〜

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第6.5話 研究は見えないところで進む (グレイ視点)

 湊が研究に没頭している間。


 我は、じっとしているように見えるだろう?


 ……だが、それは違う。


 実際には、分身へと意識を集中しているのだ。


 この身体はあくまで“本体”。

 だが、切り離した一部にも、ある程度の意識を宿すことができる。


 ――つまり。


 我は同時に複数の場所を認識できる、というわけだ。


 湊が時折こちらを気にしているのは知っている。

 だが問題はそこではない。


 黒瀬だ。


 あの男、湊の目を盗んでは――


 我の分身を、ほんの少しずつ削り取っていく。


 最初は、正直に言って不快だった。


 実験対象として扱われるなど、元・大魔導士としての矜持が許さぬ。


 ……が。


 あの男、妙に“分かっている”。


 分身に対して、やたらと美味なものを与えてくるのだ。


 甘味。糖分。加工度の高い魔力変換素材。


 ……なるほど。


 確かにこれは、悪くない。


 実験を受け入れる代わりに、対価は受け取る。


 そう考えれば、悪い取引ではないだろう。


 それに――収穫もあった。


 今回の分身実験で分かったこと。


 一つ。


 分離した個体とも、意識の共有は可能。


 一つ。


 どれだけ薄く小さくなろうとも、再吸収によって元に戻ることができる。


 そして――


 一つ。


 分身が摂取した魔力も、本体へ還元される。


 ……つまり。


 黒瀬が与えた甘味は、最終的にすべて我のものになる。


 ――悪くない。


 実に、合理的だ。


 我は静かに思う。


 この研究室。


 なかなかに、居心地が良いではないか。


 


 ……ただし、次に削る時はもう少し丁寧にやれ。少し痛い。


 ――そうだ。


 今度、黒瀬に会ったら聞いてみるとしよう。


 昨晩の、あの弾力のある果実のような食べ物。


 ……あれは何だったのか。


 あの男がどんな顔をするか――少し楽しみだ。

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