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事実
滝嶋美恵子の証言により、そのとき格子の上の部屋に入ったものは彼女と佐平爺(格子の管理人)だということがわかった。二人は仲が良く二人ともその部屋で話していたという。
そして、佐平爺が来て、いきさつを話すと、佐平爺があっといって皆を舞台へ誘導した。何事かと皆でついていくと、このようなことが分かった。
佐平爺は不要な小さな吊るしものをはずす役目があった。その後、舞台の上の人がその落ちてきたものを回収する手はずだった。しかし、今日、間違えて格子を外してしまったかもしれない。
これを聞くと佐原氏は激怒し、散々佐平爺を叱咤していたが、やっと佐原氏の怒りも収まったのか、部屋は静かになった。
「いや、こんなことははじめてだな~」
舞原編集長がS劇場からの帰り道でつぶやく。
「疲れましたね」
渡辺剣三がため息をつきながら言った。