第5話 打楽器奏者の休日
最近毎日投稿ができています。作者も打楽器を以前やっていたので編曲は打楽器しかこだわらないかも(笑)。全日本吹奏楽コンクール課題曲は3番の「ジェネシス」が神曲だと思います(何の話をしているんだ?)。
月日が巡るのは早い。最近よく思うことだ。何をお前は言ってんだとツッコミを入れられそうだが、俺は齢15にして人生を達観しているような気分だ。
ところで俺、音谷凌市は春休み中である今日この頃、最愛の人である里香とデートをしている(妄想だよ)訳ではなく、誠や仲の良いメンツで遊び呆けている訳ではなく、俺の唯一の趣味といってもよいオーケストラの吹奏楽編曲を自宅のカーテンが閉ざされた薄暗い部屋で行っていた。
去年から始めた趣味でまだ2曲しか完成していない(クオリティーのことは少し黙ってほしい)。喜歌劇「軽騎兵」序曲とルーマニア民族舞曲を吹奏楽編曲にした。いろいろな編曲家のスコアを見て参考にさせてもらった。もっと和声や音楽理論を理解して吹奏楽オリジナル曲と錯覚するほど上質なアレンジを行うことが当面(一生)の目標だな。
今回はどんな曲に挑戦しようかな。「サロメ」の7つのヴェールの踊りか「サムソンとデリラ」のバッカナールのどちらかにしようと思う。
1曲目の楽劇「サロメ」の中で編曲する曲は「7つのヴェールの踊り」と題されているが、全体が7つの部分から成っているわけではない。激しい序奏の後のゆったりとした、しかし変化に富んだセクションが最も長く、後半は、印象的ではあるものの比較的短いいくつかの部分が続く。各部分に現れる旋律には横のつながりもあり、演奏時間わずか9分半とは思えないほど、情報量の多い作品であり編曲も過去最大級に難しいだろう。
2曲目の「サムソンとデリラ」は旧約聖書に登場する怪力の持ち主サムソンと対立する民族との争いを題材とした3幕からなるオペラである。今回編曲である「バッカナール」は、サムソンがデリラの策略により捕まり、敵国の民がサムソンを前に踊る場面。バッカナールは酒の神バッカスに捧げる踊りとも言われており、サムソンをあざ笑うように踊る。こちらもコンクールのレパートリーとなっており編曲は難しい曲となっている。
どちらも楽曲の基となっているものがR15、R18であることはツッコまないでほしい。高校でも吹奏楽に入り、里香と楽しく奏でられることが当面の願いだが、俺の編曲作品がコンクールの自由曲として使われたらと思うと……にやけが止まんねーな。
結局のところ「サロメ」→「サムソンとデリラ」の順でやっていこうとしたが、サロメのあまりの難しさに頭を抱えるのはまた別の話……。