第0話 自由曲候補解説
すみません。友の某○○くんからのご指摘で曲解説を忘れていました。フリーの部の自由曲候補も次回やろうと思います。
○組曲「惑星」より
Ⅰ,火星~戦争をもたらすもの
作曲:G.ホルスト
編曲:建部知弘
作曲者のG.ホルスト(1874-1934)はL.ヴォーン・ウィリアムズなどとともに近代イギリスを代表する作曲家の1人で吹奏楽作品にもミリタリー・バンドのための組曲の1番、2番など重要なレパートリーを残している。作品数としてはそれほど多くはないが当時としてはかなり大胆な和声的実験を試みていた。
この、組曲『惑星』は6声部の女声合唱を伴うかなり規模の大きな4管編成と弦楽5部で書かれている。そのため以前は演奏される事自体が少なく音源も限られていたが、近年はCM等に取り上げられたりしたこともあって一挙にポピュラーな存在となった。「火星」はこの組曲の第1曲にあたる。
各楽章には惑星の名前とそれを象徴するような副題が付いているが作曲者のホルスト自身は表題音楽ではなくこの曲を理解する上の一つの手掛かりと考えるように生前語っている。
○「スペイン狂詩曲」より
Ⅰ,夜への前奏曲 Ⅳ,祭り
作曲:M.ラヴェル
編曲:仲田守
第1曲 夜への前奏曲(Prélude à la nuit)は冒頭から繰り返される神秘的な4つの音「F-E-D-C♯」は第3曲「ハバネラ」以外の全てに現れ、この作品全体に統一感を出す主要な主題となっている。
この4つの音が循環する中で幻想的な調べが奏でられる。2本のクラリネット、2本のファゴットが奏でる自由な楽句が印象的である。
第4曲 祭り(Feria)は弦楽器が刻む細かいリズムの乗って、木管楽器が軽やかに五線譜の上を駆け巡る。
オーケストラが奏でる旋律は熱気を帯び、陽気なスペインの祭りを再現する。
中間部では弦楽器が奏でるけだるいグリッサンド(2つの音を滑らせるように演奏する奏法)の中、コーラングレ(イングリッシュホルン)が幻想的な調べを奏でられる。
○歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より
作曲:P.マスカーニ
編曲:宍倉晃
P.マスカーニの歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」はイタリアオペラの一時代を築いたヴェリズモオペラの代表作である。美しい音楽と激しい感情を表す言葉が対照的に作られ、現在でも多くの人々に愛され続けている作品である。この編曲の構成は合唱曲「オレンジの花は香り」の美しい音楽となり、朝のシチリアの清々しい景色が見えてくる。続いてサントゥッツァの有名なロマンツァ「ママも知るとおり」へと移り変わり、E.Hrn.のソロがもの哀しく響き渡る。その後「間奏曲」で安らぎを与えられた後、馬車屋アルフィオの歌「馬は勇む」へと繋がっていく。ここでは巧みな転調と和声を駆使したマスカーニの卓越した作曲技法が存分に楽しめる。そしてサントゥッツァとトゥリッドゥの2重唱「お願いトゥリッドゥ、ここにいて」となり、美しい旋律を使って2人の感情が激しくぶつかり合う、全曲の中でも見せ場となるシーンとなる。 最後はトゥリッドゥがアルフィオに殺され、シチリアの村が恐怖の底に落とされる音楽で劇的に終わる。
○レオナルド
作曲:O.M.シュワルツ
この作品は、彫刻家、発明家、哲学者、研究者でもあった画家レオナルド・ダヴィンチ(1452-1519)の生涯と作品に基づいて作曲されたオリジナル曲である。 彼の有名な「モナリザ」や「最後の晩餐」を知らない人はいないであろう。 作曲家はインスピレーションの源としてダヴィンチのノート・ブックを使用し、この作品はアーティストのキャリアをプログラム的に追っている。 革新と情熱に対する彼の衝動を感じることができる素晴らしい音楽である。
○「交響曲第3番」より
Ⅱ,スケルツォ Ⅲ,メスト Ⅳ,フィナーレ
作曲:J.バーンズ
J.バーンズは、カンザス大学で学び、現在、同大学の教授を勤めるとともにコンサート・バンドの指導にもあたっている作曲家である。数多くの吹奏楽曲を作曲し、日本においても演奏される機会は多い。この交響曲第3番は、ワシントンの米国空軍楽隊とその当時の隊長、アラン・ボーナー大佐の委嘱により作曲された。当初、1995年12月に同空軍バンドにより初演される予定だったが、演奏旅行が中止となったため、1996年6月13日、大阪市音楽団による演奏が世界初演となった。フルスコアの冒頭に彼によるこの曲の解説がなされているので、以下引用する。
―(前略)―私はこの仕事に取り掛かった時、人生において大変困難な時期を目の当たりにしていた。私達の最初の娘であるナタリーを失った直後であったので、もしもこの曲に表題をつけるならば、『悲劇的』と呼ぶのが妥当であろうか。
この作品は絶望の深い暗闇から成就と喜びの輝きへと進んでいく。第1楽章は挫折、苦難、絶望、落胆といった、娘を失った後の私的な感情の全てが反映している。スケルツォ(第2楽章)は風刺、ほろ苦い甘味を持ち、其れゆえ世の中のある人々の尊大さや自惚れといった感情に関係している。第3楽章はナタリーが生きている仮の世界のための幻想曲であり、また彼女への別れの挨拶でもある。終曲(第4楽章)は魂の再生、我ら全てのための赦しを象徴している。最終楽章の第2主題は古いルター派の賛美歌『神の子羊』"I am Jesus' Little Lamb"に基づいている。この歌はナタリーの葬儀の時に歌われたものである。歌の最後の詩節は次のようなものである。
私ほどの幸せが誰にあるでしょうか
神の子羊である今の私のように
私の短い生涯が終わったときには
主に仕える万軍の天使によって
主の胸に抱かれるのでありましょう
ああ、主の腕の中の休息
この交響曲の完成から3日後、1994年の6月25日に息子であるビリーが生まれた。第3楽章がナタリーのためであるならば、終曲は正にビリーのためであり、姉にあたるナタリーの死後彼を授かった我々の喜びでもある。―
吹奏楽曲としては極めて大きな編成が用いられているが、曲の構成は伝統的な4楽章の構成で、自由なソナタ形式の第1楽章、ABA形式の第2楽章、ABCABCの形式をとる第3楽章、ソナタ形式の第4楽章からなっている。第1楽章と第4楽章はリズム、動機の取り扱いの点で特に関連性を持っている。曲中では管楽合奏の様々な可能性が試みられ、その試みの成功によって、演奏会用バンドを弦楽器の欠けたオーケストラの様に扱うことなく、幅広い音楽表現を獲得しているといえよう。そして今回はⅡ,Ⅲ,Ⅳ楽章を扱う。
○楓葉の舞
作曲:長生淳
この曲は秋を現すが、まるごと秋を描写した曲というのでもなく、らしからぬところもある。作曲者は「ただ、この曲に取りかかる前に聞いた、団員の一人がどうしても続けられなくなって退部するという話、そのときの表情、それから私自身も4年目でいわば卒業し、短い間ながらいいおつきあいだった方々とお別れ……といったことからくる感傷が、やはり曲に影を落としているようで、そこが秋らしい、といえるかもしれません」と語っている。今回は全曲版ではなく、コンクール・エディションという譜面を扱う。
○ウィンドオーケストラのためのナイトフォニー
作曲:高昌帥
大津シンフォニックバンド(OSB)委嘱作品、森島洋一音楽監督に献呈。本作はテクニカルな面よりも指揮者の裁量とバンドのアンサンブルとのせめぎ合いに音楽の重点が置かれる作品となったと思っている。作曲者は「タイトルの「ナイトフォニー」とは、「夜」+「響き」を意味する造語です。この作品を書く直前に木管五重奏とピアノのための「夜の響き」という曲を書きましたが、その続編、且つ最終楽章のような気持ちで作曲したのでこの様なタイトルとしました」と語っている。
○シンフォニエッタ第4番「憶いの刻」
作曲:福島弘和
東海大学付属高輪台高等学校吹奏楽部の委嘱により2020年3月に作曲された。 シンフォニエッタとは、小規模の交響曲という意味である。作曲者によると「この曲では、いくつかの主題と展開部の構成になっています。冒頭のTrb. Euph. が第一主題、8小節目の木管高音が第二主題で、これらの主題が形を変えて現れます。 たとえば、練習番号Mの高音域のメロディーラインのアフタクトの5連譜は、第二主題から派生しています。これは作曲するにあたり一番初めに思いついたフレーズです。急がずにたっぷりと歌っていただけると嬉しいです。4拍目の3連譜は、第一主題の反行形です。第一、第二主題は、色々なフレーズの頭に現れていますので、音程関係よりも見た目の形で判断していただければと思います。
練習番号Eは、Timp.と管楽器のアンサンブルのイメージで書いています。中間部は、たっぷりと表情豊かに歌ってください。 後半の早い部分は一丸となって終結部に向かっていくイメージです。 副題の「憶いの刻」(おもいのとき)は、委嘱先の高輪台高等学校吹奏楽部の皆さんにつけていただきました。2020年のコロナ禍、コンサートやコンクールが中止になる中で、思い通りに音楽活動ができない事、先の見えない不安、明るい未来への希望などが刻まれた思い(憶い)が、強く反映されているのだと思います」と語っている。
○残酷メアリー
作曲:田村文生
この曲は、イングランド女王、血まみれのメアリー(ブラッディ・メアリー)ことメアリー1世を題材にした曲である。曲名にあるメアリーは16世紀半ばのイギリス女王メアリー1世のことで、多くのプロテスタントを迫害した非道の女王である。曲自体も現代曲の前衛音楽でなかなかにアナリーゼも大変である。
○吹奏楽のための交響詩「夜明けを駆ける幻影」
作曲:内藤友樹
第67回全日本吹奏楽コンクール全国大会演奏。薄暗い霧に包まれたような冒頭、ダブルリードとビブラフォンのソリが情景を写す。幻想的な響きの中、迫力あるファンファーレや美しいコラール、荒々しいジャンベが絡み合う。現実と幻の狭間で揺れ動く。
やはり交響曲第3番はええですねー。今度作者は「運命の力」序曲をやります。現役の子どもたちも名曲に触れる機会があるといいですね。




