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全然近くて全然遠い!  作者: メイズ
第2章
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円満な解決〈流河〉

 いきなりのビッグニュース!


 カイルが仮加入!俺たちのバンドに!


 何だよ、カイルのやつ、俺を追い出して沙入と二人でそんな話してたのかよ?


 そんな相談すんだったら俺いたってよかったじゃん。



「よろしくな!流河は俺の先輩だな。」


 そう言ってカイルが肩を組んで来た。


「おう、こちらこそ。俺はカイルがベースやったらかっけーって前から思ってたんだぜ!」


 カイルの俺に対する態度が、表情が、雰囲気が、ルキアの時とは全然違う。


 俺がルキアになってる時はイケメンフェイス駆使して迫って来て、セクシーアピール満載だったけど、今は白い歯キラりんの爽やかイケメン男子だ。


 沙入といい、カイルといい、女の子と過ごしてる時は普段と随分違うんだなー。


 どういうわけかイケメン男子二人の女の子攻略法を垣間見てしまった俺。


 俺にはぜってー無理。女の子にあんな風に押してくなんて。


 きっと、イケメンだからこそ出来る技なんだろうな。


 普通だったらビンタくらうとか、急所を膝蹴りされるとか、セクハラで通報されちゃうぜ?

 俺には参考にもなんねーよ。



 俺と肩組んだままのカイル。


 そのままカイルが横を向いて俺の耳の真横で言った。


「流河、俺たちの誓いは償却された。だからルキアはもう俺の彼女じゃないから。」


「えっ、償却って?どういうこと?」


「ふふん。流河は俺にボコられないし、()()()()()自由だから。」


「‥‥‥‥‥騙しちゃったこと、許してくれんだ?」


「わざとじゃなかっただろ?成りゆきでそうなっただけだし。」



 そう言って白い歯キラリで爽やかに俺の目を見た。


 おお、爽やかハーブが香って来そうなそのスマイル。



 くっそいいやつじゃん!カイルって!



 こんなにうまく全てが片付くなんて!やったぜ!


 俺と沙入の友情も無事だったし、カイルも俺を許してくれた。誓いもなくなったしボコられ回避も出来た。




 俺はめっちゃ嬉しくなってカイルに抱きついてハグ。



「サンキュー!カイル。これからもよろしくなっ!」


「‥‥‥‥‥‥‥‥‥流河。」



 カイルも俺にハグ。


 ん?俺の首筋後ろでちゅるって(かす)かに痛みのような感覚が。


 何だ?今の。



 ‥‥‥‥‥気のせいか。




「おい、流河、ちょっと来い。」



 カイルと俺がこのパーフェクトな円満な解決を喜び合っていたら、急に沙入が俺のフードを後ろから乱暴に引っ張ってきた。



「うっ、苦しいだろ?何だよ、沙入。」



 カイルから引き剥がされた俺は、今度は沙入から冷ややかな視線のビームを浴びせられた。



「流河にはきつく言っとかねーとなっ!」


 超不機嫌さらして目を細めて俺にガンつけしてきた沙入。


 どうしたんだよ?


 カイルとのことはこんなにうまく収まったってのに。



「いいか?これ、絶対守れよ、流河。二度とルキアになるな!」



 ああ、その事で説教か。


 そうだよな。俺が女の子に変装したせいで沙入にもカイルにもとんだ迷惑かけちまったもんな。



「わかってるって。今日が最後だって言ったじゃん。それに俺だって成長期なんだしそのうちなりたくたってなれなくなるじゃん?」


「‥‥‥‥今の言葉、忘れんなよ?」


 沙入は訝しんだ目で俺の目を覗いた。


「お‥‥‥‥おう。」



 俺がうなずくと今度は俺の両肩にバシッと両手をかけて真っ正面から俺にシリアスな顔を向けて来た。



「それに‥‥‥‥‥たとえ簡単な口約束だとしてもな、そこには見えねーけど確かに呪縛が出来る。覚えとけ!」


「う、うん。覚えとく。」


「いいか?流河。約束はよーく考えてからするもんだぜ?軽々しくすんじゃねーぞ?」


「‥‥‥‥‥わかった。良く考える。」



 沙入は何でこんなこと俺にマジな顔で言うんだ?


 こんなに上手く全てが解決した上に、超イケてるカイルをメンバーに迎えることが出来たってのに。



 沙入が俺にそのまま正面から抱きついてきて、俺の耳ん中に息を吹き込むような囁きで言った。


「カイルには気をつけろ。」


「‥‥‥‥‥?」


 カイルがどうかした?


 ん?


 俺の耳に一瞬妙なぺちょ感覚が。



 ‥‥‥‥‥気のせいか。







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