秘密を君に〈流河〉
「カイルの話って?」
俺はテーブルの角を挟んで座ってるカイルの顔を見た。
やっぱ、カイルってかっけーよなー。ロメルいつもこんなん見て生活してたらさ、やったら理想高けーんだろうなぁ、きっと。
「会いたかった‥‥‥‥ルキア。」
カイル。マジな顔してるイケメンにそんなこと言われたら、俺だって照れるだろっ。
「う、うん。時間ないし、話って?」
「‥‥‥‥‥俺、ルキアが泣いてしまうほどの秘密を俺に打ち明ける前に、俺もルキアに秘密を打ち明ける。俺のこと知って欲しい。ルキアに。そしたら俺たちはもっと深く結びつくはずだろ?」
「えっ!何それっ。カイルの秘密って?」
「ルキアの秘密を聞いても俺の気持ちはきっと変わらない。だから‥‥‥ルキアも俺の秘密を聞いても俺を嫌わないで。」
「あ、うん。多分。」
おいおい、何言い出すんだよ?だからって俺の秘密よりマシなことだろ?
「聞いて、ルキア、‥‥‥‥‥‥‥‥俺、実は‥‥‥双子の妹のロメルのこと‥‥‥好きだった。」
「‥‥‥‥ふーん?‥‥‥妹が好きだなんて普通じゃね?だって家族じゃん。」
「そういう好きじゃない。」
「‥‥‥‥‥へっ?」
「一人の女の子として好きだった。」
「‥‥‥‥‥ええっ!」
「俺‥‥‥‥ロメルに対して起こる衝動をずっと抑えてた。‥‥‥‥‥こんな俺をどう思う?」
「衝動って‥‥‥‥‥?まさかそーゆー系?そっ、それはヤバいだろっ!止めろよ、そういうのっ!ロメルに何かしようだなんて絶対許さない!」
「だよな‥‥‥‥‥でも、俺は君に出会って変わったんだ。ルキア!ルキアと俺が運命的に出会ってあの誓いをした時から‥‥‥‥‥」
カイルが俺の横の席までずれて寄って来た。
「俺、どっか間違ってるってずっとわかってた。でも、俺は変われずにいた。」
「‥‥‥‥気づいてよかったじゃん。ヤバかったな、カイル。」
俺は席の角までずりずり移動したけど、カイルもずれて寄ってくる。
「そうだな。ルキアのおかげだ。ルキアが俺と誓ってくれたから。だから‥‥‥‥‥今日も誓って。ルキア‥‥‥‥俺、まだ完全じゃないんだ。」
えっ、えっ、えっ?
それって俺がまたカイルと‥‥‥しないとロメルにまだ危険度残ってるわけ?
やめてくれよ!そういうの!
俺、どうすりゃいいんだよ?
ここで俺が拒否れば、今度はロメルがカイルに‥‥‥されちゃうかもなの?まさか。
カイル‥‥‥‥いきなり超シリアスなこと俺にカミングアウトしやがって!
俺よりやばやばじゃん。
そんなこと言って脅されたらさ、俺、また動けねーじゃん。
ロメルのために。
ん?待てよ、俺が男だってわかったら、この誓いが無くなれば、ロメルの危険度UP?
俺が考えてる間にカイルが左腕で俺を抱き寄せる。
俺は拒否反応とロメル救済の狭間に揺れて対処不能のまま。
カラン。
ドアが開く音。
カイルが俺を抱き寄せたままドアの方を向いた。
「‥‥‥‥‥何してる?」
こちらに近づいてくる沙入の妙に静かな声が響いた。
「‥‥‥‥‥水籠には関係ない。」
カイルが俺を放して立ち上がった。
タスカッタ‥‥‥‥オレ。
「関係ねーことねーんだよ!」
沙入が激昂した。
「流河も、一体どういうつもりだっ?」
「ちっ、違うってば‥‥‥自分はどういうつもりも無かったんだけど‥‥‥‥‥」
「もう、言っちまえよ!流河。今すぐに!そんな会うたびに迫られてたらどうせすぐバレんだろ!こいつキスだけじゃその内すまなくなるぜ?」
でも、言っちゃたらロメルに危険がっ!
カイルがロメルにヤバヤバなんだっ!
「‥‥‥‥うっ、やっぱりだめだっ!今日はやめだ!そんなことしたら‥‥‥‥‥!」
「はぁ?何言ってんだよ?そのために今日はこいつが来たんだぜ?」
「そうなんだけど‥‥‥‥‥」
今聞いたカイルの秘密を沙入にバラすわけにはいかない‥‥‥‥ロメルのためにも。
どうすればいいんだよ?俺。
「直前になってビビったのかよ?ボコられんのは仕方ねーだろ?流河。‥‥‥‥流河が言わねーんだったら俺が言う。」
沙入!俺、そういうわけじゃねーんだって!そういう問題じゃ‥‥‥‥
「カイル、こいつは、ルキアは男だ。」
‥‥‥‥っ!言っちまった!沙入が。
「‥‥‥‥‥何言ってる?ふざけてんのか?」
「ちげーよっ。ルキアは俺のダチの流河だ。男だ。」
「ルキア?水籠は何言ってんだ?」
カイルが俺を見た。
「とにかく、席に座れ。説明するから。」
沙入に促されてカイルはまた元の席に座った。
「‥‥‥‥‥流河、クリスマスイブに女装したことからカイルに全部説明しろ。それ、おまえの責任だろ?」
「‥‥‥‥‥わかった。カイル、ごめん。俺‥‥‥‥‥‥‥」
もう、ロメルのことはさておき、すべて正直に言って謝るしかない。
聞いたらカイルは相当怒っちまうだろうな‥‥‥‥
俺は覚悟を決めて一連の事をカイルに話し始めた。




