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全然近くて全然遠い!  作者: メイズ
第1章
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文化祭翌日 流河

 マナカをあいつと別れさすにはどうしたらいいんだろう?


 俺は一人帰途につきながら考えた。




 昨日、マナカは文化祭片付けでいつもより遅く帰ってきた。

 あれはもう8時くらいだったかな。


 一人遅れて夕食を食べながらソファーでくつろいでいる母さんと俺に文化祭でのことを話し始めた。


「聞いてよー、お母さん。今日はさ、すっごく楽しかったんだー!あっ、そうだ、流河、ラムジャンにご飯あげてくれた?」


 ラムジャンとはマナカが飼っているジャンガリアンハムスターだ。


「おう、種入れ換えといたぜ。」


「あざー、流河!さっすがー、私の弟!でさー、昨日はメイクで大失敗したけど、今日はめっっちゃ大成功でさ、そのせいかなー?うふふー‥‥‥‥私、彼氏が出来ちゃたんだー!」


「ええっ!マナカに彼氏がっ!本当に?独りよがりの勘違いじゃないの?こんなおしゃべり娘の話に耐えられる人がいるの?」


 母さんが疑わしそうにマナカに言った。


「しっつれいねー!ほんとだってーばー!ねっ、流河も見たよね?ヒトミのこと。」


「あら、流河も会ったの?その奇徳な人に。」


「‥‥‥‥よく、覚えてねーよ。なんか冴えないやつってことしか。っていうか、ヒトミって‥‥‥‥あいつがヒトミなのかよ?マナカがヒトミがなんだのこうだのしょっちゅう話してたあのヒトミってあいつのことかよ!」


「そうよ。いつも話してたヒトミがあの人よ。それにさー、流河ったらー!その普通っぽい目立たないとこがいいんじゃん。でね、ヒトミもね、ハムスター飼っててさ、そういえば‥‥‥‥初めて会った時から気が合ってたんだってば!うふふーん。」


「‥‥‥俺、風呂入ってくる。」


 それから風呂から出た俺はそのまま自分の部屋にこもった。

 マナカの浮かれたうれしそうな顔見たくなくて。




 俺は帰途につきながら夕べの事を思い出して気分を害した。



 こんな早く帰ったら家には誰もいない。


 俺は自分で鍵を開けて家に入った。


 部屋着に着替え自分の部屋のベッドに寝転んだ。


 マナカの友だちから彼氏へと昇格した "ヒトミ" について、マナカが今まで話していたことを思い出そうとした。


 うーんと、なんて言ってたっけ?


 あいつについてわかってることは‥‥‥


 確か、一番成績の悪いやつが揃っている8組在籍。密かに中2病。

 他には‥‥‥‥あやとりで7段ブリッジが作れる。ビオトープに発生するやご捕獲上手(うま)し。あいつの父親のオヤジギャグが凍えるレベル‥‥‥‥



 あの高校は偏差値65はある。そん中で成績悪くたって平均値より上だろうから突っ込みどこもねーし‥‥‥そんで中2だとしても一応やるべきことはやってんだろうし‥‥‥‥

 そんでもって手先が器用で、親父はちょっと迷惑なやつって‥‥‥‥


 マナカのおしゃべりからじゃろくな情報がねーじゃん。



 あれ、スマホに沙入から何か来た。


『流河、落ち着け!何でねーちゃんの彼氏にそんなにむきになってんの?目覚ませよ!』


 沙入‥‥‥俺が当分練習付き合わないって言ったから怒ってるんだ。


 確かに俺、おかしいよな‥‥‥‥


 沙入との練習、好きで始めた事なのに突然止めちまうなんて。


 昨日、いきなりマナカの‥‥‥俺の知らないマナカの部分を知ってしまった。

 そしたら、何かイライラモヤモヤしちまって。


 俺、これってもしかしてあいつにジェラシー?



 とにかく沙入に謝んねーと!


『ごめん。俺に少しだけ考える時間くれ。練習には必ず戻る。』


『俺、今度の土曜日午後にあの、きゃんきゃん騒がしい彼氏の妹、流河がケンカしてたあの女子の友だちに会ってくるからさ、あの兄妹について知ってること聞いとくから。彼氏、悪いやつじゃないと思うぜ?おかしなこと考えんな!流河のその態度、おまえのねーちゃん悲しむぞ?』



 ああ、確かに沙入の言う通りだ。俺の態度でマナカが嫌な思いをするよな。


 流石、沙入だな。頼りになる。さすがリーダーだぜ。



 俺の知らない間に‥‥‥‥俺のためにそんな手筈まで整えてくれてたなんて。



『沙入、俺のためにサンキュー!愛してるぜ!それ、俺もついて行ってもいい?俺も質問がある。』


『それは絶対だめだ!俺がちゃんと聞いておくから任せておけ!』


『何でだよ?俺が直接聞いた方がわかるだろ?』


『俺があの子と約束したんだからな!流河は引っ込んでろ。』



 何だ?沙入のやつ?むきになってんのそっちじゃん。

 俺の事なのに。


 沙入のやつ、何か変だ。


『何で?俺の事じゃん。』


『流河は今、冷静じゃないからな。また血が(のぼ)ってあっちに失礼があったらまずいだろ?だから、俺が代わりに聞いとくから安心しろ。聞きたい事があったら俺が質問しといてやるから大丈夫だって。』



 そういわれたらそうなんだけど‥‥‥‥


『わかった。』


『じゃ、そういうことで。また明日な!』



 沙入には世話かけちまってすまないと思う。

 けど、今のちょっとおかしくね?


 いくら俺でもそんな直接ヒトミに関係ない子に噛みついたりしねーって。


 俺をすっげ排除しようとしてるよな?読み返してみてもさ。


 明日直接沙入に聞いてみるか。




 俺は誰もいない家ん中で流したお気に入りの音楽のリズムに合わせながら筋トレを始めた。









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